第4話

 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 会社帰り

 けられて(この表現は違うか…)

 びっくりさせられた挙句


 ただでさえ…変装していて

 怖いから早く部屋に入りたいのに


「僕、ちょっと訳ありで

 顔を見せられないんですよ」

 …と言う隣人さん

 


「も、もしかして…

 指名手配されてるとか?」


 け、警察に電話しなきゃぁぁあ!!!

 怖い怖い(||゚Д゚)ヒィィィ!


 スマホを取り出そうと

 カバンの中を まさぐっていると



「(*°∀°)・∴ブハッ!!w

 お姉さん、めちゃくちゃ面白いですね!

 指名手配って??

 違う違う…。゚(゚ノ∀`゚)゚。アハハハ」



 ずっと笑われて

 さすがに気分悪い




「どうもすみませんね!ヽ(`Д´)ノ

 部屋に入りますので失礼します…」


 勢いよく部屋に入り鍵をかけた


 …ガチャンッ!!!




 "よくも怪しいヤツを

 隣に住まわせたな!ヽ(`Д´)ノ

 ジジイめっ!"




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 〜802号室side〜



 久しぶりに笑った…

 腹痛てぇ…(*°∀°)・∴ブハッ!!w



 …退屈しなさそうだな


 ここに住めて良かったかも



「あ…お礼…」

 "ため息"のヒントをくれたから…


「また今度で…いいか…」



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 次の日も会議は続く…



「香水の売り場に行ってみたんですけど

 香りに酔っちゃってダメでした(*´艸`)」


「私も同じ〜(ノ∀≦。)ノ」


 会議合間の参加者雑談

 みんな同じく酔ってた(´▽`*)アハハ


「どういう香りがいいんだろうな〜

 俺、今日 お気に入りの

 香水付けて来たんだけど どう?」


 俊マネが

 服をバフバフさせながら

 会議参加者の横を通る


 俊マネから預かった香水の箱に

 記載されている成分表を

 プロジェクターで映し出す


「あぁ〜!

 "マネージャー!"って感じの香り」


「変な香りじゃないね!」


「オレは好きだな、この香り…」


 色んな声が上がった…



 "私もこの香りは嫌いじゃない…

 ん〜なんかまだ物足りないんだよなぁ…"



 さきっちょが


「唇が荒れてる男子も

 最近見かけないわよね」


「うわぁ…咲に唇見られてる男子、

 お気の毒…」


「うるさいな、俊!」


「オシャレだよね、今の男子…」


「メンズのリップも

 同時に売り出したいね」


「どんな感じがいいかな〜」


「荒れないし…プルプルになるし…

 あとは…」


 と、会議室に声が飛び交う中…


 ポロッと口に出してしまった

「思わずキスしたくなるような?(ボソッ)」


 ・・・・・・・・・(。-ω-)-ω-)-ω-)シーン・・・


「あれ…なんか変なこと言った?私…」


「いいじゃん、それ!

 キャッチコピーに使えそう((´∀`*))」


 さきっちょが 目を光らせた…


 冗談交じりに

「フェロモンとか配合させちゃう?」

 (`▽´)ヒヒヒ


「( ゚∀ ゚)ハッ!アミっぺ、サンプル!」


「りょ!」


 研究室に走った…



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 また帰りが遅くなった


 会議の合間にジジイに生存確認をした

 エントランスに入って

 管理人室が消灯してるのも目視


 エレベーターを待っていると


「あっ!」


 声が聞こえて振り返ると

 隣人代理の、あのお方が


「あ、木村さん…こんばんは!」


「お〜!!嬉しいな〜!

 名前覚えてくださったんですか!」



 一緒にエレベーターに乗った



羽玖井はくいさんは

 いつもこの時間にお帰りですか?

 遅いですね…」


 高価そうな腕時計を

 チラ見しながら話す木村さん



「最近会議が続いていて残業続きで…」


「…お仕事は何をされてるんですか?」


「コスメの企画開発の方なんです…」


「おぉ〜開発?凄いなぁ…」



 8階に着くまで雑談して



「…隣、うるさくないですか?」


「あ〜大丈夫ですよ!

 私もこんな感じで帰宅も遅いので

 音問題は全然…

 あ、そういえば昨日

 お会いしましたよ…」


「えっ…」


「カマキリみたいな人でしたね!(*´꒳`*)

 それじゃ、失礼しますm(*_ _)m」



 部屋に入った



「カマキリって、何だ?」


 鍵をかける時に聞こえた

 木村さんの声…



 あの人、どう見たってカマキリよ!

(๑*°∀°๑).:..プハッ!



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 〜802 side〜



 ガチャ…


「よぅ!」


「お!じん…お疲れ!」


「どう、修正出来た?」


「うん、バッチリだ!

 話し声してたけど、電話してたのか?」


「下で隣のお姉さんに会って

 話しながら来た…

 …なんか…俺の事、

 知らないみたいだ(ノ∀≦。)ノ

 あ!お前に会ったって言ってたぞ!

 面割めんわれてないよな?」


「うん、隠してたよ

 でも、カマキリって言われて!

 。゚(゚ノ∀`゚)゚。アヒャヒャ

 しばらく笑いすぎて腹痛かったぞ!

 …あ、聴いてみる?」


「お、おう!」


 ヘッドフォンを装着させ

 再生する


 目を閉じて聴いてる仁…

 どんな反応をするだろうか…



 •*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪



 タイム的に、この辺り…

 "はぁ〜"


 仁が目を開けた…


 俺の顔を見て、ニヤリ(。-∀-)


 …(*・∀・)b

 親指を立てた


 ヘッドフォンを外した仁は

「これ、いいじゃん!」


「だろ?( *¯ ꒳¯*)」


「明日先方に連絡入れてみるよ」


「うん、頼む」


「やっぱ、ゆうは すげぇな!」


「仁のお陰だよ」



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 大学の演劇部


 スポットライトを浴びて

 伸び伸びと演技をする仁と


 裏方で自由自在に音を操り醸し出す

 音響担当だった俺…須賀すが ゆう


 易学えきがくで、

 互いに反する性質をもった二種の気…

 両者の相互作用によって

 天地間の万物が造り出されるとした


 ── まさに 陰と陽 ──



 大学での出会いが縁でタッグを組んで

 仁は、俳優業の傍ら

 自ら会社をち上げ

 俺も ここに籍を置き

 音楽プロデューサーとして

 食べて行けるようになった



 自分で言うのもなんだけど

 結構人気もある

 FCもあったりする

 何曲か 歌も歌って売れた


 一切メディアには顔を出さない

 "覆面プロデューサー兼

 シンガーソングライター"…

 念には念を入れて

 外を歩く時は…もちろん



 ── "カマキリ"で ──



「(*°∀°)・∴ブハッ!!w」



「ん?どうした?!•́ω•̀)?」


「いや、思い出し笑い…(。-∀-)ククク…」



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 〜803~



 お風呂から上がって

 香りの成分をPCで調べたりして

 少しだけ仕事…


「化粧水つけた本人も癒される香り…

 何が良いのかなぁ〜」


 大好きな音楽を聴きながら

 酎ハイを呑む至福の時間とき


 …カラカラカラ


 お酒を片手にベランダを開けて

 大きく伸びをする

「はぁ〜(´△`)…」


 ベランダ用のテーブルに

 酎ハイを置き

 小さな椅子に鼻歌交じりに腰掛ける


 風が吹いて気持ちがいい…


 自室から流れる音楽に合わせて

 テーブルの上を人差し指で

 トントンしながらリズムをとる



 すると、

 隣のベランダの開ける音が聞こえ

 慌てて鼻歌を止めたけど(。-_-。 )オッフッ!!!


「あ、こんばんは…カマキリです…」


「ぷッ…何ですかそれ!(*´艸`)フフフッ」


「邪魔しちゃいましたか?アハハハ…」


「いえ、大丈夫ですよ!」


「あ、俺…須賀すがといいます!

 羽玖井はくいさん、でしたね!」


「そうです、羽玖井です」


「ここからの景色、良いですね…」


「そうでしょ?

 私も 天気の悪い日以外は

 毎晩 ここからの景色を見るんです!

 あ、夏は花火がキレイですよ!」



 引っ越してきたばかりの人と

 ベランダの隔て越しに自己紹介…

 

 しかも、ワケあって

 顔を見せられないという…


 なんだかんだ普通に会話しちゃってる

 


「そういえば さっき、木村と会ったって…」


「はい、お会いしましたよ!」


「今まで、アイツのこと

 見たこと無かったですか?」


「はい?」


( ˙꒳˙ )チョットナニイッテルカワカンナイ


「木村は、ちょこちょこ

 テレビにも出てるんですけど…」


「えっ!!…そうなんですか!?

 すみません、テレビ観ないもので…」


「恋多き、世間お騒がせ俳優…」


「えー!俳優さんなんですか?!

 普通に話しちゃってました…

 うわぁ…失礼なことしちゃいましたね

 すみません、ホントに知らなくて」


「マジですか!?アハハハ!!

 木村のことを知らない人に会ったのは

 初めてですよ!」


「(;´∀`)…ァハハハ…お恥ずかしい限りです…

 今度お会いした時に謝らないと…」



「俺の正体は…気になります?」


 昨日、ワケがあると言ってた

 それなら…関わらない方がいい



「いいえ!」


「即答…かよ…」



「じゃあ、おやすみなさい」

 そう言って 私は部屋に戻った


 

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