第6話 紅魔族髄一のプレイボーイ ①
【めぐみんside】
アラシの顔が見れず、もくもくと弁当を食べる。
「どうしたの、めぐみんってば !
顔を真っ赤にして、具合が悪いなら保健室に一緒に行こうか ?」
ゆんゆんが心配しながら、私を見ている。
余計なことを ! 少しも空気を読めないから、何時までもボッチなんですよ !
「ゆんゆんは、アラシが来てから随分と積極的だね。
自信が付いたのは良いことだけど、逆にめぐみんがおかしくなったのは何故だろうか ?」
認めたくないが、私がおかしくなった原因に気づいているだろうに、あるえは。
◇◇◇◇◇
昼休みが終わり、先に校舎に向かったアラシの背中を見ながら、私たち三人は会話をしていた。
「アラシが外に出るなら、私が紅魔の里に残っているのは不利かな……」
それを聞いたゆんゆんが興奮しながら、
「なによ、あるえ ! あなたは作家に成るんでしょう、どういう意味よ !?」
「ゆんゆん。 君は将来、族長に成るのだろう。
アラシの魔王退治の旅に同行する者が必要だと思うんだ。
私は、その旅の同行者に立候補しようと思うんだが。
小説家を目指すなら、いろいろと経験した方が良いだろう」
あるえの決意を聞いて、対抗するゆんゆん。
「おあいにくさま。 族長に
口論している、あるえとゆんゆん。
普段、冷静沈着なあるえ と ボッチで引っ込み思案なゆんゆん。
『女の子は男で変わる』
と母が言っていた意味が判った。
そんな二人が私を見て言い争いをやめて、
「めぐみんは参加しないのかい、アラシの隣に並び立つことを !?」
挑発的に私に言い放つ、あるえ。
「最強の魔法使いに成る為には恋愛ごとにはかまっていられません !」
否定するも、二人は呆れた顔をしながら、
「めぐみん。 そんなに顔を真っ赤にして言っても、説得力がないよ 」
ゆんゆんの言葉に言い返せない日が来ようとは !
◇◇◇◇◇
下校時間、今日も私はゆんゆんと一緒に帰っている。
担任教師のプッチンがカッコつけて唱えた呪文で豪雨と成り、校長が花壇に植えた花が流されたり、私たち生徒がずぶ濡れに成ったりしたのに、いきなり雨が止んだのだ。
まるで雨など降っていなかったように。
全員、女性教師のプルプルに魔法で乾かしてもらわなければ風邪を引いてたところだ。
「めぐみん、一緒に喫茶店に寄っていかない ?
前から友達と寄り道するのに憧れていたんだぁ~」
「ゆんゆん、あなた。 アラシと出会ってから随分と積極的に成りましたね。
以前とは別人ですよ。
まあ、良いでしょう。 ゆんゆんのオゴリなら付き合いますよ」
紅魔の里にある一軒しかない喫茶店に着く。
席に座りメニューを頼んだら、ゆんゆんが話題を出してきた。
「ねえ、めぐみん。 恋ばなしない ?」
いきなり何を言い出すのだろう、この娘は。
「どうしたのです、ゆんゆん。
急に色気付いてきたのですか ?」
しかし、
「なによ、それぇ~。 私とめぐみんはライバルだけど友達でしょう、少なくとも私はそう思っているわ。
たまにくらい、こう言う話題も悪く無いでしょう ?」
今日のゆんゆんはグイグイきますね。
仕方ありません……
「そうですね、私が好きなのは……「めぐみんは、アラシが好きなんでしょう ?」
なっ !
「違いますよ ! 私のタイプは
しかし、ゆんゆんは食い下がります。
「なんだ、やっぱりアラシのことじゃない」
私は即座に反論します。
「どう考えても違うでしょう !」
ゆんゆんは どや顔をしながら、
「そうかな ?
自分の剣を持って森でモンスターを狩ってきて、獲物をめぐみんの家にわざわざ届けてさ。
帰って来たら、登校時間まで素振りをしているんだよ。
学校から帰って来たら帰って来たで、また剣の稽古をしているのは魔王を倒す為でしょう。
ひたむきなところなんか、めぐみんの言った条件に当てはまると思うなぁ 」
グッ ヌッ ヌッ 、ゆんゆんに押されているとは !
絶対に負けられません、この
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます