大文字伝子の休日1改

クライングフリーマン

悪戯電話

 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 大文字伝子・・・主人公。翻訳家。

 大文字(高遠)学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。

 依田俊介・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。あだ名は「ヨーダ」。名付けたのは伝子。

 物部一朗太・・・伝子の大学の翻訳部の副部長。故人となった蘇我義経の親友。蘇我と結婚した逢坂栞も翻訳部同学年だった。

 南原龍之介・・・伝子の高校のコーラス部の後輩。高校の国語教師。

 南原蘭・・・南原の妹。

 愛宕寛治・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。

 愛宕みちる・・・愛宕の妻。

 福本英二・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。大学は中退して演劇の道に進む。

 鈴木祥子・・・福本が「かつていた」劇団の仲間。後に福本と結婚する。

 筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。伝子と一時付き合っていた。

 久保田誠警部補・・・愛宕の丸髷署先輩。相棒。

 久保田嘉三管理官・・・警視庁管理官。

 江角真紀子・・・伝子の叔母。

 逢坂栞・・・伝子の大学の翻訳部の同輩。物部とも同輩。美作あゆみ(みまさかあゆみ)というペンネームで童話を書いている。

 利根川道明・・・TV欲目の社員コメンテーターだったが、ある事件をきっかけに依願退職をした。


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 高遠は食堂で、伝子から渡された古い日記を読んでいた。

「ああー。やっと、終わった。」伝子は伯父の遺産であるAV機器の部屋とPCの部屋の掃除を終え、起動確認を行っていた。

「あ、お茶入れようか、紅茶。」「うん。頼む。」「大変だね、伝子さん。掃除はともかく、あれだけの機器のメンテナンスは。」と支度しながら高遠は言った。

「メンテナンスは大袈裟だよ。でもな、学。伯父はいつも言っていたんだよ。機械も命があるんだ、働き過ぎても放っておいても寿命が縮むんだよ、って。」

「そんなもんかなあ。はい。」「ありがと。全部読んだ?」「最初の方だけ。『押しくらまんじゅう』って知らなかったなあ。」

「面白いだろ?」「うん。ウィキペディアには『押し競饅頭を楽しむためには4人以上の参加者を必要とする。2、3人では動きの幅が狭く、押し合っても体を温める効果が薄いためである。 参加者はお互いに背を向けて円陣を組み、両側に立つ参加者の腕に自分の腕をからめる。「押し競饅頭、押されて泣くな」という掛け声とともに、勢いをつけて自分の体を円陣の中心に向けて押し込んだり、外側へ向けて引っ張ったりする。この動きによって体が温まる。参加者それぞれが不規則な動きをするために思いがけない方向に引っ張られたりするのも押し競饅頭の楽しさのひとつである。』と書いてある。」

「テレビは勿論、電化製品も使い捨てカイロもない頃の子供の遊びで、日中これで暖を取っていたそうだ。馬跳びとか馬乗りとかも道具ないで手軽に遊べた、と言っていた。」

「だからこそ、機械を大事にしていたんですね。前にも言ったが、伯父は生涯独身だった。機械は子供みたいなものだったのかもな。」

「おはようございます。」と玄関で声がした。依田だった。「どうした、ヨーダ。それってゴルフウェア?」「そう。事件の起こった結婚式場の、社長さんが気に入ってくれていて、たまにゴルフ付き合っているんだよ。」と依田は高遠に返事を返した。

「ふうううん。」と伝子と高遠は唸った。「息ぴったりだな。」と依田は感心した。

「当たり前だ。新婚夫婦だからな。」「もう新婚でもないでしょ。あ、先輩、この間のピザ代。」「ああ、すまん。はい。」と伝子は依田に立替金を渡した。「へい、領収証。」

「律儀だな、ヨーダは。」高遠が言うと、「そこが俺のいいとこじゃん。ねえ、先輩。」

「まあな。」「行ってきます。」と依田はそそくさと出て行ったが、引き返してきた。

「忘れるところだった。先輩、これ、そこで言付かりました。」と紙袋を差し出した。

 伝子は、さっさと紙袋の中の紙箱を開封した。「銀栄堂の菓子か。隣のおばさんが預かってくれたんだな。百貨店の配達みたいだし。」

 暫く考えていた伝子は「ちょっと、オオサカに用が出来た。出掛けてくる。」と伝子は着替えに奥に引っ込んだ。

 そこへ、物部が甘栗の袋を抱えてやってきた。「おはようございます。あれ、大文字は?高遠。」

「何か親戚の用事で出掛けるみたいですよ、大阪まで。」「大阪?」

「何だ、物部。来ていたのか。悪いが私は出掛ける。暇ならゆっくりしていってくれ。」

 伝子は、さっと出て行った。「折角大文字の好きな甘栗持ってきてやったのに。うちの客の実家から大量に送ってきたから、ってお裾分けなんだ。」

「確かに多いですね。」

 そこへ南原が蘭とやってきた。「あれ、先輩は?」「親戚の用事で出掛けました。」

 更に、愛宕夫妻がやってきた。「あれ?先輩は?」「親戚の用事で出掛けたそうですよ。あなたも大文字の後輩?」と物部はみちるに尋ねた。

「後輩は僕ですよ、物部さん。中学の書道部の後輩なんです。妻のみちるは、勝手に先輩って呼んでいるんです。」「勝手はないでしょ、我が夫よ。」「じゃなんて?」「リスペクト。高遠さん、合ってますよね。」

「残念ながら、微妙に違う。マスコミはすぐ流行言葉を作っては流布してしまうから、誤解されている言葉が多い。日本語の『尊敬』は一歩引いているが、『リスペクト』は対等だと言われている。相手の価値を大きく評価することに違いはないけれどね。みちるちゃんの場合は尊敬に伴う行動、だね。」と、高遠は解説した。

「だってさ。尊敬しているから、みちるはクラブの後輩じゃないけど、『大文字先輩』って呼んでいる。そういうことです、物部さん。あと、南原さんの妹さんの蘭さんも、福本さんの奥さんの祥子さんも以下同文。」と、愛宕が発言した。

 物部はけらけらと笑った。「後輩だらけだ。尊敬かあ。俺には縁遠いな。」

「そんなことはないですよ。学祭の時、最後にちゃんと手伝ってくれたじゃないですか。」

「そうそう。大文字先輩、ティアラどころかブローチやネックレスも持ってない人だからね。物部副部長のカチューシャ、ホント助かりましたよ。」と、福本夫妻が入って来た。

「何の話です?」と福本に愛宕が質問した。「学祭の時、ワンダーウーマンの格好を大文字先輩にして貰ったこと、言いましたよね。」

「ええ。それで、例の事件の時コスプレして貰ったんですよね。」「そう、その時はレンタル衣装だったけど、学祭の時は手作り。小道具もね。で、ティアラないし、困った。我々3人とも『おんなきょうだい』いないから。」

「それで、俺が姉貴に借りたカチューシャを持ってきた、って訳さ。」と物部が愛宕に説明した。

「カッコいい。侠気ですね、物部さん。」とみちるが言った。「ま。まあな。」と物部が照れた。

「副部長はやるときはやる、そういう人だと思ってますよ。高島たちとは違った。」と福本が言うと、「そう言えば、お前達が揃って辞めたって聞いた時は驚いたな。」と物部は言った。

「蘇我部長が、後から入った3回生の高島を部長に指名したけど、今で言うパワハラが多かった。あーとからきーたーのーに・・・。」と歌い出した福本に、「おーいこされー。」と高遠が続けて歌った。

「何だ、その歌?水戸黄門か?」「そんな替え歌歌って腐ってました。で、退部。」

「ううん。俺は依田を推薦したんだがなあ。蘇我がそれじゃ3回性が納得いかんだろう、って言うから・・・。」

「楽しそうだな。」と筒井が入って来た。「あ、大文字の元カレか。」

「高遠の前で、そんなこと言います?」と福本が言った。「すまん。一言多かった。」

「焼き芋買ってきたんだけどな。足りないかな?」という筒井に「甘栗あるぞ。」と物部が言った。

「みかんで良ければありますよ。」と、南原が蘭とみかんの箱を持って入って来た。

「あれ?先輩は?」という南原の言葉に気づいた筒井が「そうだ。この家の主人は?大文字は?」と言った。そこでまた、物部が言った。「親戚の用事で留守だそうだ。」

「筒井さん、今日はお休みなんですか?」と愛宕が筒井に言った。「うん。年に1度あるかないかの休暇中。」

「今のうちだな、筒井。」と久保田管理官が久保田刑事を連れて入って来た。

「中年探偵団、お揃いだな。あ、その方は?この前の事件の廃工場近くでもお見受けしたが。」と福本に管理官は物部を指して言った。

「あ。紹介します。我々平和外国語大学翻訳部の副部長の物部です。」と福本が言った。「元、副部長だな。後輩達がお世話になっております。」と、物部は頭を下げた。

「いやいや、いつもお世話になっているのはこちらの方ですよ。」と管理官は丁重に挨拶した。横から久保田刑事が「ところで、大文字さんは?」

「急に親戚に行きました。管理官は何故ここに?」

「実はなあ。誠も遂に『年貢の納め時』が来たんだよ。」皆不思議そうにしているので、久保田刑事が「不肖私久保田誠は、お見合い相手の一人と、この度婚約を致しました。今日はそれを大文字夫妻に報告に参りました。」

「久保田先輩。おめでとうございます。」とみちるは言い、敬礼した。

 皆、拍手喝采をした。久保田刑事はしきりに照れている。

「言っといて貰えれば、ウチの店、貸し切りにしたのに。」と物部は言った。

 その均衡を破って伝子のマンションの固定電話が鳴った。高遠は電話に出ると、すぐにスピーカーをオンにした。

「おい、聞いているのか?大文字伝子は預かっている、と言っているんだ。」と電話の声は言った。「はい。聞いています。」と高遠は応えた。「そうか。また電話する。」電話は切れた。

「おい、高遠。先輩は大阪の親戚に出掛けたんじゃなかったのか?」と福本が言った。

「これはいかん。誘拐は48時間が勝負だ。すぐに逆探知の準備をさせよう。」と管理官は久保田刑事に指示した。

「高遠。その大阪の親戚にまず問い合わせたらどうだ?」と物部が言った。

「それがいい。俺は用事が出来たみたいだから、お暇する。頑張れ、高遠。失礼します。」と後半は管理官に頭を下げながら、筒井は言った。愛宕は筒井に、「次の任務ですか?」「うん。大文字のことは気になるが、仕方ない。君たちの健闘を祈る。」そう言って、出て行った。

 高遠はPCの、伝子の住所録を探し、スマホで電話した。スピーカーをオンにした。

「結婚?知らなかったわ。あなた、大文字学って名乗ったけど、婿養子に入ったの?」

「はい。結婚式にお呼びすることを勧めたんですが、もう親戚は関係ないって言って聞かなくて。」「それはねえ。妹と大げんかしたからよ、きっと。私くらい呼んでくれれば良かったのにね。」

「それでですね。大阪に行くと言って伝子さんは出掛けたんですが、その後、誘拐の電話があって。」「まあ、大変。うちに来る積もりで、うちに来る途中で誘拐されたの?今日来るって連絡はなかったけれどねえ。警察には?」「連絡しました。」

「進捗連絡してくださる?」「勿論です。」高遠は通話を切った。

「どこで誘拐されたんだろう?先輩のお母さんの連絡先は知らないんですか?高遠さん。叔母さんのところへ行くつもりで、そちらに行こうとしたとか考えられないですか?」と南原が言った。

「まさかねえ。嫌いな人の所へは行かないよ、お兄ちゃん。」

「一応、電話しよう。」と、高遠はPCを見ながらスマホに向かった。

「私も蘭ちゃんに賛成だわ。先輩はお母さんと犬猿の仲なんでしょ?今、叔母さんも言っていたし。」

 電話していた高遠は皆を見回してから、管理官に言った。「知らないわよ!」の一言でした。「根が深いようだな。」と管理官は言った。

 席を外していた久保田刑事が逆探知の班員を連れて戻ってきた。「済みません、すぐ準備を。」高遠に手伝って、南原や福本が要領よくテーブルをPCルームに設置し、班員は準備をした。PCも1台設置した。甘栗と焼き芋は台所の隅で、ほのかにいい匂いを発していた。

 食堂に集まっていた者の一部はAVルームに分散した。

「副部長。時間大丈夫なんですか?」と福本に言うと、物部は「今日は定休日だ。定休日でなくとも、休みだ。」と応え、「ところで、南原さんは?やはり大文字の後輩?」と南原に尋ねた。

「高校のコーラス部の後輩です。」と南原は応えた。「大文字は色々部活やっていたんだなあ。」と物部が感心した。

「伯父さんの、お母さんのお兄さんの影響らしいですよ。伯父さんは高校の時、4つのクラブを掛け持ちしたそうです。でも、ちゃんと大学に進学された。伝子さんは伯父さんっ子だったんですね。このマンションにあるAV機器やPCは皆伯父さんの遺産だそうです。お母さんと大げんかした原因でもあります。伯父さんの遺言に従った結果です。」

 と、高遠が割って入り、解説した。「大げんかの原因?遺言があったんでしょ?」と、横からみちるが言った。

「うん。お母さんが無視して処分しようとしたらしい。お母さんは機械音痴でね。自分が扱えないモノはゴミでしかない、そんな感覚らしい。生前から処分を迫っていたらしいよ。伯父さんは友人に譲る積もりだったけど、結局伝子さんに譲った。」

「そりゃあ、犬猿になるわね。しかし、何故誘拐犯人は大文字先輩を誘拐したのかしら?ひょっとして、この機器に『大金』になるものがあるとか。」「まさか。だったら、前の事件の時に盗られているよ。」と福本夫妻は会話した。

 そんな中、固定電話が鳴りだした。高遠が電話を取った。すぐにスピーカーをオンにした。「はい。大文字です。」管理官が、話を長引かせろ、と合図を送る。

「大文字伝子は預かっている。」「さっきも聞きました。伝子さんの声を聴かせて頂けませんか?」「ダメだ。じゃ、取りあえず要求を聞かせてください。身代金ですか?」

「要求?そうだなあ。一千万でも頂こうか?」「ウチにそんなお金はありませんよ。せいぜい集めても三百万ですが、もう銀行閉まってますよ。」

「ATMってものを知らんのか?」「キャッシュカードがありませんから、回数分けて下ろすことが出来ません。明日、銀行が開いてからでも、時間は多少かかると思います。」

「今時、キャッシュカードがないとでも?」「私は婿養子ですので、キャッシュカードは預かってはおりません。クレジットカードも伝子さんは作っていません。」

「通帳と判子はある、ということか。」「そうなりますね。」「じゃあ、明日の10時に持って来い。場所と受け渡し方法は、そうだな。後で連絡する。」

「ちょっと待ってください。そこにいるんですよね、伝子さんの声を聴かせてください。」

 高遠が誘拐犯人との交渉に苦戦しているその時、伝子は帰ってきた。「ただいまー。」

 入り口近くにいた愛宕が息を飲んだ。「大文字。脚は2本あるな。」「4本あればケンタウロスだ・・・懐かしい蘇我のギャグだな。それより、物部。何の騒ぎだ?やけに人が多いようだが。」

 福本が寄って来て、かいつまんで経緯を説明した。「ふうん。」

 PCルームに入ると、高遠が固定電話に向かって、丁寧に電話していた。

 管理官に職員が紙を渡した。「逆探知成功です。」それを伝子は読んだ。

 久保田刑事もそれを読み、愛宕夫妻に合図して、出て行った。

 管理官にウインクをした伝子は固定電話の受話器を高遠から奪い、「伝子おねえちゃんはどこ?」「お前は誰だ?」「妹よ。身代金は払うわ。場所を教えて頂戴。」「後で連絡する。」と電話の主は電話を切った。

「酔っ払っている。あの声、ひょっとしたら、利根川じゃないのか?」と伝子が言った。

「ああ、そうですよ。先輩。じゃ、あの事件を根に持って・・・。」と福本が言うと、「そうだわ。あの事件の後、依願退職したわ。実質上クビね。」

「どこで大文字君を突き止めたか知らないが、誘拐罪は成立しないが、脅迫罪は成立するな。逆探知班は解散、撤収だ。」と管理官は班員に言って、「私もお暇する。」と福本たちに言い。帰って行った。

「大文字。今までどこに行ってたんだ?」「栞だよ。逢坂栞の所だ、覚えてるだろ?物部。」「勿論だ。がんで亡くなった蘇我の元妻だ。再婚しないままだ。一生再婚しないかもな。旧姓に戻したことは聞いているが。」

「栞が感謝している、と伝えてくれ、と言付かった。毎月蘇我部長の墓参り行っているそうだな。」「ああ。今の俺に出来ることはそれくらいだから。」

「学。お前、栞の旧姓知らなかったのか。『オオサカに用が出来た』と言ったのは、言い方が悪かったかな?」

「ああ。部長の奥さんだった栞も、我々と同学年で、翻訳部にいたんだ。」と物部が言った。

「栞がなあ、物部。遺産分けだと言って小切手送ってきたんだよ。それで返しに行ったという訳さ。その代わり、これを貰ってきた。これ、物部の分。」と、伝子は手にした本2冊の内1冊を物部に、もう1冊を高遠に手渡した。

「これ、蘇我が翻訳した本か?対訳になっているな。後ろの方に大事な単語の解説まで付いている。」と、物部は感心した。

「もうこれはバイブルですね。見ろよ、福本。」と、高遠は自分が手にした本を福本に手渡した。

「確かに。流石部長だね。」と福本は感心した。

「今は2冊しかないが、今度本屋に出回ることになったらしい。勿論、福本達はここに来て読めばいい。あ、そう言えば、ヨーダはどうした?」

「ゴルフで直帰。誘拐事件じゃなかった、ってメッセージ送ったら、先輩は誘拐されるタマじゃないと思った、だって。」

「あいつには、その本を貸さない。」経緯を見守っていた蘭が、「ご馳走、もう食べていいかな?」「ああ、いいよ。銀栄堂の洋菓子もみんなで食べよう。学、用意しろ。みんなに心配かけた罪は重いぞ。」「はい。」

 伝子が固定電話で叔母に電話している内に、愛宕から高遠に電話が入った。祥子が代わりに皿等の準備をやり出して、蘭が手伝った。

 高遠はスピーカーをオンにした。「今のところ、誰が大文字先輩の存在や電話番号を教えたかはまだ分かりません。利根川は資料を見て、例の件の憂さを晴らそうと、いたずらしただけだ、と言っています。久保田先輩は、ストーカー規制法より脅迫罪だろう、って怒ってましたが、どうですかねえ。」

「気味が悪いなあ。」と、電話を切った高遠は、同じく電話を切った伝子に「ああ、伝子さん。久保田刑事、結婚されるそうですよ。」「おお。それは朗報。じゃあ、ジュースで乾杯するか。」

 皆の談笑と小パーティは数時間続いた。

 ―完―



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