第9話 田舎のおじさん

 (※某アスリートの離婚話がでてくるので苦手な方はすみません。)

 どこに住んでいようとコミュニティが極端に狭い人っていますよね。物理的に近くに人が住んでないとか。普通の会社勤めだけれど転勤もなく取引先も固定で何十年も顔ぶれが変わってないとか。

 昔小さな店でバイトしたことがあるんですが、そこはおじいちゃんが店長で社長、従業員は奥さんと勤続二十年の人が一人、他は店番のバイト数人という店でした。客が頻繁にくるような店でもなかったので、もうとにかく会話がマンネリなんですよ。ある程度「休みの日は何してんの~」的な会話が終わってしまえば、あとは芸能ニュースか誰かの悪口だけ。なんか煮凝りみたいな独自な価値観が誕生しちゃうんですよね。一年で辞めました。

 数か月前に某氏が結婚を発表した時、私はまったく興味がありませんでした。相手の詳細を一切公表しないというのも今時べつに珍しい事でもないよね、ぐらいでした。ただそれからちょっとして地方新聞が相手の方の名前・職業等を公表したときは驚きました。あ、それやっちゃうの・・・?と。ただすぐに訴えられるだろうなとも思ったんですよ。某氏に対する私の勝手なイメージもあって。

 けれど訴訟は起こされないまま某氏は離婚を発表しました。正直ここまででもまだあらら・・・ぐらいの感想しかありませんでした。ただ、一方的に超感情移入してしまったのは勝手に氏名を公表した地方新聞側の言い分をネットニュースで見た時です。

 おっさん、妻の亡き父の知人だったんかい!!! そりゃ訴えられないよ!

 ここからは勝手な私の憶測ですが、この勝手に記事を書いた”おじさん”は情に厚い「いい人」です。正義感が強く、声もでかく、あけっぴろげで自分は何一つ後ろ指をさされるようなことはしていないと胸を張って言っちゃう人です。今回の件だって可哀想だから背中を押してやったぞ!幸せになれよ!とか思ってのことだったんでしょう。奥さん的には味方に背後から撃たれた気分だったと思いますが・・・まじ気の毒。

 若い人同士が色々考えに考えてよかれと思ってやったことを、大鉈でぶったぎるような傍若無人っぷり。例えるなら無農薬野菜を育てたいのに後からきて勝手に農薬を撒いてくような。農薬を使った方が楽だろう!とか叫びながらね。いや、わかってるしこれまでの農業の歴史を否定するつもりもないけれど、今回は違うやり方でやりたいんだ・・・とか言っても通じない強硬な善意。辛いね。でもこういう人ってわりといるよね。「根は悪い人じゃないから」「あなたのことを思ってのことだから」そう言う言葉で納得できないまま頷かされてきたことってあるよね。しんどいね。

 タイトルに田舎の、をつけたのは本人が田舎者だからわからんと言ってた(と記事にあった)からです。田舎だけじゃなくて都会でも所属してるコミュニティが小さいとこういう人間がいるよね。しかもそこそこ愛されてたりする。

 勝手に想像して勝手にダメージを受けたので、勝手に日本の片隅から関わった人々の幸せな前途をお祈りします。夕焼けが奇麗だよ。

 

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