第71話 ニーナ

「いい眺めだな〜」


螺旋階段を登り切った俺たちは、砦の上の通路を歩いて、街側の方の壁際まで行き、砦の街見下ろす。

街は住宅が多く密集していてとても整ってる。上から見ると屋根の色も鮮やかで綺麗だ。

夜になったら灯でもっと綺麗になりそうだな。


「ん?なんだ?」


そんなことを思っていると通信魔法が反応しているのがわかった。


「どうかしましたか?」

「通信魔法に着信が来てな、ちょっと出てくるよ」


皆んなの了承の返事を聞いてから、俺は皆んなと離れたちょっと離れたところまで行く。


「えーっと着信はニーナからか」


まぁわかっていたけども…


「もしもし」

((ミツキ!今どこにいる!?))

「どこって帝国だけど…」

((今すぐ帝国を出るんだ!))

「ちょっとニーナ落ち着いて、急にどうしたんだ?」

((すまない、実は王国が帝国に戦争を仕掛けることがさっき発表されてな。それで戦争が始まるのが4日後らしいから巻き込まれる前に帝国を出た方がいい。))

「それはまた急だな」


まぁ知ってるけどね。


((あぁ、わたしもさっき聞いた時は驚いて、上層部に戦争を止めるよう問いかけてみたんだが取り合ってくれなくてな、王国軍はもう砦にいるみたいだし、戦争が4日後と聞いた時は意味がわからなかったよ。))

「そうか、それでニーナは俺のことを心配して連絡してきてくれたって訳か…」

((い、いや!べ、別に心配してた訳じゃない!だだミツキが戦争なんかに巻き込まれるのは嫌だっただけだ!))


ん?それって心配してくれてるんじゃないのか?

テンパってニーナは気づいてないみたいだが…


「ありがとなニーナ。連絡して貰えて助かったよ」

((そ、そうか。それなら良かった。それにしてもなんだ急に上層部はこんなことをしたんだろう…本当に意味がわからない…))


うーんニーナには本当のことを話しておいた方が良さそうだな。


「ニーナ、信じてもらえるかはわからないが今から俺が知っている情報を話すから聞いてくれ」

((う、うん?わ、わかった))


そうして俺は、王国の上層部が腐っていること、その上層部がヴェクトリア聖国に脅されているかもしれないということをニーナに話した。


((わかったミツキを信じるよ。))

「そんな簡単に信じて良いのか?」

(あぁ、ミツキが嘘を言ったところでなんのメリットもないし、それにミツキだから信じるよ)

「お、おう。そ、そうか」

((それにしても、この王国の国王が犯罪者だとはな。やはりこの国には来るべきではなかったか…ミツキはこれからどうするつもりなんだ?))

「取り敢えず、戦争を止めようとしてるけど」

((へ?今なんて言った?))

「いやだから戦争を止めようかなって」

((いやいや、何言ってるの?))

「ん?通信魔法壊れた?」

((いや通信魔法魔法は正常だから!ミツキの言ってる意味がわからないだけだから!))

「そのままの意味だが?」

((いや、今すぐ避難した方がいいって言ったのになんで戦おうとしてるの?本当に危ないから避難して!))

「ありがとうな、でも大丈夫だよニーナに会った時から俺、1000倍は強くなってるから!」

((そういう問題じゃない!私は本当にミツキが心配で…))


やっぱり心配してくれてるんじゃないか。


「本当に大丈夫だ。絶対死なないから」


声のトーンを下げて俺は言った。


((………わかったよ))


結構時間経っちゃったな、皆んなを待たせ過ぎるのは悪いし詳しい話はまた夜にでもするか。


「それじゃあそろそろ切るぞ。詳しい話はまた夜に話すから」

((ちゃんと話してもらうからな))

「わかってるよ。それじゃあな」


そう言って俺は通信魔法を切り、皆んなの元へ戻った。


「お待たせ皆んな。それじゃあ行こうか」


俺たちは砦の上の国境側に向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る