第70話 帝国の砦

「そういえば砦に何しに行くんだ?」


そう聞いてきたのはローザだ。


「んー砦の構造の把握と国境の地形確認かな。何かあった時の為にな」

「なるほどな…」


まぁ今言ったこともあるけど1番は魔法を撃つ場所の確保だな。砦の上から魔法撃つとかなんかかっこいいじゃん?あれ?そうでもない?


「着いたな。」


着いたはいいが何故か人がすごい居るな。


「ここはなんでこんな人がいるんだ?」

「観光名所だからですよ」


砦を観光名所にして大丈夫なのか?


「帝国の砦は他の国より立派で、どっちかって言うと城に近いだろう?だから観光目的見にくる人も多いんだよ。それと一応、中に入れるようにもなっている。」

「それは砦として大丈夫なのか?もし何かあった時どうするんだ?」

「それに関しては問題ない。帝国の宮廷魔導師が24時間砦の上と中から監視しているし、異常が起きた時は避難できるようになっている。」


どうやって避難するんだろう。急に来た時に安全に避難できるのか?


「テレポートの魔法陣が中に設置されているんですよ。だから避難が簡単なんですよ。」


俺が何で悩んでいるか察したサーシャはそう言って来た。


「テレポートの魔法陣か…なるほど」


テレポートの魔法陣はレアではあるけど結構いろんな所で使われているんだな。


「それじゃあ砦に入ろうか」


そう言ってから少し歩き、俺たちは砦の前まで来た。


「こんにちは、観光ですか?」

「いや、軍務関係者だ…」


受付に行きそう聞かれると、ローザがそう言ってギルドカードを取り出した。

ローザもギルドカード持っていたんだな。身分証みたいな感じだからみんな持ってるのかな?


「ローザ様でしたか…どうぞお通りください。」

「あぁ」


そう言ってローザは中に入って行く。それに続いて俺たちも入る。

俺たちのこと特に何も言われないんだな。まぁそっちの方が助かるからいいけど。


「すごいなこれは」

「私も初めて来ましたが圧巻ですね。」


扉はずーっと開いているのでチラチラ見えてはいたが中に入るとまた違った雰囲気が漂っていた。数十メートルはある天井と広々とした空間が目に入り、壁や床などは白統一で神聖な雰囲気を感じる。


「この天井の上が色々な施設になっているんだ。」

「ヘぇ〜そうなのか。1番上に行くにはどうすればいいんだ?」

「あぁそれならそこの階段を登れば砦の上に出れるぞ」


そう言ってローザが指をさした場所は俺たちがいる場所から見て右手にある塔みたいな場所だった。


「あれは?階段なのか?」

「中は螺旋階段になっているぞ。ここからじゃよくわからないけど。行くか?」

「あぁ行ってみよう」


そう言って俺たちは塔の方へ歩き出した。


「それにしてもやはり人が多いな。」

「年中こんな感じらしいですよここは。私が来た時もこんな感じでしたよ。」

「サーシャも来たことがあるのか?」

「えぇ、騎士団に入っときに一度」

「へぇ〜やっぱり騎士団に入ったら一度来ないといけないのか…」

「えぇ。騎士団に入る時には一度砦を見る決まりになっているんですよ、内部構造なんかもみて回って一度に全部覚えるのは大変でしたよ。まぁ敵の侵入を拒む場所ですからね戦う私たちにとってはとても重要な場所ですから覚えないとダメなんですよ」

「それは大変そうだな…」


俺だったら嫌になって投げ出しそうだな。だってこの砦外から見た感じだとありえないぐらい広いからな。普通に無理。


そんなことを思っていると塔の内部に着いた。


「思った通り高いな…」


上を見上げると百メートルぐらいはある螺旋階段がある。ずーっと見てると目が回るな。


「これどうやって作って維持してるんだろう…」


この螺旋階段脆くなって崩れ落ちそうな感じがするしな。魔法とかで維持してないときつそうだ。


「作ったのは誰かはわりませんが維持してるのは帝国宮廷魔導師らしいですよ。相当でかい魔法で維持しているらしいです。」

「へぇ〜やっぱり魔法で維持しているのか…取り敢えず登ってみるか。」


そう言ってから俺たちは階段を登り始めた。


「今何段ぐらい登ったんだ?」

「わかりません。結構登ったと思いますけど」


あれから何分間登ったけど一向に上が見えて来ない。


「エレベーターが欲しいな」

「エレベーター?」

「あー気にするなただの独り言だ。」

「私は飛行魔法を使いたいです。もう疲れました。」

「その手があったか。二人とも飛行魔法の練習だ。階段から数cm離した所で飛行魔法を維持しながら上へ進んでいくぞ。」


疲れずに登ることができるし、飛行魔法の練習にもなる。一石二鳥だな。


「ローザは飛行魔法は使えるのか?」

「もちろん使えるぞ」

「そうか良かった。」

「それじゃあやっていこうか」


そう言って俺たちは飛行魔法を使いながら階段を登って行く。

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