第60話 事情説明

出発してから数十分して、帝都の門を出て人気のないところまでやってきた。



(スキル"飛行"発動)


二人の手を俺は両手で繋ぎ、飛行スキル発動させる。

一応二人は飛行魔法が使えるのだが速度が出ないため今回は俺の飛行スキルを使う。


(【超結界】発動)


二人の両手を繋いだまま300メートルぐらいまで上昇し、結界魔法をかける。


「それじゃ二人とも行くよ。相当速度出すつもりだから怖かったらいってね」

「はい」

「わかりました」


二人の返事を聞いて俺たちの空の旅はスタートした。


「ミツキの飛行魔法速すぎですよ」

「あははー!速すぎて下が全く見えないー!」


空を飛んでから1分も経たないうちにサーシャがそう言いだし、それに続いてミーナちゃんも言葉を口にした。

この様子だと怖くないようだな。

ミーナちゃんは空の旅を始めるとやっぱりはしゃいでいていつもの雰囲気と違く、まだ13歳の子供なんだとわかる。それとギャップの差が凄くてめちゃくちゃ可愛い。


「ミーナちゃん楽しそうだな」

「そうですね」


そうして俺たちは砦に着くまでの間、空の旅を楽しんだ。


「よし、ここら辺でいいか」


夕日が沈む頃に俺たちは砦がある街の前まで着き、人気のないところで高度を下げ、飛行スキル解除して地面に降りた。


「二人ともここからは歩いて行くぞ」

「はい!」

「わかりました」


それから街道を進み街の中へ入る。


「取り敢えずローザに連絡しよう。」


そういって俺は通信魔法を使いローザに繋いだ。


((どうした?なんかトラブルでもあったのか?))

「いや今砦の街に着いたところだ」

((もう着いたのか早やかったな))

「あぁ思ったより早く着いた、今からそっちに行きたいんだが、ローザは今どこにいるんだ?」

((今は砦の近くの宿にいる。豪華な宿だから一目見ればすぐわかると思う。それと私の名前を出せば部屋に通してもらえるように受付の人に言ってあるから))

「わかった。それじゃ」


そう言って通信魔法を切り、俺たちはローザのいる宿に向かった。


「ここか…」

「なんかすごい豪華ですね。」


ローザのいる宿は一発でわかった。10階建ぐらいの建物で、一言で表すと豪華と言う言葉が似合う。日本言うめちゃくちゃ高級なホテルみたいな感じだ。


俺たちはそのままロビーに入り受付へ向かう。

内装は大理石?みたいな感じの石が使われていて、一面真っ白だ。


「いらっしゃいませ。お泊りの方でしょうか?」


受付へ行くと20代ぐらいの女性が声をかけて来た。


「いえ、ローザさんに会いに来たのですが…」

「ローザ様のお客様ですね。ではこちらは着いて来てもらえますか?」

「はい」


受付の人の後ろをついて行き、しばらく階段を登り廊下を歩くと受付の人が一つの部屋の前で止まる。


コンコン


「ローザ様、お客様をお連れいたしました。」

「入ってくれ」


そう言われ俺たちはドアを開け中に入る。


「ご苦労、職務に戻って良いぞ」

「わかりました。それでは失礼します」


受付の人はそう言い部屋から退出した。


「こうやって顔を合わせるのは久しぶりだなローザ」

「あぁ、そうだな。ミーナとサーシャも久しぶり」

「はい」

「お久しぶりです」

「取り敢えずそこに座ってくれ」


ローザにそう言われ俺たちはソファに並んで座る。対面にはローザが座る。


「それじゃあ、情報などその他諸々聞かせてもらってもいいか?」

「あぁ、わかった、取り敢えず情報からでいいかな…まず、貴族達が領民達を監禁していた理由についてだ…」

「貴族達が…?監禁?領民を…?」


そこまで俺が言うとミーナちゃんがなんの話かわからないのか首を傾げている。


「なんだお主、二人に話していないのか…」

「あぁ」


二人には昨日のことはまだ何も話していない。旅の途中で話せば良かったんだが楽しくてすっかり忘れていた。


「そうだな…二人にはまず俺がこの1ヶ月何をしようとしていたのかから話そうか。それと帝国のことと昨日のこともね」


「はい」

「お願いします」


それから俺は、この1ヶ月間の事と昨日のことを二人に話した。


「貴族達がクーデターを起こそうとしていたのですね…」

「それをミツキが止めてくださったと…」

「帝国のためにありがとうございます」

「私からもお礼を言わせてください。本当にありがとうございます」


あれ?暗殺に関しては何にもないの?


「なんで?って顔されてますね」


あれ?バレてる。さすがサーシャ


「理由は簡単ですよ。帝国の貴族でありながら領民達を監禁して、クーデターを起こそうとした愚か者たちを先にそれも、なんの被害も出さず始末してくれたからですよ。もしクーデターが起こっていたら帝国は相当な被害を受けていました。それをミツキが事前に止めてくださったのです感謝しかありませんよ」



「お主、この世界は基本的に貴族だろうと、王様だろうと犯罪者などは即刻始末するべき対象になっているんだ。お主がいた世界とは全く考え方が違うんだよ。」


なるほどなこの世界では、例えどこの誰であろうと犯罪者は犯罪者。それを殺した者はよく見られるってことか。


「そうか」


俺がこの世界のことに納得しているとミーナちゃんから声が掛かる。


「ミツキ様、ローザ様が言っていたこの世界とお主がいた世界ってどういうことですか?」


「「…………」」


俺とローザはミーナちゃんの言葉を聞き、無言になった。

俺はローザに視線を合わせ心の中で叫んだ。


(ローザァァァァ!!!!何やってんだァァァァ!!!)

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