第56話 救出2

俺の指示に従って、領民達は移動して行った。

俺は聞きたいことがあったので1人に残って貰った。


「私たちを助けてくださりありがとうございます」

「当然のことをしただけですよ。一つのお聞きしたいことがあるんですがいいですか?」

「はい。大丈夫ですよ」

「この下の魔法陣はなんなのでしょうか?」


そう、俺は床に書いてある魔法陣が気になってしょうがなかった。


「これは、テレポートの魔法陣ですよ。場所を指定して魔法陣で2点を繋ぐと人でも、物でもテレポートができるんですよ。」

「ありがとうございます」


なるほどテレポートの魔法陣か…便利だな。


「ちなみにこのテレポートはテイガン領の領主の屋敷に繋がってると思います。ここから何度も領主がテレポートして来たので…」


「……………」


おい、これ使えばローザの部下達ここに来れたんじゃないか?俺くる意味なかったんじゃないか?てかなんで小説でテレポート使う作品幾多も読んでんのにテレポートの発想なかったんだよ俺…

それだけこの世界に来て、切羽詰まっていたってことか…

まぁいい、取り敢えず俺も領民達の所へいこう。


「あの〜大丈夫ですか?」

「あ、はい大丈夫です。それじゃ俺たちも行きましょうか」


屋敷の入り口まで戻ると領民達が固まって座っていた。

取り敢えずローザに連絡するか。

そう思い俺はローザに通信魔法を繋げる。


「ローザこっちの領民達は無事救出した」

((え?もう終わったのか?まだ2時間も経っていないぞ?というか休めと言ったはずだが…))

「早めに助けないといけない事情があったんだよ、それは後で話すとして…領民達は元の家に戻してもいいと思うか?」

((あぁ、取り敢えずはそうするしかないだろう、領主が死んだ今、領民達は厳しくなるだろうが…そこは帝国の上がなんとかするだろう))

「それでローザ。実はテレポートの魔法陣というものがあったんだがどうも領主の屋敷に通じているらしくてな、部下達は領主の屋敷に着いているか?」

((部下達はもう着いていると思うぞ、テレポートの魔法陣でそちらにも何人か送るから準備だけしといてくれ、その後は部下達に全部任せていいぞ))

「ありがとう。正直全員を返すとなると骨が折れるからな。ほんと助かる。」

((このぐらい当然だ、お主に頼んだのは暗殺だからな。それよりお主は早く休め。さすがに疲れただろう))

「あぁ、そうさせてもらう。それじゃ」


そう言って俺は通信魔法を切った。

さて…


「皆さん聞いてください!これから…」


ドォン!!


俺の言葉を遮るように二階のドアが10個以上同時に開いた。開いたドアから人が出て来て二階から俺たちを見下ろす。


「何事だ!?」

「なぜ領民達がいる!?」

「貴様誰だ!!」


(大声出しすぎたか…)


こいつらは領主に監視をまかされている領主の仲間達だろう。〈心眼〉を使った時に一応気配は掴んでいたが無視していた。だが見つかった以上口封じをするしかないな。なんかこれ悪役のセリフっぽいな!


こいつらはあのクソ領主の仲間だ。慈悲は与えるつもりは元からない。


「【超結界】」


俺は被害がいかないように領民達に【超結界】を使う。


「皆さん10秒の間だけ目を瞑ってもらえますか!!」


俺は領民達にそう呼びかけ…


「【ウィンドカッター】×10」


すぐさま魔法をさせる。

俺のウィンドカッターは二階にいる敵の首へ飛んで行き、首を簡単に刎ねた。


よし終わり。


「もう目を開けて大丈夫ですよ!」


俺は結界魔法を解いて目を開けるように言うと領民達は目を開ける。


「あれ?さっきの人たちは?」

「どこへ行ったんでしょう」

「消えた?」

「いやでもさっきまで二階にいたよな」


領民達が騒いでいるので俺は話しかける。


「どうかしましたか?」

「さっきの人たちはどこに行ったんですか?」

「さっきの人たち?」

「二階に誰かいましたよね?」

「いやいませんでしたよ。幻覚でも見たんじゃないですか?」

「いやでも、声も聞こえたような」

「幻聴ですよ」

「そうですか…」

「ええそうですよ」ニコニコ


こんな会話をしているうちに正面のドアが開き、そこからローザの部下達だと思われる人達が入ってくる。

てか100人くらいいないか?ローザの部下多すぎだろ!?


「ミツキ様ですね。お疲れ様です。ここからは私たちがお引き受け致します」


リーダーと思われる男性が俺の前まで来て話しかけてくる。


「わかりました。それじゃあよろしくお願します。皆さん!この人達が家まで送ってくれるそうなのでついて行ってください!」


俺は男性に返事を返してから、後ろを振り返り領民達に声をかけ玄関から出ようとする。


「助けていただきありがとうございました!」

「ありがとうなにーちゃん!」

「本当にありがとうございました」


領民達の感謝の言葉を聞きながら俺はドアを開け屋敷を後にした。

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