第57話 戦争まで
俺は廃墟屋敷を出た後、透明魔法をかけ、飛行スキルで空を飛ぶ。
取り敢えずクーデターは未然に防げたな。次は戦争か…正直戦争と言ってもピンとはこない、つい先月までただの高校生だったからなわかるはずもない。
そう言えば人を殺すのになんの抵抗もなかったな。小説とかでは、嫌悪感があったり嘔吐したりする描写があるけど…俺はそういうのが全くない、もしかして人間やめた?思い返してみればこの世界に来てから血とか見ても嫌悪感が全くないな、元の世界で血の動画とか観たら嫌悪感はあったのにな、この世界に来たから変わったということか。
「もう朝方だな」
それから飛行スキルのスピードを上げて1時間ぐらいすると王城が見えて来た。日は登りかけており朝の霧と相まってとても幻想的だ。
王城の自室の窓を見ると行った時に開けた窓がそのままになっている。
「よし、戻るか」
俺は窓から部屋に戻った。
透明化の魔法を解除してからベットに横になり明日からのことを考える。
ローザに報告しないと行けないし、起きたら早めに砦に行くか。
ディレイクさんにはなんて言って出て行こうか…
んー長期クエストで部屋を開けるって言えば誤魔化せるかな?
あとはミーナちゃんとサーシャか二人には魔法をちょっとお休みしてもらうしかないか。
よし、方針は決まった、ゆっくり寝てから出発しよう。
「お休み〜」
そうして俺は眠りについた。
起きるて時計を見ると昼の13時。
チュンチュンなんて聞こえるはずはなくベットから体を起こす。
「ふあ〜うんよく寝た。」
俺はベットから起きて朝食、いや昼食を食べるため部屋から出るためドアを開けると…
「きゃっ!」
「うおっ!」
ドアの前に立っていたミーナちゃんとはち合わせ、ミーナちゃはびっくりしたのか転んでしまった。
「大丈夫?ミーナちゃん」
俺はミーナちゃんに手を差し伸べながらそう言う。
「はい、大丈夫です。ありがとうございます」
そう言って俺の手を取ってくる。
「ところでなんか用事でもあった?」
「いえ、特にはないんですが…食堂に来ていなかったので
あれ?ちょっとなんか怒ってる?
「ご、ごめん特に寝てたとかじゃないんだけどちょっと色々やってたんだ…」
「そうですか…」
それでもまだ訝しげな目を俺に向けてくる。
うん、起きたばっかりですごめんなさい。
「それじゃあ俺は食堂にいくね」
「私も行きます」
「え?」
「私もまだ昼食を食べていないので」
「そうなの?もしかして俺を待って…」
「そうですよ。ずーっと待っていたのにこないからこうして部屋まで来たんですよ」
「そうか…ごめんな」
「いえ、気にしていませんよ。私が勝手に待っていただけですから。それに昼まで寝ているのはなにかしらの理由があるんだと思ってますから…」
この子結構鋭いな。
「まぁそんな感じた」
「…やっぱり寝ていたんですね」
はぁ〜とため息をつきながら呆れた顔をしながらミーナちゃんがそう言った。
カマかけられた!?なんて子だミーナちゃん!!?
そんなこんなで話しながら歩いていると食堂についた。
「こんにちは、ミツキ」
「サーシャ、こんにちは」
食堂に入るとサーシャが座っていたので、正面に座り挨拶を返す。ミーナちゃんは俺の隣に座る。
「ところでミツキ、今日の朝方姿が見えなかったようですがどこに行ってたんですか?」
あれ?なぜバレている!?
「なぜそのことを…?」
「ちょうど朝方に庭へ出て訓練をしていたらミツキの部屋の窓が開いていて、この時期はまだ冷え込むと思いミツキの部屋まで行ってノックをしたら反応がなくて鍵が開いていたので部屋に入ったらミツキの姿が見えなかったんですよ」
「そ、そうか…まぁあれだよあれ、ちょっと俺も訓練にね!?」
「そうですか…なんか困ったことがあったら言ってくださいね。力になれるかわかりませんが協力しますから…」
ジト目で俺を見て来てからサーシャはそう言った。
やっぱり嘘だってことバレてるな…
「ありがとう。サーシャ」
「私も協力しますからね!」
「ミーナちゃんもありがとう」
それから雑談しながら待っていると昼食が運ばれてくる。
そうだまだ王城を空けることを話していなかったな。ちょうどいいし話すか…
そう思い俺は話を切り出した。
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