第32話 お風呂
あの後、サーシャさんと握手を交わし、王城の応接室に一旦戻った。なんでもディレイクさんからまだ話があると言うことらしい。
席に全員つくと宰相のマキシスさんが話しを始めた。
「それにしても凄かったですね。さっきの試合。ミツキさんの最後の動き全く見えませんでしたよ」
「私も全く見えなかったな」
「私もです。気づいたらミツキ様がサーシャさんの目の前にいてびっくりしました。ミツキ様!あれはどうやったのですか?」
「特に仕掛けはないよ。ただ、自分の最高スピードで走っただけだよ それより…サーシャさんの最後のあのスキルはなんですか?」
「サーシャで大丈夫ですよミツキ様」
「そうですか、なら俺のこともミツキでいいですよ後、敬語は不要です」
そう言いサーシャは続きを話し始めた。
「あのスキルは私のユニークスキルで闘気と言うスキルです。このスキルを使うと使った時点でのステータスを2倍にすることができるんですよ」
「なるほど…身体強化をした状態からステータスを底上げしたんですね…」
敬語が外れてないが、まぁ…いいか…
基本スキルは、同じ系統のスキル同士を重ね掛けできない。
これはこの世界のルールでそう定められているらしいが、稀にそのルールが適応されないスキルが存在する。
だからそういった重ね掛けできるスキルは貴重なのだ。
それから色々な話をして、結構な時間が経ち俺が部屋を出ようとした時、ディレイクさんに呼び止められた。
「そういえばミツキくんは帝国にはどのくらい留まるつもりなんだ?」
「えーっとそうですね。二ヶ月くらいは居るつもりですが…それがどうかしましたか?」
「そうか。それで泊まる宿はもう決めたのか?」
「あ」
やべ全く決めてなかった。どうしようか…
「その様子じゃ決まってなさそうだな。どうだ王城に二ヶ月の間泊まっていかないか?」
「え?いいんですか?」
「娘を助けてくれたお礼だ。そのぐらいはさせてほしい。」
「ありがとうございます。ではお言葉に甘えさせていただきます。」
「それと明日の朝10時にまたここに来てもらいたい。構わないか?」
「えぇ大丈夫ですよ。」
「それじゃあ、改めて娘を助けてくれてありがとう。今日はゆっくり休むといい。」
「はいそれでは失礼します。」
それぞれと挨拶を交わして、俺は応接室を出て、
外に待機していたメイドに、泊まる部屋の前まで案内される。
「ミツキ様の泊まる部屋はこちらになります。何か困ったことがあったら中にあるベルを鳴らしてください。すぐ駆けつけますので。あと、夕食は20時からとなっております。その時になったら、私がミツキ様を呼びに来ますので。お風呂は、部屋の城内地図に書いてありますのでそちらをご覧ください。それでは失礼します。」
「あぁ、ありがとう」
あのメイドさんすごいなあんなすらすら言葉が出てくるなんて。
そんなことより、重大なことに気づいたぞ。
(やっと…!やっと!風呂に入れるぞ!念願のお風呂だ!ここまでずっとクリーンでやりくりしてたけど、やっぱり日本人といえば風呂だよな!よっしゃぁー!部屋を見たら早速風呂に行こう!)
そう思いながら部屋に入って地図を確認し部屋を出て、風呂場へ向かい脱衣所に入って服を脱ぐ。
「おー広いな!完全な大浴場だ!」
大浴場を見渡すと、身体を洗う所がいくつもあり、めちゃくちゃデカイ浴槽1つとドラゴンの口からお湯が出ているのがわかる。
「そこはやっぱりファンタジーなんだな」
俺は身体を洗ってから浴槽に浸かる。
「ちょうどいい温度だな。疲れが吹き飛ぶな~」
浴槽に浸かりながら俺は明日からのことを考える。
ディレイクさんとの話が終わったら取り敢えず、冒険者登録しないとな
もともとそのつもりで来たんだし
それにしても帝国も結構情勢が不安定だな。何も起こらなければいいけど。
「は!いかんこれはフラグだ!何も考えないようにしよう。」
そう思いそのあと1時間ぐらい風呂に浸かり、夕食を食べ、眠りについた。
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