第29話 事情説明
「まずどうやって誘拐されたのか、それと誰がなんのために誘拐をしたのか。もし知っていたらを教えてくれないか?実は通信で報告が来た時は誘拐されたとしか聞いていなくてな」
「分かりました。ではまずミーナ様から聞いた情報では街で演説が終わったあと、帰路につこうとしていたら、前から男の人が歩いて来て突然護衛の騎士を殴りミーナ様を気絶させ、連れ去ったようです。」
「そうか…そんなことが…」
「ところでミツキ様」
「どうかしましたか?」
「様付けとその敬語やめていただけませんか?なんか違和感があります。昨日みたいにちゃん付けで読んでください」ニコニコ
皇帝の前だからそれは結構まずいと思って言わなかったんだけどな。
「敬語じゃなくてもいいぞ?楽にしたまえ」
皇帝がそう言った。
「じゃあお言葉に甘えて。話の続きをします」
「うむ」
「次に誰がについてですが、その冒険者を雇って誘拐させた人はカロン王国の伯爵、マージン・カータという人物です。そしてそいつに命令をしたのがカロン王国の国王です。」
俺がそういうと皆んなの息を飲む音が聞こえる。
「理由については戦争を起こすきっかけが欲しかったと言っていました。」
まぁ実際はステータスを覗いたんだが
「そうか…」
そう言った皇帝は握り拳を作り、怒りを抑えていた。
そりゃそうだ敵国に娘が攫われそうになって怒らない親なんかいない。表に出さないだけすごいとは思うが。
「私はミツキ様のおかげでこうして無事なわけですから間違えても王国を一人で潰しに行こうなんて考えないでくださいね」
ミーナちゃんは空気を感じ取ったのかそんなことを言い出した。
流石の皇帝もそんなことをやろうとはしないで…
「い、いやそんなことは考えてないぞ!?」
考えてたぁー!この人一人で王国を潰そうと考えてたぞぉー!
「はぁー」
「陛下…」
マキシスさんはため息をついてやれやれみたいな顔をしていて、サーシャさんは哀れみの目を向けていた。
少し間を置いてからディレイクさんが話し始める。
「私個人としては、今すぐにそうしたいんだが、皇帝という立場があるしそうもいかん。このことは戦争賛成派に知られたらまずいことになる、だからここにいる者のみでこの情報は止めること、ミーナ、それでいいか?」
「はいそれで大丈夫です。戦争はしたくありませんから…」
「皆もそれで良いな」
皇帝がそういってそれぞれが了承の返事をしたあとこの話は終わりとなった。
「そういえばなんでこんな早く帝都に戻ってこれたんだ?」
「それは、俺の飛行魔法で猛スピードで空を飛んで来たんですよ」
「飛行魔法それは本当か!?」
「えぇまぁ」
「それはすごいな、風魔法Lv8の飛行魔法を習得してるとは…使える者はなかなかいないと聞くが…」
マキシスさんとサーシャも驚いた様子だ。
まぁ特級魔法だしね、使える人はそうそういないと思う、まぁ俺のはスキルなんだけど。
「そこでお父様、ミツキ様から魔法を学びたいのですが許可をくださいませんか?」
「あぁいいぞ。」
「ありがとうございます!」
「ミツキ君、うちの娘をよろしく頼むよ」
「はい」
「ミツキ様は他にどんな魔法が使えるんですか?」
そう聞いて来たのはサーシャさんだ。
まぁ特に秘密にする理由がないし答えるか
「そうですね火魔法はLv7まで使えて、無、風、水魔法は同立でLv5まで使えます。あと一応結界魔法も使えますよ」
「そんなに使えるんですか…それにミツキ様武術の方も相当強いとお見受けしますが…」
「まぁそうですね、どちらかというとそっちの方が得意ですかね…」
まぁスキルとステータスに頼ってるだけなんだけど魔法よりは近接戦をメインにしているからな。
「サーシャお主の目から見てミツキ君に勝てるか?」
「いえ、10秒持たないでしょう、勝てるビジョンが見えません。」
「そんなにか…」
「本当にただの旅人ですか…そこが全く見えませんよミツキ様は」
「えぇただの旅人ですよ」ニコニコ
「そうだ!サーシャよミツキ君と手合わせして見てはどうだ?得る物も多いだろうし強い人と闘う機会もそうないだろう。ミツキ君はどうだ?」
「自分は構いませんが…サーシャさんはどうですか?自分は合わせますよ」
「えぇ、それじゃあ胸をお借りしてもよろしいでしょうか」
正直剣技だけだったら負けると思うし俺も盗める技術は盗んでおこう。
「えぇよろしくお願いします。」
「よし!それじゃあ今すぐ騎士団の訓練所へいこう!」
ディレイクさんがそう言って立ち部屋を出ていこうとする。
てかディレイクさん…ただ闘ってるところが見たいだけなんじゃ…
ディレイクさんに続いて俺たちも席を立ち、ディレイクさんの後ろを歩いて部屋を出る。
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