奇跡 - 1

 あれから妹は忙しそうにしていて、話す機会がなかった。

しかしある日突然妹に頼まれた。


『卒業式でピアノの伴奏をやってほしい』


頭の中が真っ白になり、固まってしまった。

どうやら妹が学年の先生に頼み、快諾してくれたらしい。

その先生は私のことをよく知っている3年生の時の担任だった。


『夢、叶えられるよ』

聴く人を笑顔にするピアニスト。私の夢。でも、卒業式ではみんな泣いてしまうのではないか。

そう思ったのだが、妹は私の声を聞く気はないようだ。

そっちがその気なら成し遂げてやる。そう心に決めた。


そんな妹だが、指揮をするとか。突っ走ってしまう妹だから少し心配だが、私のためにと思ったらやる気がわいてくる。

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