奇跡 - 2

 いよいよ卒業式本番。私は先生の指示を見ながら動く。

何回も練習してきた。妹の晴れ舞台。

念のためしても聴こえないが補聴器をつけて舞台へ。

演奏前に妹が学年を代表し挨拶を述べた。何と言っているかはわからない。


妹の指揮を見て弾く。時々楽譜を見ながら。


楽しい。素直に思った。

こんなに楽しいと思ったのは何年ぶりだろうか。


弾き終えると先生たち、保護者たちまでもが目に涙を浮かべていた。

でも、家族だけは違った。


笑顔だったのだ。

多くの人の心にお姉ちゃんの演奏が響いたんだよ。

妹の声でそう聞こえた気がした。

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