新たな自分との出会い

 私のために?わけがわからなかった。文章は続く。


「お姉ちゃんの演奏を初めて聴いた時、衝撃だったの。楽譜通りかつ、楽しそうに笑顔で弾いてて。こんなに笑顔でピアノ弾いてる人、お姉ちゃん以外に見たことなかったから。」


そうだったのか。笑顔で弾いていたのは無意識だった。

「前にお姉ちゃんの小学校の卒業文集見たとき、将来の夢のところに『聴く人を笑顔にするピアニスト』って書いてあったの。だから私もお姉ちゃんみたいに聴く人を楽しませられるようなピアニストになりたいって思ったの。」


泣いてしまった。妹がそんなことを思っていたなんて。

妹は続ける。

「それで提案なんだけど、お姉ちゃんも私と一緒に夢を叶えない?」


…え???どういうこと?

夢を叶えるって、ピアニストの夢を?

「音は聴こえないけど、ピアノを弾くことはできるでしょ?私と一緒に練習するの!それならできるでしょ?やろうよ!」


少し渋ったが、妹がこんなに言ってくれてるんだ、私もあの時諦めた夢をもう一度追いかけたい!

そう伝えると妹は涙を流して喜んでくれた。

もう弾けないと思っていたピアノ、弾けるんだ。



妹のおかげで新たな自分に出会えた気がした。

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