妹
聴力を失って早4年。
自分と向き合い、受け入れられるようになっていた。
そんな中、部屋に入ってきた妹に言われた。
「私、大学決まったよ。」
心からとても嬉しかった。
全てを拒絶していた私に毎日部屋に来て、私の心の扉を開けてくれた妹には感謝してもしきれない。
私は訊いた。「どこの大学?」
「音大。お姉ちゃんが行くはずだったところだよ。」
画面を見た瞬間、すべてが蘇ってきた。
あの時の負の感情が。
でも、すぐに抱きしめられた。あの時のように。
「まだお父さんとお母さんには言ってない。一番にお姉ちゃんに伝えたかったの。私の大事なお姉ちゃんだから。」
どういうことと言わんばかりにぽかんとしていると、しばらくスマホに文字を打ち、また画面を見せてきた。
「あの時、全然夢とかなくて。ピアノは大好きだったけど、大学に行ってまでする自信がなかったんだ。でも、お姉ちゃんがオープンキャンパスから帰ってきたとき目がキラキラしててさ。こんなにピアノにすべてを注げることができるんだって思ったの。でも、病気がわかってからのお姉ちゃんは怖かった。だからいっぱい話しかけて元気になってもらおうと思って。そこで決めたの。音大に行くって。お姉ちゃんのために。」
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