985 そりゃあ全席埋まるわ

 眞子に見せたい物『第一弾』として、250席もある大型の美容室を見せられた眞子。

そして、その一席一席を月2万でレンタルし、月500万の賃貸料を生み出すと言い出す崇秀。


だが、何故、これが眞子に見せたい物になるのか?


***


「あぁ、でもさぁ。それってさぁ、この客席レンタルが全部埋まったら出る利益の話でしょ?埋まる目算は有るの?」

「オイオイ、眞子。あんま間の抜けた事を真顔で言うもんじゃねぇぞ」

「なんで?心配じゃん」


いやまぁ、そりゃあね。

崇秀が考え無しに、こんな事をしてるとは思ってはいないよ。

だからと言って、それが必ず成功するとは限らない訳じゃん。

だったら、私が彼女である以上、そこを心配するのは何もおかしくはないと思うんだけどなぁ。



「アホかオマエは?……あのなぁ。埋まるもなにも、たった月2万で自分の店が持てるんだぞ。しかも、そうやって個人で経営するって事はな。個人で捌いた顧客の数から、必要経費を引いた金が、全部自分の手元に入るって事でも有るし。自身の店を出すのを思案中の奴にとったら、これ程の実験場はない。……だったら、雇われで腕の立つ奴にとっちゃあ、こんな美味しい話はないと思うんだがな。当然、それが解ってる奴等なら、この話に誰でも喰い付くだろしな」


あぁ……そうか。

確かに、店で働いても、そこが月給制の店だったら、幾ら働いても……残業しても……自分の知名度だけは勢い良く上がるかも知れないけど、給料面では、雇われ故に、基本的な部分である程度の上限がある。


だったら、格安の2万で、此処をレンタルした方がお得になるかぁ。

同じ労力で、一杯稼げる可能性だってある訳だもんね。


なるほどねぇ。

そりゃあ、ある程度の目算が立つ筈だ。



「それにな。今、世間で話題になってるGUILDが、こうやって店をオープンさせた訳だから、世間での注目度が高いのは必定だろ。……だから、この美容席レンタルのシステムは、全席が抽選有り気の話なんだよな。埋まる埋まらない以前に、空き席待ちの人間なんて山程居るって状態な訳だな」

「うげっ……山程居るんだ」


はぁ……だよね。

崇秀の限っては、こんな馬鹿げた質問をするだけ無駄だったよね。

この辺の計算もせずに、こう言った莫大ない資金を投入する様な計画を進める訳がないもんね。


……しかしまぁ、次から次へと、よくもまぁ、こんなとんでも無い事ばっかり思い付くもんだね。


頭の中……どうなってるの、この人?



「まぁ序に言えばな。さっきオマエが、俺に聞いてた、隣のビルの小さめのレストランも然りの話だ。実は、あれもな。GUILDのFOODランカーが、設備費込みで一週間3万のレンタルで店を出しているんだよな」

「えっ?そうなんだ?」

「あぁ、まぁ、あれ自体は、この店をオープンさせる為の実験的に作った店なんだがな。一応あれでも、月に換算すりゃあ、コンスタントに13~15万って間の家賃収入が認められているんだから、あの店舗の大きさなら、それが順当なラインだろ」


そうなんだぁ。

まぁまぁ駅前だから、かなりの格安で提供してる事には成るんだけど。

当面の目的としては、GUILD登録者の知名度を上げるのが名目だから、別に利益ばかりを狙ってやってる企画でもない訳だから、固定資産税を支払えるだけの金額だと考えれば問題ない感じかな。



「(´Д`)ハァ…アンタは不動産屋さんか?」

「まぁ、ある意味そうだな」


アッサリ認めちゃったよ。


まぁでも、GUILDを手中に収めてる崇秀なら、この不動産投資って言うのも理には適ってるよね。

多くの人に救いの手を差し伸べてあげるって意味でも、それをする拠点が無かれば、なにも出来ない訳だしね。


特にWEBだけでは対応出来ない美容師なんかの『技術職』の人だと、それを直接、お客さんに提供する現場が無ければ、噂だけでしか、その知名度が上がらない訳だしね。



「えぇっと、でも、ちょっと待ってね」

「んあ?なんだよ?」

「そこで不動産屋さんって言い切るって事は……他にも、なんか店を出してる訳?」

「いや、今回に至っては、流石にあまり時間が無かったからな。この二店舗だけだな。まぁただ今後も色々な方面に発展させて、この街自体をドンドン活性化させて行く計画は立ててはいるんだがな」


うわぁ~~~~。

ちょっと、この人、ゲーム感覚で街を発展させようとしてるよ。


『シムシティ』か!!


でもさぁ、これって、相当規模の大きな話だよね……

なのに崇秀にとっちゃあ、絶対に、これすらも遊び感覚でしかないんだろうね。


なんて人なの?



「でもさぁ。これだけの事をしてるんだから、結構なお金か掛かってるよね。その辺の金銭面は大丈夫なの?」

「なぁ~に。そこも心配には及ばねぇよ」

「それって、あれの事?印税とかの話?」

「いいや、そこじゃねぇよ。ただ単に、国や市から大量の助成金が、俺に出てるだけの話だからな」

「えっ?なにそれ?どういう事?……嫌な予感しかしないんだけど」


それさぁ。

嫌な予感以外なにもしないね。


まぁその答えも、きっと、その嫌な予感が的中するだけの話なんだろうけどね。



「アホ。オマエが考えてる様なイヤな予感がする様な話は、どこにもねぇちゅうの。……つぅかな、これ自体はな。実は全部、オマエの出した功績のお陰で成り立ってる話でもあるんだぞ。オマエ、そこを理解してるか?」


はい?


ちょちょちょちょ、ちょっと、それ、マジでなんの話?

なんで崇秀の国や市から大量の助成金が出てる話が、私に関係する訳?


私、なんかしたっけ?

その辺に貢献した様な話には記憶がないんだけど。


なんのこっちゃ?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


レンタルの問題は、特に問題なさそうですね。

まぁ、一般的に言っても、普通に店舗を出すのにも結構なお金がかかりますので、技術のある人なら、お試し感覚で、此処を借りるにも悪くないでしょうしね(笑)


さてさて、そこの問題は解決したとしても。

崇秀がまた、ややこしい事を言い出し始めたみたいなのですが。

何故、この市や国から出る助成金が、崇秀だけには優遇されているのでしょうか?


そして、それが『眞子のお陰』っと言う真意は一体、何なのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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