984 また密かにこんな大それた物を作ってたのね……

 崇秀に「見せたい物がある」と言われ、なにも解らないまま駅前のビルに連れて来られた眞子。

そこには長蛇の列があったのだが、それは「特に関係ない」様で、見せたい物の本命の場所の扉が、今開かれる。


***


「ちょ!!なにこれ?」


私の眼前に広がった景色は、想像を絶する様な代物だった。


兎に角、美容室独特の鏡と椅子が大量に設置された異様に広い空間が姿を現したんだよね。


……でもね。

私が驚いたのは、ただ広いからって驚いた訳じゃなくてね。

この広い空間には、パッと見ただけでも、客席が優に100の数を超えた……うぅん、100処か、その倍の200以上有る感じなのよ。


この客席の数は、流石に驚きが隠せない。


だって、こんな大きな美容室なんて前代見物だよ。

普通の街にある一般的な美容室って言うのは、多くても精々客席が30席もあれば良い所。

それを200以上って……こんな馬鹿げた大きさの美容室なんか見た事も、聞いた事もないから、もぉ驚きの極みですよ!!



「ハハッ、どうだよ?俺が、オマエに見せたい物の第一弾わ。中々スゲェだろ」

「凄いって言うか……なにこれ?」

「まぁそうだな。解り易く言えば、此処が新しい『バーバー仲居間』の店舗だ。あぁ、いや、もっと正確に言うとだな。店の屋号を改名したから『N`s F』ってのが、より正確な店舗名だな」

「えっ?なっ、なに?どっ、どういう事?なんで、個人経営の店なのに、こんな大きな美容室なんか作ったの?そんな必要なくない?」

「これがまた、必要だから作ったんだよな。……まぁ、その理由ってのが、お袋が経営してる『バーバー仲居間』ってより、俺の経営してるGUILDの話なんだけどな」


またしてもGUILD絡みの話かぁ……

こりゃあまた、話の規模が、かなり大きくなりそうな予感だね。



「えぇっと、ごめんよ、崇秀。流石に、それだけじゃあ、まだ話が良くわかんないよ」

「そっか。じゃあまず、そこを理解する為にも、今現在のGUILDの状況説明が先決だな」

「えっ?GUILDに、なにか有ったの?ひょっとして、なにかピンチなの?」

「いや。今のところ、直接的には、なにも問題は無いんだがな。今のGUILDってのは、音楽部門には力が入ってるが、まだまだ他の部門が弱いだろ。だから、今のGUILDには、業種による大きな偏りが見受けられる。なので、まずは美容関係を改善しようって思った訳なんだよ」

「……っで、その答えが、これなの?その為だけに、こんな大規模な事を始めたって言うの?」


もしそうなら、相当アホだ、この子は。


なにをするにしても、本当に限度ってモノを知らない子だね。



「いや、規模自体は、まだそんなにデカくはねぇ。なんせコイツは、まずその手始めに過ぎねぇからな」

「えぇ~~~っ……これで手始めなの?嫌過ぎるんだけど」

「どこがだよ?こんなもん、試験的に、俺の音楽以外での得意分野を、まずは軽く伸ばそうとしてるだけに過ぎねぇじゃんか。……まぁ、実質の話で言えば、これからが本番だな」


まぁ……言ってる事はね。

GUILDの経営者的な立場で言えば、なにも間違ってはいないし、手広く業種を広げようって意図が明確なだけに、画期的なアイディアだとも思うよ。


でもさぁ、それにしちゃあ、この店舗の規模が無駄に大き過ぎない?


この大きさは、なんの為?


それに付け加えてね。

個人経営の店舗で、どうやってGUILDの有用性を世界中にアピールするって言うのよ?


ちょっと見えない感じだなぁ。



「うん。まぁ話自体は、まだ納得は出来る範囲なんだけどさぁ。それにしちゃあ、此処、大き過ぎない?」

「かもな。……けど、その大きいってのが、実は味噌な部分なんだよな」

「じゃあ、この大きさにも、ちゃんとした理由があるんだ」

「当然だな。……まぁ、ちょっと、その辺を簡単に説明するとだな。この店のデカさの理由ってのはな。GUILDカット部門のランカーで、自分の店舗を持ってない奴等に此処を間借りさせようって意図があるんだよな。この大きな美容室は、その為の受け皿って事だ」


早速……アホな事を言い出した。

なんで直ぐに、そう言う常識外れな事ばっかり考えるかなぁ?



「ちょっと、なにそれ?この店にGUILDランカーを集め様って言うの?また桁外れに馬鹿げた事を考えたね」

「まぁな。でも、馬鹿げた事ほど面白いってもんだろ。……それにな。金ってのは、面白おかしく使うもんだからな」


凄い……馬鹿だ、この人。

GUILDの業種を拡大した上に、まだこの期に及んで、人に貢献する事バッカリ考えてるよ。


凄いと、馬鹿が合わさって、まさに凄過ぎる馬鹿だね。



「でもさ、でもさ。それだったら、完全に赤字経営なるんじゃないの?」

「いいや。それはねぇよ。見ての通り、この店の客席は、独立した形で250席あるだろ」

「まぁ、正確な数は解んないけど。作った本人が言うんだから、あるんだろうね」

「まぁ、兎に角、有る訳だ。……っで、その1席を1月2万でランカーに貸す訳だから。それだけで月500万の収入が認められる。その上で勿論、光熱費は頭割り。受付の人件費も折半。俺自身は、全然、赤字じゃない訳だな」


あり?でも、それって『取らぬ狸の皮算よ』って奴じゃないの?

そりゃあ、その計画自体が100%上手く行けば良いけど、失敗したら、結構、此処の家賃だけでも豪い事になるよ。


まぁ、崇秀が、その辺についてを、なにも考えてないとは思えないけど、不安要素だから、一応、確認しよっと。


……ってか、なにを言い出すか解ったもんじゃないけど。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


矢張り崇秀はアホですね(笑)

ホントロクデモナイ事ばかり考えて、それを実行するのですが。

計画通りに行けば、まさに店舗を持たない実力のある美容師さん達にとっては、この上ない話。

実際、美容師って薄給ですし、店舗を出すにしても経営して行ける目算が立たないので、此処で実験的に経営をしてみれば、自身の利益換算が出来る様になる訳ですからね♪


ただまぁ、眞子が懸念する部分も然り。

どれだけ良い計画であっても『取らぬ狸の皮算よ』では意味がありません。


ですから次回は、その辺の計画内容に触れて行きたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る