980 打ち上げの後は……

 眞子の口八丁により、仲直りした上で倉津君が受験が決定し。

崇秀が用意した打ち上げ場所で食事をした後は、一体、どうするのか?


***


 ……っで、この後。

真琴ちゃんを引っ張り。

崇秀により、見事なまでにコーディネートされた別世界の様な音楽室に向い。

そこで、これまた『何所の三ツ星レストランのシェフが作ったの?』って位、無駄にゴージャスな食事を摂らせて貰ってだね。


……食後。

3B-GUILDのライブが終わって、既に町内会のオジサンや、オバサンしか居ないガラガラに成った歌謡コンクールの会場に、音楽室に居た、みんなで出向き。

町内会で集まったオッちゃんや、オバちゃんが挙って熱唱するカラオケ大会を無意味に見学した。


更に、それが終了すると、各々目的とする各地へ散らばって行った。


まぁ大半の人は、俗に言う『帰宅』って奴だね。


……あぁ、因みにだけどね。

去年の歌謡コンクールでオープニングアクトを飾ったド根性オバサンは、今年もド派手な衣装で登場しましてですね。

『これでもか!!』ってぐらい演歌を熱唱して、去年の雪辱を果たし優勝してたよ。


……どうでも良い情報か。


***


 ……さてさて、そんなこんながございまして。

歌謡コンクール終了後、既に、みんなバラバラ行動をし始めたので、この現場に残ってるのは崇秀、奈緒ネェ、真琴ちゃん、そして私の4人だけに成ってしまいました。


多分、この辺については、3Bのみんなや、他の皆さんが気を使ってくれた証拠なんだろうね。


有り難い事だよ。



「さぁてと、みんな帰っちゃったし。これからどうしよっか?」


おぉ……流石、年長者の奈緒ネェだ。

誰に、なにも言わなくても、この場を自ら仕切ってくれてる。


いつもながら、奈緒ネェは完璧ですね。

そんなお姉ちゃん大好き♪



「まぁ、そうだなぁ。別に、これと言った約束が有る訳じゃねぇから、もう此処からは各々解散で良いんじゃねぇの。此処も、この後、直ぐに解体作業に入るだろうしな」

「ですよね。私も、その意見に賛成。……それに今日は、ウチの家にはミラーや、ステラが泊まりに来るらしいんで、私も家に戻らないといけないし。そろそろ、お開きの頃合ですかね」


あぁ……そうなんだ。

ミラーさんとステラさんが泊まりに来て下さる予定があるなら、じゃあ私も、奈緒ネェと一緒に家に帰って、皆さんをキッチリ持て成さないとダメですね。


今回、口論になった件があるから、尚更、家に戻らない訳にもいかないね。


でも……本心を言えばね。

まだもぉ少し崇秀と一緒に居ようと思ってたから、ちょっと残念な気分だね。


嘘……目茶目茶残念。



「じゃあ、このまま解散ッスね。俺も、今日は大人しく家に帰るとッスかな」

「うん?クラ、帰るの?なんで?」

「いや、なんでって……だって、そんなに人が居るのに、俺まで行ったら邪魔になるじゃないッスか。それに、家には女の子ばっかり居るんじゃ。流石に俺がそこに行くのはマズイっしょ」

「別に、なにもマズくないけど。……どうせ眞子は、この後、仲居間さんとどっか行くだろうし。クラは、ステラも、飯綱も知ってるでしょ。だったらウチに来てもミラーだけの問題じゃない」


いや、あの、あのね奈緒ネェ……それ……それね。

真琴ちゃんが『女性陣から、完全に男扱いされてない』って宣言してるのと同じだよ。


結構、胸に突き刺さる酷い言葉だよ。

それに私、まだなにも言ってないのに、既に、家に帰らない事を前提にされてるんだけど。


それも……どうなの?



「いや、あの、俺、なんか、完全に男扱いされてない様な気がするんッスけど」

「あぁ、そんな無用な心配しなくても。多分、誰もしてないね」

「酷ぇ。……あんまりだ」

「まぁまぁ、兎に角さ。後々、家に帰る、帰らないは別としても、一旦、家においでよ。もぉちょっと一緒に居よ」

「あぁそうッスね。俺も奈緒さんと一緒に居たいッスから、取り敢えずは、そうしますわ。……まぁけど、そう言う事なら、一旦、俺の家に行ってから、黒くて困った車を出してから奈緒さん家に行きますか。流石に、奈緒さんを連れて電車に乗る訳にもいかないっスからね」

「うん?なんで?別に電車で良いじゃん」


この人だけは……相変わらず、自分の立場を弁えない人だなぁ。


有名アーティスト!!

奈緒ネェは、全米を震撼させる様な有名アーティストだからね!!


そんな無謀な真似したら、もみくちゃにされちゃいますよ。



「いや、あの、奈緒さん。流石にそれは……」

「流石に、なによ?」

「まぁまぁ、向井さん。倉津本人が車で送りたいって言ってんだから、そこは甘えれば良いんじゃねぇの?……多分コイツも、向井さんの家に行く前に、どこか寄り道したい所でも有るんだろうしさ。……だろ、倉津」

「うん?……あぁ!!おぉそうだ、そうだ、そうだった!!奈緒さん家に帰る前に、どうしても寄りたい所が一箇所あるんッスよ。だから車で、ちょっとだけ、そこまで付き合って貰って良いッスかね?」

「なにそれ?なんか凄いワザとらしいよ。……って、まぁ良いっか。そんじゃあ、ちょっとドライブがてらデートでもしながら、ゆっくり家に帰ろっか。どうせ今日学校に来てなかった飯綱が、家に居るだろうしね」

「ッスね、ッスね。それが良いッスよ」


話が上手く、車で送って行く事に成ったのは良いけど……真琴ちゃん馬鹿だぁ。

崇秀の言葉に惑わされて、何処かで寄り道をする話になってるけど、それ、自分でドンドンハードル上げちゃってるよ。


どうせなにも考えてないクセに……大丈夫なの?


この後、何所へ行くのやら……


まぁそうは言っても。

真琴ちゃんの行動パターンからして、此処の学校から、奈緒ネェの家のある上星川に向って行くんだったら、横浜を経由する事になる筈だから。

時間的にも……赤レンガ倉庫か、楽器屋ってのが、良い所、関の山だろうね。


真琴ちゃんの定番にして、まさにワンパターン。


あの……予想で言ってるに過ぎないんだけどさぁ。

もぉちょっとさぁ、色々デートパターンを増やした方が良いと思うよ。

私に行動パターンを読まれてる様じゃ、その内、奈緒ネェに飽きられちゃうよ。


……ってかさぁ。

この話が成立したら、本当に私、帰らない事が前提なっちゃうの?



「おっ。じゃあ、話も纏まった事だし。そろそろお開きにして、俺らも行くか。……眞子、行くぞ」

「えっ?あぁ、うん」


あり?この様子だと、崇秀も私が帰らない事を前提にしてるの?


……って事は、あれかい?

とうとう、あれなのかい?


うん……違うね。

ハイ、全然違いますね。

この場面で、そう言う部分を期待しちゃいけませんね。



「そんじゃあな、お2人さん……またな」

「あぁ、じゃあ仲居間さん。今日1日、眞子の事をお預けしますんで、宜しくお願いしますね」

「あいよ。委細承知」


ありり?なにをお願いするの?

しかも『今日1日お預けします』って、なんですかね?


って言いますかね。

なにをするにしても、私の意思が全く入ってないんですけど……これで良いんですかね?

これじゃあまるで、私が崇秀の家に泊まる様な話になってるんじゃないの?


……って事は、なにかい?

真琴ちゃんの、あの、なにも解っていない様子からして、さっき、楽屋モドキで、私が真琴ちゃんと話してる間に、奈緒ネェと、崇秀との間にも、なにか秘密の話が付いてるって事かい?


あの短い時間に、一体、どんな取引が有ったんだろう?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


倉津君……相変わらずアホですね。

崇秀の言葉に乗せられ、どこかに寄り道をする話になったのですが……眞子じゃないですが『ホント何処に行くつもりなんでしょう?』ね(笑)


まぁまぁ、その辺は奈緒さんに倉津君の調理を任せるとして。

眞子の方は眞子の方で、家に帰らず、崇秀に一日預けられた状態に成ってしまいました。


なので、なにやらコチラも不穏な感じですね(笑)


さてさて、そんな中。

眞子は、崇秀にどこに連れて行かれるのか?

そして倉津君は、何処に寄り道をしようとするのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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