979 本当の姉弟のように

 眞子の言葉に乗せられて、まんまと『蓮高受験』を目指す事に成った倉津君。

その姿を見て、眞子はテンションが上がってしまい。

その勢いのまま、倉津君の腕を組んで、強引に引っ張りながら打ち上げ場所に向かおうとするのだが……


***


「早く早く!!」

「オイ、眞子!!急ぐのは良いけど、オマエ、俺にオッパイ当たってるってよ!!」


そりゃあまぁ、強引に腕を組んで引っ張ってるんだから、自然と胸の1つぐらい当るだろうけどさ。

これって、そんな慌てて言う程の事でもないんじゃないの?


だってさぁ……



「はい?あぁ、何をそんなに焦ってるのかと思ったら、そんな事で焦ってたんだ」

「はい?いや、オマエ、そんな事って……」

「ってか、そんなどうでもいい事を意識する前に、ちょっとは考えても見なよ」

「なにをだよ?」

「元々私と、真琴ちゃんって同じ体も同然なんじゃないの?だったら別に、私の胸が当った程度の事で、そんな大騒ぎしなくても良くない?」

「アホか!!なにを言うかと思えば、そうやってオマエに大騒ぎする理由がなくっても、俺には大騒ぎする理由が有るの!!」

「なになに?じゃあ、その理屈から言ったら、真琴ちゃんは、自分の体に触って興奮するって事に成るんだけど。真琴ちゃんって凄い変態ナルシストな人なんだね」

「ちゃうわ!!んな訳ねぇだろ!!ってか、俺の胸にゃあ、んな柔らかくて大きなもんは付いてねぇの!!元が一緒でも、俺とオマエじゃ性別が違うだろうが!!」

「エロ~~~!!自分の姉弟に興奮するなんてドン引きだよ。……それ、人としてどうよ?」


なんで、そんな風にしてまで意識するかなぁ?

私と眞子ちゃんは、言わば自分同士じゃん。

だったら、私のオッパイが当ったぐらい、なんだって言うのよ?


そんなの気にする必要すらなくない?

まぁ若しくは、そう思えないなら、今みたいに口に出さず『眞子のオッパイ当たってラッキー』だとか思えば良いじゃん。


ホント馬鹿だね。



「腹立つなぁ。揉んだろか」

「良いよ。どうぞ。はい、どうぞ」


どうせ、そんな事を言ってても出来ないんでしょ。


ヘタレだもんね。


ほれほれ、悔しかったら揉んでみぃ。



「オマエなぁ。……あんま、俺をなめんなよ。マジで揉むぞ」

「良いよ。……でも、揉んだら奈緒ネェに言うよ。真琴ちゃんにオッパイ揉まれたぁ~~ってね」

「汚ねぇ~~~」

「汚くないよ。私、いっつも綺麗にしてるよ。心身共に潔白だから何所も汚くないもん」

「アホか!!そう言う事を言ってるんじゃねぇんだよ!!俺の言ってるのは心の問題だよ!!……つぅか、揉んで良いって、自分で言ったんじゃねぇかよ」

「あぁなんだ。その言い分だと、本当に揉みたかったんだ。それならそうと、素直に、そう言えば良いじゃない」

「言えるかぁ!!それに、今さっきも言ったがな。揉んで良いって言ってきたのはオマエの方じゃんかよ。人に胸バンバン当てといて、今更、被害者面すんな!!」

「だよね。男なら、そう思っちゃうよね……でも、それは酷い勘違いだよ」

「なんでだよ?」

「なんでも糞も、私が幾ら『揉んでも良い』って言ってても、真琴ちゃんが自分の意思で私の胸を揉んだら、それは故意的なものなんじゃないの?」

「グッ」

「それに比べて私の場合は、自分の体の一部が、極自然に真琴ちゃんに当たってただけの話なんだから、これは故意的とは言わないよね?違う?」

「この女だけは、また訳の解らん理不尽な屁理屈ばっかり捏ねやがって……」


ふふっ、おもしろ~~~い♪

真琴ちゃんって、本当に、からかい甲斐があるよね。

こんな些細な事でも、こんなに良い反応をしてくれたら、そりゃあ、みんながクセになるって言う気持ちも、よ~~くわかるよ。


あぁそれと、これは序に言って置きますけどね。

女性がそんな屁理屈を捏ねて、自分を正当化するのは常套手段なので諦めて下さい。


そう言う生き物なんですよ、我々女性は。



「はいはい、そんなに怒らない、怒らない。こんなの冗談なんだからさ。そんなに怒らないの。ってか、そんな事よりさぁ。そろそろ本気でご飯食べに行こうよ」

「オマエって奴は……」

「早く、早く!!」

「はいはい……ったくもぉ」


こうして2人で、崇秀が用意してくれた料理がある音楽室に向っていた。


……にしても、なんですね。

これは前々から、自分でもズッと思っていた事なんだけどね。

此処まで昔の自分の姿を眼の前にして、なんの抵抗もなくベラベラ喋る事が出来るなんて思ってもみなかったよ。


もっと、なんとも言えない様な嫌悪感が湧いて来るものだと思ってたんだけど、そう言うのが一切なく。

まるで、産まれた時から一緒に居る双子の姉弟みたいな感覚にすら陥ってる。


まぁまぁ、私がこう思えるのは勿論ね。

クローン設定である私の事を、キッチリ1個人として扱ってくれてる真琴ちゃんの順応性の高さが、そう思わせてくれてる大きな要因には成ってるものだとは思うんだけどね。

それにしてもだね。

此処まで完全に、自分の心が眞子と言う個人に成り切っているとは思ってもみなかったよ。

今の真琴ちゃんを見る私の眼は、真琴ちゃんが私を見る目同様、既に、お互いを一個人として捉えてるみたいだし。


ホント……慣れって怖いもんだね。


……でも。

もしこれが、倉津真琴と言う存在を自らの手で『破壊』し、新しい自分である向井眞子と言う存在を『創造』して得た結果なのだとしたら、逆に『私も、ちょっとは凄いんじゃないかなぁ~~』なんて思っちゃったりもする。


ははっ……これは、ちょっと調子乗りすぎかな?(笑)


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


茶番ですな(笑)


いやまぁホント、今回のお話は、特に大きな意味はないんですが。

如何にお互いが、単一の存在に成っているのかって言うのを表現してみましたぁ(笑)


はい、すみません。

いりませんね(笑)


さてさて、そんな無駄話の中。

次回は、みんなの元に向かって行った後の話を書いて行きたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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