978 誘導

 仮初ではなく、本当の意味で倉津君に自信と実績を付けたい眞子。

それ故に、まずは高校受験を勧めてみたのだが、倉津君が出した反応と言うのは……


***


「なぁ、眞子。今の話って、本当に本当なのか?俺なんかでも何所の高校にでも受かるもんなのか?」

「えっ?」

「いやよぉ。オマエの話を聞いてて、本当に何所でも受かるのもんなんかなぁ?って思ってよぉ」

「うんうん、勿論勿論。ご希望と有らば、何所の高校にでも受からせてみせるよ。絶対の100%で!!」

「じゃあよぉ。仮にの話なんだが、奈緒さんが休学してる『蓮高』とかでも受かるもんなのか?」


受験の話に乗って来てくれたと思ったら、ヤッパリ、真琴ちゃんの狙いは蓮高一本に絞ってきたかぁ。


まぁまぁ此処は、今、本人が言ってた通り、奈緒ネェが通ってる学校なだけに予想通りの展開だね。

特に奈緒ネェは今休学してるから、上手く復学の時期が噛み合えば、同級生に成る可能性すらあるもんね。


奈緒ネェと少しでも一緒に居たいって気持ちが高い真琴ちゃんなら、そりゃあまぁ、そうなるよね。


ただまぁ、この意見に少々問題があるとしたら、あのお姉さんの場合、このまま蓮高には復学せずに、高卒認定とかを取得した後、大学にそのまま進みそうな気もしないんだけど……折角、真琴ちゃんが話に乗って受験をしてくれそうな雰囲気を醸し出して来てるんだから、敢えて、そこは黙っていましょう。


ダンマリです。



「蓮高?……あぁうん、受験するのが蓮高で良いなら全然余裕だね。寧ろ、落ちるビジョンすら沸かないよ」

「はい?って、ちょっと待て眞子!!」

「なによ?」

「オマエ、あまりにもノリが軽い過ぎるんじゃねぇか!!アソコの偏差値ってスゲェ高いんだぞ!!」

「どこがぁ?偏差値が高いって言っても、私的に言えば、高々偏差値55か56ぐらいじゃない。その程度の学力を付ける程度なら、そこまでの期間は必要ないよ。って言うか、受験までまだ2ヶ月以上も有るんだしね。そう考えたら、全然余裕じゃん」

「そっ、そうなのか?」

「あぁまぁ、どうやっても余裕は余裕なんだけど、但し、絶対的に合格したいんなら、真琴ちゃんのヤル気だけは必要だよ」


どれだけ余裕があろうとも、此処の問題だけは有るよ。

この本人にヤル気が無かったら、私が、なにをどう教えようと、勉強した事が真琴ちゃんの頭の中に入ってくれないからね。

それがあって、初めて合格率が100%になるってもんなんだよね。


そこだけは誤解なきように。


まぁ……そうは言っても、此処で『とある物』さえ手に入れば、強制的に、そのヤル気を上げる方法もあるけどね。

今後の真琴ちゃんの人生を考えるなら、それには頼らない方が良いと思うので、これは最終手段として取って置きたい所なんです。


あんま褒められた行為じゃないしね。



「いやまぁ、そりゃあやる以上は頑張ってはみるけどよぉ。オマエが言う様に、そんなヤル気が出た程度の事で勉強って出来るもんなのか?」

「出来るよ。ブッチャケ、そこさえ有れば蓮高程度の偏差値なら100%受かるよ」

「そっ、そうか」

「だって、考えても見てよ」

「なにをだよ?」

「その『受験なんて余裕だ』って言ってる本人である私と、真琴ちゃんの体の構成は全く一緒なんだよ。なら、出来ないでどうするのよ?」

「そっかぁ……じゃ、じゃあよぉ。試しに俺も蓮高を受験してみっかな」

「ホント!!」


マジデスカ!!



「まぁ受けたからって、合格出来るかどうかは解んねぇけどな」

「その辺はご心配なく。間違いなく合格させてみせる」

「そっ、そうか」

「じゃあ、蓮高合格を目指して、明日からはビシビシ行くからね」

「ビシビシか……」

「そそ。そんでさ、真琴ちゃんが蓮港に合格して、みんなに真琴ちゃんが馬鹿じゃない所を見せ付けてやろうよ!!みんな、きっとビックリするよ!!……楽しみぃ~~♪」


しめしめ。

この様子だと、どうやら本人も高校受験に向かってのヤル気が本格的に出て来たみたいだね。


これはしめたもんだ。


まぁ取り敢えず、受験先が蓮高に決定した以上、それに見合ったカリキュラムとかも考えなきゃいけないけど。

奈緒ネェに真琴ちゃんの勉強を任された時点から、一応は『真琴ちゃん用の勉強方法』だけは考えてあったので、そこにまずは傾向と対策をぶち込めば大丈夫でしょう。


なら、後は、これを使って合格させればOKOK!!



「なんか上手く騙されてる様な気がするなぁ。つぅか、俺、なんかオマエの快楽に付き合わさせられてないか?」

「うん、そうとも言うね。よく解ったね」

「……最悪だなオマエ」


最悪でも良いよぉ。

だって真琴ちゃんが、そうやって少しでも勉強が出来る男に成ったら、それを見た奈緒ネェが目一杯喜んでくれるんだもん。

その奈緒ネェの願いが叶うって言うなら、幾らでも私は最悪にでもなんでも成ってやるもんね。


真琴ちゃんや、奈緒ネェにプラスになる事ならドンと来いだい!!



「でも、決定ね」

「はいはい」

「じゃあ、話も終わった事だし、そろそろ崇秀の作ったご飯を一緒に食べに行こっか。明日からの活力にもなるからさ」

「オッ、オイ」


ゴチャゴチャ言う前に引っ張って行ってやる!!

いや、もぉそれすらも面倒だから、腕を絡めて強制連行しちゃおっと。


真琴ちゃんの受験の件が纏まった事によって、今の私はヤル気MAX状態なんだもんね♪



よぉ~~~し、やるぞぉ!!


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


この倉津君の受験って言うのは、結局の所、以前奈緒さんと交わした約束を果たしているだけに過ぎないのですが。

現状では、特に倉津君の進路が決まっていなかった以上、中々良い方向に向いたのではないかと思います。


まぁ、学校に行く事が全てではないのですが、学歴的にも『蓮高のブランド』っと言うのは、そこそこ世間でも評価の高い学校なので持っていて損はないと思います(笑)


さてさて、そんな中。

倉津君を引っ張って、打ち上げをしている第二音楽室に、機嫌良く向かおうとする眞子なのですが。

次回、此処で些細なイベントが発生しますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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