971 ブチギレ眞子
ライブ内での崇秀の行動に批判が集中し、眞子は最大限にまで不機嫌に。
そんな折、周りに流されて倉津君まで調子に乗った言葉を吐き始めてしまい、眞子は……
***
「謙遜しなくて良いぞ。倉津の音は最高だ。俺はそう思ってるぞ」
「ホントかぁ?マジでぇ?」
「あぁ、仲居間さんじゃ、あの音は出せねぇからな。俺もグチの意見には賛成だな」
「まっ、まぁよぉ、根本的な本質が違うからな。そこもなんとも言えねぇなぁ」
音の根本ですって……ちょっとアンタ、なに言ってんの?何様なの?
大体にしてアンタさぁ、自分を、誰と比較してるか解ってるの?
ひょっとして自分が、まだまだそんなレベルにすら達していない事にも気付けずに、そんな風に調子に乗った事を言ってるの?
もしそうなんだったら、馬鹿にするにも程が有るよ。
……ミットモナイ男。
アンタが、そんなんで、どうするのよ?
「おい、オマエ。自信持って良いぞ。オマエの演奏は楽しかったからな」
「マジっすか?じゃあ、実は、俺の方が崇秀より凄かったりしてな」
「ちょっとクラ……調子乗りすぎだよ。君の実力は……」
「いやぁ奈緒さん。偶には良いじゃないッスか。俺が、崇秀より褒められる事なんざ、今世紀最後の事かも知れないんッスから。……今日の俺は最高ッスよ!!」
『バシッ!!』
真琴ちゃんのそんな言葉を聞いた瞬間。
私の位置は、さっきまで居た壁側にあらず、無意識の内に真琴ちゃんの傍に居た。
そして想いっきり頬をぶっていた。
「「「「「「「えっ?」」」」」」
……もぉ我慢の限界だ。
こんな聞くに堪えない戯言をばかりを聞くのは、もぉウンザリだ。
「イッテェ!!イキナリなにしやがるんだよ、眞子!!」
「いい加減にしろよ、オマエ等。……カス共が集まって、ぬるい事を抜かしながら調子くれてんじゃねぇぞ。さっきから黙って聞いてりゃ、オマエ等は、なにをのたまわってるんだ?」
「へっ?……オッ、オイオイ、眞子?どうしたんだよ、急に?」
「どうもしない。……けど、真琴ちゃんさぁ、さっきから自分が最高だとか言ってるけど、なにが最高なのか、ちょっと悪いんだけど教えて貰って良い?アンタさぁ、それが言える程、今日のライブで何か1つでも考えて演奏してた?観客の前で意識吹き飛ばして、無責任な演奏をして置いて、一丁前に能書き?ふざけんのも大概にしなよ。アンタの演奏なんか一番最低なんだよ。観客を、ちゃんと盛り上げる方法考えてから偉そうな事をのたまえ。……そんな責任感の無い演奏なんかに、最高さなんて微塵も無いんだよ」
「ぐっ!!」
ちょっとは考えてモノ喋れ、この脳味噌ウスノロ野郎。
偶然に、偶然が重なっただけの、ただの偶然の産物のクセに調子に乗るな。
しかも、その偶然にしたって、崇秀がお膳立てしてくれたからこそ、その偶然が起こったんじゃないの?
そんな事すら解っていないアンタの意見は気分悪いんだよ。
うぜぇんだよ!!
「それにさぁ。アンタ等3B-GUILDだっけ?アンタ等の曲って、誰が書いてるのか知ってる訳?それにGUILDって、誰が作ったんだっけ?真琴ちゃんだっけ?……GUILDの恩恵を受ける時だけ受けて、調子の良い事を言わないでくれないかなぁ。アンタ等、崇秀が居なかったら、今の自分達が無かった事ぐらい、ちょっとは理解したらどうなの?……考える脳味噌も無いの?」
「でっ、でも、2B-GUILDを作ったのは倉津君の功績じゃない」
「「「「「そうよ、そうよ」」」」」
集団でほたえれば、私が、どうにか成るとでも思ってるの?
……私をあんまりなめるなよ。
このモブ女共。
「馬鹿なの?それに『真琴ちゃんの功績』だって?……はぁ?真琴ちゃんが、一体なにをしたって言うの?『結成させたから功績』?馬鹿じゃないの?そんなの誰だって思い付きだけで出来るんじゃないの?本当の功績って言うのはね。ユニットを作った後の事も、ちゃんと考えた上で、それを実行に移して、みんなに認められて、初めて功績って言うんじゃないの?結成以降の事を、なにも考えて無かった時点で、それは功績じゃなくて、ただの無責任って言うの。……解る?」
「なっ、なに言ってんのよ!!こうやって、みんなで成功してるじゃない!!これは倉津君の功績だよ!!変な言い掛かりを付けないでよ!!」
「「「「「そうよ、そうよ」」」」」
この馬鹿女共……これだけ言っても、まだ、なにもわかんないの?
「成功?ハハッ、笑わせないでよ。……アンタ等の人気が出たのはねぇ。真琴ちゃん功績なんかじゃなくて、GUILDって存在がバックに有ったからに過ぎないの。アンタ等みたいなプロ意識も無い、生ぬるいだけの学生が、普通に歌を唄って、踊ってるだけで人気が出るとでも思ってるの?……つけ上がるのも程々にしなよ。アンタ等が売れたのはね。GUILDってバックが有ったからに過ぎないのよ。普通なら、オマエ等なんか、誰にも相手にされない存在だって事ぐらい気付いたら。脳味噌軽過ぎんのよ」
「「「「「・・・・・・」」」」」
頭が悪い。
話にならないぐらい頭が悪い。
それに、この案件に関しては、真琴ちゃんの功績なんてなにも無い。
作った私が、そう判断してるんだから、そこだけは絶対に間違いない。
私は、2B-GUILD作るだけ作って、ただ山さんや、GUILDに丸投げしただけに過ぎない。
しかも、その山さんにしても、崇秀のツテを上手く頼っただけに過ぎない。
だから、こんな粗悪な考えを間違っても功績なんて言っちゃイケナイ。
人に頼ってる時点で……功績なんてなにも無い。
勘違いするな。
「眞子ちゃん。もぉやめてあげて。みんな、真琴君の事が好きだから、そう言ってるだけだから。本当はヒデ君にも、凄く感謝してるから」
「そうよ、眞子。素直の言う通りよ。もぉやめなさい」
「嫌ですよ。……コイツ等、揃いも揃って、崇秀を利用するだけ利用して、崇秀を悪く言うなんて、絶対に許されないです。卑怯ですよ。汚いだけですよ。……大体、そこまで大口が叩けるなら、今後はGUILDに一切頼らずに、自分達の力だけで、なんとかしてみたら良いんじゃないですかね?出来るからそんな事を言ってるんだよね?……じゃあ、早くやれば」
「「「「「・・・・・・」」」」」
出来もしないクセに、口ばっかり達者になってんじゃないよ、崇秀に集る蝿共。
崇秀をちゃんと理解してる奈緒ネェと素直ちゃん以外は、もう金輪際、崇秀に関わるな。
アンタ等みたいな卑怯な人間には、崇秀を頼る権利なんて無いからね。
「すっ、すまん、眞子」
「ちょっと、勝手に私に触らないでくれる。私、この中じゃ真琴ちゃんが、誰よりも一番許せないから。一番、崇秀を理解してあげなきゃいけない立場の真琴ちゃんが、馬鹿共に乗せられて、一緒に馬鹿踊り?冗談じゃないわよ。……なんなのアンタ?アンタとは、金輪際、二度と口を利きたくないから、話し掛けないで頂戴ね」
「いや、眞子、待ってくれ!!ホントにスマン。俺が悪かったからよぉ」
「話し掛けないでって言ったよね。なんで話し掛けるの?」
「眞子、もぉ許してあげなよ。気持ちは解るけど。……クラも、こうやって反省してるんだからさぁ」
解ってますよ……こんなの、私のただのヒステリーだって事ぐらい十分に解ってますよ。
それに、崇秀が、そう言う対称に成り易い人間だって事ぐらい解ってるんです。
……でもね、奈緒ネェ。
他の馬鹿はいざ知らず、真琴ちゃんにだけは、絶対に、そんな事を言って欲しくなかったんですよ。
崇秀が信用してる真琴ちゃんにだけは、そんな幼稚で馬鹿な事を、平気な顔をして言って欲しくなかった。
真琴ちゃんを見てると、こんなのが自分だったと思うと、自分が情けなくて……
誰かに八つ当たりでもしないと、居た堪れないんですよ……
「でも、奈緒ネェ。……真琴ちゃんだけじゃなくて、みんな酷いですよ。ミラーさんも、ステラさんもナンダカンダと上手くGUILDを利用してるくせに、そんな話で盛り上がったからって、平気な顔して、あんな事を言っちゃダメですよ」
「「・・・・・・」」
「佐藤さんにしたって、自分の後輩だって言うのに、フォローの1つもないなんて……そんなの、あんまりじゃないですか」
「・・・・・・」
「それにカジ君も、グチ君も。2人の演奏レベルを一気に上げようと思って、今日のライブで、崇秀が、自ら悪役を買って出た事すら気付いてない」
「「・・・・・・」」
「3Bに至っては、人の親切を土足で踏み躙る様な義理も人情もない人間」
「「「「「「・・・・・・」」」」」」
黙れば良いと思ってるの?
沈黙で解決出来るほど、軽い問題じゃないよ。
餓鬼だからって、なんでも許されると思うなよ。
「ねぇ、奈緒ネェ。……崇秀は、なんの為に、こんな人達の為に頑張ってるの?こんなの、なにも報われてない。ただの無駄なだけじゃないですか」
もぉ嫌だ……こんな頭の悪い連中と、崇秀がつるむのは許されない。
私や崇秀の目の前から、即刻消えて……
「眞子……」
「だから、この中でGUILDに在籍してる人。その恩恵が、もぉイラナイって言うなら、さっさと自主脱退したら、どうですか?崇秀の事が嫌いなんでしょ。一緒に演奏したくないぐらい音も嫌いなんでしょ。だったら、GUILDに居る必要なんてないじゃないですか?みんなが大好きな真琴ちゃんに頼ったら、どうですか?……皆さんの言い分だったら、崇秀より頼りになるんですよね」
「眞子、もぉ言い過ぎだよ」
「どこがですか?……あぁそれとも、この人達って、まだ崇秀の事を利用し足りないんですかね?……厚かましいんですね。……まるで寄生虫みたい」
「眞子。もぉやめなさい。それ以上は……」
「良いんですよ。嫌われても良いんです。私は、そんな風にこそこそ陰口を叩く様な卑怯な人間と、今後もお付き合いたいとは思いませんから。嫌われても、大いに結構です」
止まらない。
もぉ此処まで言った以上、止める気も無いけど。
『ガチャ!!』
そんな折、この急遽作られてたチープな控え室の扉が開いた。
その瞬間、みんなの視線が私から外れ、全員が扉に注目した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
眞子……ガチギレしちゃいましたね。
しかも、普段なら、言う事を聞く奈緒さんの言葉にすら反発してしまう程のガチギレ。
まぁでも、眞子の言ってる事はあながち間違いではなく。
いつも沢山お世話に成っている人間に対して言う言葉じゃないですよね。
これが俗に言う『貸し借りの法則』なのですが。
他人から恩恵を受けた場合、その人の悪口を言うと言う事は、自分自身を貶してるも同然の行為なんですよ。
普通に考えても、その人から恩恵を受けてるからこそ成功してるんですから、その人を否定したら『自分の功績すらも、そこに該当してしまう』訳ですからね。
さてさて、そんな風に眞子の怒りが収まりがつかない中、誰かが扉を開いてやってきた訳なのですが、その人物は、この状況を打破出来るのか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます