966 敢えて見捨てる者、見捨てない者

 眞子、佐藤さん、ミラーさんと、今回でのライブの指示を出して回り。

その後ステラさんの元に歩を進める崇秀だったが……果たして彼女には、どの様な指示を出すつもりなのか?


***


「あいよ。ステラ、通達だ」

「はぁ……貴方の一連の流れから言って、真琴にフォローのブーストを掛けろと行ったところですか?」

「あぁ、正解だ。……んじゃあな、通達終わり」

「嫌ですね。お断りです」

「あっそ。じゃあ良いや。けど、これで眞子の拷問ブーストによって、倉津の死亡フラグ確定だな。眞子は、あぁ見えて、無慈悲で容赦の無い女からな」

「卑怯ですね。もしやらなかったら、私が真琴を見殺しにしたとでも言いたいのですか?」

「いいや、それはオマエの問題で、俺の問題じゃない。倉津を見殺しにするのも、助けてやるのも、オマエの胸先三寸だ。俺は状況を通達したに過ぎねぇからな」

「脅しにも似た、嫌な選択肢を……軽蔑すべき最低さですね」

「んあ?なんだよそれ?今更、言う事じゃねぇだろうに」

「そうですね。この魔王」

「そうですよ。この這い寄る混沌」

「アナタって人は……本当に腹の立つ人ですね」

「まぁそうだな。……つぅ事で宜しく。優しいステラさん」

「本当に腹の立つ人ですね」


あぁ……ステラさんが怒ってる。


珍しい事も有ったもんだね。


怒るんだね。


……っで、最後に崇秀は、奈緒ネェの所へ行くんだけど……あれは、絶対にロクでもない事を言うね。

そして、確実に奈緒ネェが、崇秀の言葉に乗って完全無欠の悪乗りする感じしか成してない。


=真琴ちゃん死亡確定。

更に=哀れ。

……っと言う、嫌なコンボが確定しそうな感じだね。


でも、知ってます?

こう言うのを『予定調和』って言うんだよ。



「はいよ。向井さんもお疲れさん」

「お疲れ様で~す」

「じゃあ、早速だけど……」

「ふふっ『向井さん、センターに行け』ですね」

「はい、ご名答。……して、その俺の心は?」

「恐らくは【3B-GUILD】と【Nao with GREED-LUMP】が親密な関係に有る事を世間にアピールする為でしょうね。要するに、売名行為をしろって事じゃないですか?」

「はい、正解」

「それと……」

「ほぉほぉ、それと?」

「私に、クラのフォローをさせない為のブロック行為なんじゃないんですか?」

「はい、全部正解。因みに解答は?」

「勿論OKですよ。そろそろクラにも、眞子みたいにシッカリして欲しいもんですからね。その為にも、あの拷問ブーストも、頃合としては悪くないんじゃないですかね」


あの~~~、なにやら話が付いたみたいなんですが。

なんで2人して、私の方をチラチラとチラ見して、そんなにニヤニヤしてるんですか?


真琴ちゃんがその犠牲になるのは構いませんが。

なんか、また良からぬ事を、私に向けて考えてるんじゃないでしょうね。


あの、先に言って置きますが、私は要りませんよ……そう言うの。


……ってか、ヤメテね。


もし私にやったら、此処で泣くよ。



「ほぉ、さては眞子のスペックの高さを見て、倉津にも成長して欲しくなったって訳だな」

「まぁ、実際の話で言えば微妙なラインの話なんですけどね。私個人としましては『クラも男の子なんだから、もぉちょっと私を引っ張ってくれる位には成って欲しいなぁ』なんて思っちゃったりもする面があったりするんですよね」

「まぁそうなるわなぁ。それに向井さんのアメリカでの一人暮らしも長くなったもんな。余計そう言う気持ちにも成るわな」

「でしょ、でしょ。ですからあの子には、この機会に、見違える程の成長して欲しい訳ですよ」

「なるほどなぁ。……っで、敢えて、見殺しにすると」

「そぉ。敢えて、見殺しにします」

「ハァ……ヤッパ、向井さんは良い女だな。こういうのって、普通の女性なら中々割り切れたもんじゃないんだけどな」

「そこはまぁ、生粋のサドですからね」

「オーライだ。んじゃま、女王様ヨロシク~~」

「はいは~~い」


あぁ……あれはどうにも、悪魔と、悪戯好きのティンカーベルとの契約が成立したね。

だってさぁ、なんか2人して終始ニコニコしながら、一度も揉める事もなく話に決着が付いたって事は、奈緒ネェ自身が、それを真琴ちゃんに求めている部分があったったからこそ揉めずに成立した訳だからね。

あのお姉さんが、自分が納得出来ない事を早々に受け入れる筈もないしね。


なので私としましては、そのロクデモナイ事に巻き込まれない様に、出来るだけ細心の注意を払って置きましょう。


絶対に危険な提案な筈ですしね。


***


 そうやって崇秀が、全員の元を廻って、なにやら指示を出してる間にもドラムの準備が終わり。

まずはグチ君が、そのドラムの位置に座る。

そんでカジ君は、奈緒ネェの居たバックコーラスの位置に入り、最後に奈緒ネェと由佳ニャンがセンターに移動。

んで、そんな中にあって真琴ちゃんは、センターのややバックの位置でステラさん寄りの右側の位置に配置された。


普段なら特に緊張しない真琴ちゃんも、流石にメンバーがメンバーなだけに、ちょっと緊張気味な雰囲気だね。

まぁ、そうは言っても、あまりにも久しぶりのライブだから、少しぐらいならこうやって緊張しても別におかしくは無いんだろうけどね。


でも、そんな緊張は、私が綺麗に吹き飛ばして上げるから心配御無用だよ……真琴ちゃん♪


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


今回はステラさんが倉津君のフォロー役に回ってくれ。

奈緒さんは敢えて、それを見過ごす方向に向いたみたいですね。


まぁまぁ、奈緒さんは、例の横浜アリーナのステージで『崇秀の拷問ブースト』による洗礼を受け。

自身の音楽性のレベルアップを体験しているからこそ、こう言う態度を取ったのでしょうし。

逆にステラさんは、こう言った体験をせずに、ほぼ独学で、今のレベルまでに達しているので。

そこで、崇秀の提案に対する考えの差が出ているものだと思いますです。


さてさて、そんな中。

この後始まるライブでの倉津君の運命や如何に?


そして、この様な指示を出した崇秀の『本当の意味』とは?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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