967 自ら悪人を演じる人間の気持ち

 全員に崇秀のロクデモナイ指示が伝わったので、此処からは倉津君&カジ&グチ君を加えてライブ再開♪


どうなる事やら?(笑)


***


「はいはい、OKOK。んじゃま向井さん、後ヨロシクなぁ」

「はい、お任せあれ~~。そんじゃあ行くよぉ由佳!!【Noa with 3B-GUILD】で、3B-GUILDの新曲『Running go school Ver-PUNK』かまして行くよぉ!!ミラーよろしくぅ~」

「あいよぉ~……1!!2!!」


♪♪♪♪♪---♪♪♪♪--♪♪♪♪---♪♪♪♪-----♪♪♪--♪♪♪---♪♪♪--♪♪……


うわ~~~なにこれ?

ガッチガッチのパンク・アレンジでキタァ~~~!!


これはキツイねぇ。


でも、まどろんでる暇は無さそうだし。

それじゃまぁ私も早速、崇秀のご要望通り本気で行ってみるかなぁ。


でも……本当にこんな事をして良いのかなぁ?



「『Hybrid booster』……」


♪♪♪♪♪---♪♪♪♪--♪♪♪♪---♪♪♪♪-----♪♪♪--♪♪♪---♪♪♪--♪♪……


ごめんね、真琴ちゃん。


悪気は無いんだよ。

本当の本当に悪意は0なんだよ0。



「がぁぁあぁぁ~~!!なっ、なっ、なっ、なんじゃこりゃあ!!」


うわっ!!結構、技の効力を抑えて演奏してるんだけど。

真琴ちゃんの様子からして、思ってた以上にキツそうな感じに成っちゃったなぁ。


どうしようかなぁ?


現状を見る感じじゃあ、もぉ辞めた方が良いかも。

……って思いながらステージの袖を見てみると、崇秀が、コッチをジィ~~~っと見てる。


……続行ですね。


はい……すみません。



「あぁ……!!グハッ!!」


あぁ……やっぱり、見てらんないよぉ。

だって、私の、今使ってるこの『Hybrid booster』はね。

以前に使っていたステラさんと同様の、演奏を上手く聞かせる為のブーストとは異なり。

その人の持つ根底の音楽性を強制的に上げて行くもの。


勿論、ある程度のレベルまでなら、弾けば弾くほどドンドン上手くなっては行くけど……体や、精神に掛かる負担が尋常じゃない。


並大抵の精神じゃ堪えられない物じゃない。

ヤッパリこれは、今の真琴ちゃんには、まだマズイんじゃないかなぁ?


技自体も、未完成と言えば、まだ未完成だし。



「真琴。フォローしてあげますから、眞子の攻勢に耐えて下さい」

「ステラ……」

「デカイの頑張りな。あたしも手伝ってやるからさぁ」

「アンタ……」


♪♪♪♪♪---♪♪♪♪--♪♪♪♪---♪♪♪♪-----♪♪♪--♪♪♪---♪♪♪--♪♪……

♪♪♪♪♪---♪♪♪♪--♪♪♪♪---♪♪♪♪-----♪♪♪--♪♪♪---♪♪♪--♪♪……

♪♪♪♪♪---♪♪♪♪--♪♪♪♪---♪♪♪♪-----♪♪♪--♪♪♪---♪♪♪--♪♪……


あぁ……真琴ちゃんの現状を見たステラさんとミラーさんから、とうとうフォローが入っちゃったよ。


これで、私だけが悪者だぁ……


・・・・・・


うん?

あれ……でも、ちょっと待てよ。

この得も言えぬ、なんとも悲しい疎外感ってさぁ、崇秀が、いつも体験してる事じゃないの?

崇秀はいつも、人の成長の為なら、自分を犠牲にしてでも、率先して嫌な事を引き受けるよね。


なら、今私のやってる事って、それと同じなんじゃないの?


・・・・・・


そうかぁ……そっか、そっか。

崇秀は、いつもこんな気持ちなのにも関わらず、平然と悪者を演じていたんだ。


そっかぁ、そっか、そっか。

だったら私は、もっと、この感覚を共用すべきだよね。

崇秀の彼女を名乗るのなら、こう言う彼氏の気持ちも理解しなきゃ、どうするんだって話ですよね。


それにさぁ、此処で真琴ちゃんを甘やかしてたんじゃ、真琴ちゃんの成長を阻害するだけで、なにも良い事なんてないもんね。


なら……もぉ容赦はしない。


心のまどろみも無くなった。


此処は、真琴ちゃんだけなんて言わず。

全員にブーストを掛けて、全員のレベルアップを、このステージで決めてやる。


行かせて貰うよ!!



「行くよ……『拡散型Hybrid booster』」


♪♪♪♪♪---♪♪♪♪--♪♪♪♪---♪♪♪♪-----♪♪♪--♪♪♪---♪♪♪--♪♪……


だから……諦めず頑張ってね。



「あっ……あぁ……眞子……」

「なんだい、こりゃあ……気持ちが悪い……」

「誰だ……俺に、こんな真似をしやがるのは……」

「(……あぁ……)」

「うぇ……うぇ……」

「(眞子……やめなさい……)」

「「「「「(あぅあぅ……)」」」」」


……ダメだ。

ヤッパリ、私には、崇秀みたいな上手く悪人を演じる事は出来無いよ。


だって、これじゃあ、崇秀の気持ち以前に、本当にみんな壊れちゃうよぉ……


こんな事しちゃダメなんだよ……



「ハハッ、おもしれぇ。眞子の奴、そこまで進化してやがったか。……けど、まだ心が弱いみてぇだな。なら俺が、その辺のオマエのフォローをしてやるよ。『共鳴音楽・Resonance』『狂奔・Dancing-Marionette』」


♪♪♪♪♪---♪♪♪♪--♪♪♪♪---♪♪♪♪-----♪♪♪--♪♪♪---♪♪♪--♪♪……


うぅ……この演奏の仕方は……


崇秀だ……


あの悪魔の音で、私の演奏を中断させないつもりだ……



「(あぁああぁ……嫌だ。もぉこんな演奏したくないのに、体が勝手に……)」

「……ヌルイんだよ、眞子。オマエは、余計な事をなにも考えず。人形を扱う様に、笑顔で、本能の赴くままに演奏し続けろ。やめさせねぇよ」

「(崇秀……嫌だ……こんな事しちゃイケナイよぉ……)」


私は、自分のこの音を停止させたくて、崇秀の方を必至に見詰る。


それでも音は鳴り止まない。



「なに、そんな目で懇願してやがるんだ?やるつったんなら、最後までやり通せ。半端な真似は許さねぇよ」

「「「「「「(あぁ……)」」」」」」」


声すら出せない。

顔が笑顔のままになって、表情を変える事すら許されない。

私達は、ただ只管に楽しそうな表情を浮かべて、演奏をし続ける事しか許されていない。


……助けて。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


倉津君の失った1年を取り脅す為とは言え、崇秀、中々エグイ事をしてきましたね。


眞子の拷問ブーストに、自身はレゾナンスとダンシングマリオネット敢行し。

まずは眞子の演奏の中断を阻止した上で、彼女の演奏レベルですらも更に強制的に上げ。

ステージ上に居る全員に地獄の様な体験をさせている様です。


っでまぁ、私が此処で、何が言いたかったかと言いますとね。

崇秀の演奏レベルは、此処に居る誰よりも遥かに上だって事を表現したかったんですよ(笑)

そして、それと同時に『オマエ等、まだまだ演奏も、思考も甘いんだよ』って事も表現したかった訳なんですよ。


まぁ実際の話で言えば、奈緒さんやステラさんやミラーさんに佐藤さんなんかは、かなりレベルが高いんですが。

眞子のブーストに掛かってる自体で、ほぼほぼ彼女と同等レベル。

此処だけの話、眞子より演奏レベルが高ければ高い程、苦痛は感じなくなるものなんで(笑)


……っでまぁ、それじゃあ流石に「GUILDの上位ランカーとしては不味い」っと感じたから崇秀は、眞子のブーストを利用して、こんな真似をした訳です。


さてさて、そんな中。

前回の後書きでも書いたのですが『崇秀には、まだこれ以外にも思惑があります』ので、次回は、その辺の崇秀の思惑について書いて行きたいと思います。

よかったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


早い話、今回のこの行動は、現状を見ての即興での行動だったと言う事ですね(笑)

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