963 ステージに上がるのに大事な事

 ステージに上がろうにも、3B-GUILDの面々や奈緒さん。

それにステラさんにミラーさんや佐藤さん達の様な実力者が演奏してるだけに、今の倉津君達の実力ではなんとも上がり難い状態。


それで文句を言っていたら……


***


 あの野郎だきゃあ……

イキナリなにを仕出かしやがったのかと思えば。

カジの仲裁が入って俺が少し気を抜いた瞬間に、ステージに向って、俺をイキナリぶん殴ってブッ飛ばしやがったよ。


テメェ!!マジでなんて事をしてくれやがんだよ!!

こんな風に入場を果たしちまったんじゃ、引くに引けねぇじゃねぇかよ!!


しかも、メッチャ格好悪いしな。



「ちょ!!……オイ!!仲居間さん!!今のはマジでシャレになってねぇぞ」

「あぁ?んだよコラ。オメェ等もゴチャゴチャ御託ばっか並べてねぇで、さっさと、あそこに行けや」

「「へっ?」」

「そうやってな。他人の心配をするのも結構だけどな。オマエ等もな、口だけでズラズラとステラに感謝してんじゃねぇぞ。本当にアイツに感謝する気持ちがあるんなら、下手でも、なんでも、今有る実力をアソコに行って全部吐き出して来いよな。それで笑う奴が居るなら、俺が全員ぶっ殺してやらぁ」

「「仲居間さん……」」

「それともなにか?倉津みたいな入場の仕方がお好みなんなら、俺がステージの向こう側まで一気にブッ飛ばしてやっけど。そうして欲しいのか?」

「「いや、それは遠慮しとく」」

「だよな。じゃあ、もぉ四の五の考えずに行って来いよ」


あの野郎。

俺をステージに上げただけに留まらず、カジと、グチまでステージに押し上げやがったよ。


なに考えてやがんだよ!!


その上、どこからとも無くマイクを引っ張ってきて、なにか言い出しそうな雰囲気だな。


マジで、なにする気だ、この野郎!!



「はいはい。Every-bady!!Are you ready!!前年度の優勝者が、そこのステージの裾に居やがったんで、助っ人として呼んでやったぞ。だから有り難く、その音をタップリ味あわせて貰いな」

「「おっ、おっ、いつかいつかと待ち侘びてたけど、やっとキタァ~~~!!魔虎兄貴ぃ~~~~!!魔虎兄貴の襲来だぁ~~~!!」

「遅ぇんだよ!!奈緒様の声には、テメェの音がねぇとなんか物足りねぇんだよ!!」

「カジく~~~~ん!!」

「グチく~~~~ん!!」

「「「「カジ&グチく~~~~~ん!!」」」」

「「「あっ、あぁ……」」」


オイ……なんだよそれ?

崇秀のアホンダラァが言った通り、この有名人しか居ない状態のステージでも、俺達を音なんかを求めてくれる奴等なんかが居るのか……


なんて事だ……



「オーライ、オーライ。……まぁつっても、ドラムの準備が少々掛かるから、演奏は、ちょっと待ってくれな」

「仲居間さん、それってグチ君のドラム~~~?」

「おうよ。だから、その間は良い子にして、ちょっと待てな」

「「「「は~~~~い♪じゃあ待ちま~~~す」」」」


崇秀は、それだけを観客に向かって言うと。

その後は、ステージの裾から何かを持って、俺の方にやって来て。

俺の胸の辺りにドンっと『Fender USA American Deluxe Jazz Bass Fletless』を押し当てて1言だけ……こう言って来た。



「ボケ。これで少しは解っただろ?なにも此処に居る万民が、3B-GUILDの音を求めて此処に来てる訳じゃねぇんだよ。少数だろうが、なんだろうが、オマエ等みたいなボンクラの音を求めて此処にやって来てくれてる奇特な奴ってのも居てくれる。だからよぉ。精々そいつ等に愛想を付かされ無い様な演奏を披露してみろよ。結果なんぞ、自ずと付いてくるもんなんだからよ」

「……ったく、何を言うかと思えば、このお節介野郎がぁ」

「ホントお節介だよな。……けどよぉ、クラッさん。マジで俺等の音なんかを忘れずに、こうやって待っていてくれる奴なんかもいるもんなんだな。そっちはマジで感動だよな」

「全くだな。仲居間さんの言う通り、世の中には奇特な連中が居たもんだ。だったらせめて、その歓声に応えられるだけの演奏をやってやろうぜ。もぉこうなったら、それしか選択肢がないんだし」

「あぁ……ったくもぉ、オマエ等までそうやって、見事なまでにこの馬鹿に乗せられやがってよぉ。……あぁ解ったよ!!解りましたよ!!弾きゃあ良いんだろ弾きゃあよぉ!!」

「まぁ、そういうこったな」


全く……いつもながら、やってくれたよ。

そう言いながらも俺は、この瞬間に、少し忘れかけていた初心を少しだけ思い出していた。

結局よぉ、音楽なんてもんは、まずは自分自身が楽しまなきゃ損だって……極々当たり前の事をな。


まぁ、それはそれで良い感じなんだがな。


あぁでも……それはそうとよぉ。

なんでオイちゃんだけ、モッサイ男達の無駄に熱い声援だけしかこの会場からは聞こえてこないんだ?


カジとグチに関しては、完全に女子からの声援しか聞こえてなかったって言うのによぉ。

なんか、おかしくねぇか、これ?


って事なんで。

今からでも良いから、オイちゃんにも女子達からの黄色い声援をプリーズ!!プリーズ!!


あぁもぉこの際だ。

身内からでも良いんで、誰かオィちゃんにも黄色い声援を送っておくれよぉ~~~!!


毎度の事ながら、あまりにも悲し過ぎんぞ、これ!!(´;ω;`)ブワッ


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


毎度毎度の事ながら、倉津君には男性陣のモッサイ声援しか上がりませんでしたね(笑)

まぁまぁ、言うて、倉津君が女性陣に恐れられてたり、嫌われてる訳ではないんですが、何故か、無駄に女性陣が、やや遠慮している所はあるのかもしれませんね。

なんと言っても倉津君は、誰かは解らないまでも、彼女が居る事を結構知られている訳ですからね。


さてさて、そんな感じでステージINを果たした倉津君一行なのですが。

この光景を見た眞子は、一体どう感じるのでしょうか?


次回からは、また眞子視点に成りますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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