962 俺は良いんだが、カジとグチがなぁ……

 事態を収拾する為に全員が一丸と成って盛り上げたライブ。

そして、その中には「ファンとしての心構え」なんて物盛り込まれており。

観客も、3B-GUILDのメンバーも、それに感化され、ステージに物凄い一体感が生まれていた。


***


「「「「「パチ……パチパチ……パチパチパチパチパチパチパチ……」」」」」

「「「「「パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ……」」」」」

「「「「「パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ……」」」」」

「「「「「任せとけぇ!!頑張ってくれてる限りズッと応援するぞぉ!!」」」」」

「「「「「これからも、みんなで一緒にライブを作らせてくれなぁ!!」」」」」

「「「「「頑張れよぉ~~~~!!応援しってからよぉ~~~~~~!!」」」」」


またしても計った様に体力が回復した観客の皆さんが、大きな声援を3B-GUILDに向って送っている。

そこで漸く、素直達3B-GUILDの面々は下げていた頭を上げ。

満面の笑みで、みんなで抱き合ったり、観客に向って精一杯手を振ったりしている。


ステージ上も、観客サイドも、此処に居る誰もが全員、凄く満足気だ。


しかしまぁ、どこまで計算付くなんだよ……アイツは。


……マジで計り知れねぇな。


なんて思いながらステージを見ていると。



「ハァ~~~、ったく、面倒臭ぇ。ドイツもコイツも世話の掛かるこったな」


そんな喜びを体現する素直達3B-GUILDと、観客を暫く見ながら、なんか不満気にブツブツと文句を言いながらステージを降りてきやがった。


投げっ放しにしたクセに、ホント偉そうな奴だな。


***


 ……そんなバカタレを、ステージの袖で確保。



「オイ、崇秀!!」

「おぉ、なんだ倉津じゃねぇか。なんだよ?なんか用か?」

「いや、オマエねぇ、『なんだよ?』じゃねぇだろ!!歌謡コンテストは、どうなっちまったんだよ!!つぅか、どうなってんだよ、この状況はよぉ!!」


……っとまぁ、なんでこんな事に成ってるのか解らなかったんで、まずは状況説明を求めてみた。

実際の処、こんな状態に成ってしまってるから、歌謡コンクールは、もぉ完全に諦めざるを得ない状況なんだがな。

一応、必至こいて練習したのに、これじゃあ、あまりと言えばあまりだから、文句の1つも言ってやりたかった訳だ。



「んあ?あぁ悪ぃな。なんかよぉノリで、こんな感じになっちまってよぉ。マジ悪ぃな」


うわ~~~っ!!コイツ、俺の意見を思いっ切り軽く流しやがったよ。


最悪の極みだなオマエ。


『ノリ』って、なんだよノリって!!


大島屋糊か?



「オマエなぁ。言いだしっぺのクセに、そりゃあねぇんじゃねぇの?3年間1度も洗わなかった靴下の臭いでも嗅いで、サッサと死ねば良いのにな」

「まぁまぁ、そんな怒んなよ。たかが、歌謡コンテストの時間が変更されただけのこった。そんな言う程大層なこっちゃねぇだろ」

「いやいやいやいや、全然大層だから!!それによぉ、必死になって練習した俺等の立場は、どうなんだよ?」

「ご苦労さん」

「マジでブッ殺すぞ、テメェだけは!!」


いやよぉ。

そりゃあ俺は、こう言う不幸な事がしょちゅう有るから、結構、慣れっこなんだけどよぉ。

これじゃあ余りにも、カジと、グチが可哀想過ぎるだろ。

お前は知らないかも知れないがな。

コイツ等はなぁ、ステラに恩返しがしたいが為に、今までも必死になって練習を続けて来たんだぞ。


なのに、そりゃあ、あんまりだろ。


……あぁそう言えば、なんでステージ上にステラの奴が居るんだ?


まっ、まぁ、今は、そこは良いか。



「んあ?もぉ別に良いじゃんかよ。面倒臭ぇ」

「あのなぁ、馬鹿秀。カジとグチはなぁ、今日の為に必死に練習してきたんだぞ。それを『別に良いじゃん』とか『面倒臭ぇ』ってなんだよ!!テメェが勝手にやった事で、理不尽な事を抜かしてんじゃねぇぞ!!」

「ふ~~む。……じゃあよぉ、オマエ等もアソコに乱入すれば良いじゃん、それで全部解決じゃん」

「出来るかぁ!!」

「はぁ?なんで出来ねぇんだよ?遠慮せずにやりゃあ良いじゃんかよ」


このアホは……

いつもこうやって親切・丁寧をモットーに、心の中で語ってやってるって言うのに。

幾ら言ってもテメェは、テメェのそのドデカイだけで訳の解らんスカスカの物差しで物事を全部計ろうとするんだろうなぁ?


良いかボケ?

人ってのはなぁ、それぞれの分を弁えて生きてんだよ。

それなのにも関わらず、ド素人の俺達に『3Bのライブに乱入しろだ』なんてよく言えたもんだな。


んな大胆な真似出来るかぁ!!このパープリンがぁ!!



「あのなぁ~~~」

「……ってかよぉ。あの程度の所に乱入出来なくて、どうするよ?オマエさぁ、自分の腕がショボイからって、その小さい物差しで物事計ってんじゃねぇぞ。馬鹿じゃねぇのか?」

「アホか!!テメェこそ、その訳のわからねぇドデカイ物差しで、自分本位に他人を計ってんじゃねぇよ!!世の中には、出来る事と出来ねぇ事ってもんがあんだよ!!」

「あっそ。なら、文句言うな。出来ねぇなら、幾ら言っても出来ねぇんだから、なにを言い合っても、ただの無駄じゃねぇかよ。出来ねぇなら、出来ねぇ出来ねぇ泣き言を言って、その場でクタバレ……雑魚共が」

「オイ、コラ!!テメェが招いた事だろうがぁ!!責任取れ責任!!」


ふざけんなよコイツ!!

自分勝手な事ばっかり言ってんじゃねぇつぅの!!

人を馬鹿にしてやがるのか!!


……っと、結局、いつの間にか怒ってる俺。



「責任ねぇ。……良いぜ。だったらよぉ。3B-GUILDのライブが終わった後。糞ジジィや、糞ババァ主催の町内会カラオケ歌謡コンテストに出て優勝でもすりゃあ良いんだろ。それでテメェ等は満足なんだろ?なら、幾らでも付き合ってやんぞ」

「イラネェよ!!んなもん!!」

「じゃあ、どうすんだよ?ライブには乱入しない。歌謡コンクールには出ない。そんなもん、どうやって責任を取れって言うんだよ?それじゃあ、取りたくても、取り様がねぇだろ。ちょっとぐらい妥協しろ妥協」

「あのなぁ、俺は、そう言う事を言ってんじゃねぇんだよボケ!!人から、その場を奪って置いて、謝罪の1つも無しなのかって言ってんだよ!!」


もぉ俺の事は良いからよぉ。

せめて、カジとグチには、ちゃんと謝ってやれよボケ。


それが、ヘタウチをした者の責任ってもんだろうが。



「アホ臭ぇ。誰が謝罪なんぞするか。……つぅか、オマエさぁ。なんか激しく勘違いしてるみたいだから、ハッキリ言うがな。状況ってのは、常に変化するもんなんだよ。それに対応出来ねぇなら、文句垂れんな、カス」

「ざけんなよ!!そんな訳のわかんねぇ言い分が通るかよ!!」

「通るんだな、これが」

「あぁ?いい加減な事を抜かしてんじゃねぇぞ!!」

「いいや、いい加減じゃねぇよ。現に、オマエ等の音楽より、今ステージに居る連中の演奏を観客が求めて居るからこそ、オマエ等のショボイ音なんぞイラネェって言われてんだよ。それを覆す為には、その場を奪い取るしかねぇ。……だが、奪い取る実力が無いってんなら、指を咥えてろって話だ。違うか?」


この餓鬼……



「いい加減にしろよテメェ!!カジと、グチが、どんな気持ちで、今日まで練習してたと思ってんだよ!!テメェには人の心がねぇのか!!」

「ハッ、そんな澱んだ人の心なんぞ持ち合わせてねぇな。実力がねぇ奴が淘汰されるのは世の常だ。それにどれだけ練習をしようが、その実力を発揮出来ないんなら、そんな物は徒労でしかない……もし、それが、どうしても納得出来ないってんなら、誰もが黙る様な実力を持って、それを証明するしかない。だからオマエの言ってる事は、馴れ合いから生じた負け犬の遠吠えに過ぎねぇんだよ」

「テメェ!!」

「んだよ?やんのかコラ?」

「もぉやめろって、クラッさん!!仲居間さん!!こんな所で喧嘩すんなよ」


チッ……


命拾いしやがっ……



「ぐはぁあぁぁ~~~!!」

「「「「「きゃああぁぁあぁ~~~!!」」」」」

「はい、さよなら……そして、いってらっしゃい」


あの野郎だきゃあ……なにしやがんだ!!


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


3B-GUILDのメンバーの件は丸く収まったものの。

今日まで頑張ってきたカジ&グチ君の努力を無駄にしたくない倉津君は、またもや崇秀と揉めだしましたね。


そして最後には、観客達からの多くの悲鳴と共に、なにかをされた倉津君。

果たして、崇秀に何をされたのか?


次回はその辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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