961 ファンとしての本当の心の在り方

 奈緒さん&眞子チームを合併し、ライブを敢行した崇秀。

それを知らずに会場に現れた倉津君は、演者達の驚くべき演奏技術に目ん玉ビヨ~~~ンに!!

そして観客、そんな音楽を聴いて盛り上がりはしたものの、あまりの熱気に体力的にはボロボロに成っていた。


そんな中、演奏を終えた崇秀がなにかを発言をしそうな雰囲気なのだが。


***


「よぉ!!久しぶりだな、皆の衆、元気してたか?」

「「「「「ハァハァハァハァハァ……」」」」」

「おぉ~~~おぉっ、なんだよ、なんだよ?どうしたよ?声も出ねぇのか?なんだか今日の客は豪く元気がねぇな。……この程度でへばるなんざ、3B-GUILDのファン層ってのも大した事ねぇんだな」

「「「「「ハァハァ……んくっ!!あぅあぅあぁ……」」」」」


異論を唱えようとしても、先程の酷い疲労感から完全にグロッキーになってしまっているので、観客は誰1人として崇秀の発する言葉に反応出来ないでいる。


精々反応出来ても、陸に上がった魚の様に、必至に口だけをパクパクさせているのが精一杯。


崇秀に向って反抗の声を上げる事が出来ずに居た。



「ハハッ、なんだなんだ、マジでだらしねぇな。けど、オマエ等も、これで、ちょっとは解ったか?……オマエ等が罵詈雑言を浴びせてた『自分のお気に入り以外の3Bのメンバー』もな。こうやって、オマエ等に楽しんで貰おうと思って、毎回必死になってんだよ。ちょっとはコイツ等の苦労ってのも解ったか?」

「「「「「がぁ!!ハァハァハァ……」」」」」


これは、なんの話をしてるんだ?

最初から、この場に居なかったから、話の意図が全くと言って良いほど見えて来ないな。


ただ……3Bのファンと、崇秀の間に、何かすれ違いがあった事だけは間違いない。


それにしても、その諍いの原因ってなんなんだ?



「返答無しですか?ハン、そりゃあよぉ。オマエ等が好きな奴を応援するのは一向に構わねぇよ。それこそ個人の自由だからな。……けどよぉ、コイツ等にとっちゃあ、3B-GUILDのメンバーは全員が掛け替えの無い仲間なんだよ。その仲間の悪口を観客席から言われて、気持ち良くステージを演出出来る奴なんか居ると思うのか?プロと言ってもなぁ。コイツ等は、まだまだ餓鬼だ。そんな事しちまったら、相手を変に意識して、どうしても無駄なムラが出来ちまう事すら解ってねぇみたいだしな。此処、解ってたかボケ共?」

「「「「「ハァハァ……あぅあぅあぁ……」」」」」

「良いか?幾らコイツ等にライバル心なんて物が有ってもなぁ。コイツ等は、お互いを信じてる。……そんな奴等の関係に、オマエ等は亀裂でも入れたいのか?もしそうなら、そう言うのヤメテくんねぇかな?……もう1度言うがな。コイツ等は、まだまだ餓鬼なんだからよぉ」

「「「「「ハァハァハァ……かぁ!!……」」」」」


まだ事情がわかんねぇから、なんとも言えねぇんだけどよぉ。

確かに、俺の見ていた範囲でも、3B-GUILDの連中は絆が有った。

全員で1つの目的に向って協力し、みんなで支えあっていた。

だからコイツ等は、みんなで成功する為に、懸命に頑張ってきた事の説明をしているのは解る。


崇秀は、その辺についての何かを言いたいんだろう。


まぁまだ、正確には解んねぇけどな……



「まぁ、要するにだ。……オマエ等なんぞ、ファンの風上にも置けねぇ様な糞みてぇな観客だって話だ。金を出してる程度で、なにをやっても良いと思ってる、酷い勘違いをした糞溜だ。……良いかボケ共?3Bの誰かを応援してやるなら、ソイツも含めて、全員を好きになってやる位の気概を見せろよ。そうすりゃあよぉ。もっと全員が一致団結して、もっと大きく輝き出す要因になんだからよぉ。そうなりゃあ、オマエ等のご贔屓の奴も同時に引き立つ事になる。なら、罵詈雑言を吐く事で、他の奴の人気を蹴落とす要因なんぞ作ってる場合じゃねぇだろうが。そんな風に3B-GUILDの向上心を低下させてんじゃねぇつぅの。解ったか、このボンクラ共?」

「「「「「・・・・・・」」」」」


確かにな。

誰かを蹴落として行くだけじゃ、ユニットとしては、なにも進歩は無いからな。

それ処か、自分の人気を確保する為に、今度は蹴落とす事バッカリに集中し始めて……いずれユニットは崩壊する。


その切欠になるのが『個々の人気』と言う、人間の一番抗いがたい部分なら、此処を上手く調整しなきゃならない。


崇秀の言ってる事自体は、ただの綺麗事に聞こえるかも知れないが、ユニットが解散してしまえば全てが終わるのも事実。


なんてったって、過去の例から見ても。

ユニットが解散後、個人個人で生き残れる奴なんて、殆ど居ないからな。

その上、ドンドン新しいユニットが出てくるから、観客の目移りも激しく、継続的に人気を保つ事は難しいだろうしな。

だから、本当にソイツの事を応援してやりたいなら、崇秀の言ってる事は正しいと思える。


最終的な話で言えば、人気なんてものは、所詮一過性のものでしかないからな。



……ただな、コイツの言う事は難しすぎるんだよ。

一般の人間には、その辺の状況を理解するのは難しいんだよな。


けどよぉ、俺は、崇秀のこの意見に賛同する。


贔屓目で見てる部分は有るにせよ。

3B-GUILDには、もっと芸能界で長く生き残って欲しいからな。



「んな訳だからよぉ。そんなツマンネェ子供染みた真似をいつまでもしてねぇで。3Bも、ファンも、全員がそれ等を共有して、全員で一体化したオモシレェライブを作り上げてみろよ。それこそが、本来のライブの有るべき姿つぅもんなんだからよ。……解ったか?金を払ってるだけのド素人のボケ集団共。……俺が言いたい事は以上だ」


あぁ……上手い言い回しで締めたな。


ただ、物凄い上から目線で、モノを喋ってやがるけどな。


……でもな。

コイツの言葉って重いんだよな。


今みたいによぉ。

悪魔みたいな演奏で、3Bの連中の気持ちを直接脳に訴えかけてくるし。

なんと言っても、全てに置いてコイツは『なにも失敗してない』って実績がある。


それを加味すりゃ、誰だって『崇秀の意見が正しい』と錯覚しちまうんだよな。


ホント、怖ぇ男だよ。



こうやってまた『新たな実績を積み重ねて行くんだからな』


……まぁ、そんな崇秀は、それを言い終えると。

3B全員を集めてから素直にマイクを返し、一言だけ添える。



「おっ!!アリス、サンキュウな」

「あぁ、いえ」

「あぁ、一応、オマエ等にも言って置くがな。観客の変な意見に惑わされるなよ。それと仲間である以上、仲間は、絶対に疑うな。これからも全員で協力し合って、もっと良いユニットを作る事だけに専念しろ。……当然、観に来てくれてる観客も一緒にな」

「「「「「はい!!」」」」」

「おぅ。じゃあな。……あぁ向井さん、眞子、ステラ、ミラー、シゲさん。後、宜しくぅ~~~」


そう言い残して、魔王はステージを後にした。

俗に言う、テンション上げて、投げっ放しって言う奴だな。


……けど、3Bの連中は、崇秀に上手く煽られたのか。

全員がステージ上で整列して、一斉に頭を下げながら……



「今日来て頂いた皆さん。僕達は、これからも、皆さんの期待に応えれる様に一生懸命頑張りますので、応援宜しくお願いします!!」

「「「「「宜しくお願いします!!」」」」」


今の自分達の気持ちを、誠心誠意伝わる様な言葉を言った。


しかもな。

観客から声が返って来るまで、誰1人として、頭を上げようとはしなかった。


凄い感化のされ方だ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


崇秀の言葉が、重くのしかかる状態に成ってしまいましたね。

ですが、これは芸能界ではよくある話。

此処をファンの方々もシッカリ認識して置かないと、自身が応援しているユニットが消えていってしまう要因に成り兼ねないですからね。


さてさて、そんな中、言葉に感化され。

ファンとの心を繋ごうとして、3B-GUILDのメンバーは全身が頭を下げた訳なのですが。


その行動は、ファンの方達には、どう映るのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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