960 始まってしまった魔王のライブ

 コンクールが別の意味で盛り上がってしまい。

その軌道修正する為に奈緒さん・ステラさん・ミラーさんを崇秀は自軍に加え、会場に乱入開始。


けど、その状況を知らない倉津君は……


***


 ―――サイド真琴。


 ちょ……なっ……なんだよ、これ?

本当に一体、なんなんだよ、これは?

俺の眼前に広がる、この異様な光景は、一体、何がどうなって、こんな状況に成ってるんだ?


俺が音楽室からカジ&グチを引き連れて会場に来るまでの間に、此処で!!一体!!なにが起こったって言うんだよ!!


なんで歌謡コンクールが開催されている時間の筈なのに。

3B-GUILDがメインを張って歌にダンスで観客を魅了しており。

そこに+奈緒さん、眞子、ステラ、知らない女のキリンさんチーム。

それに付け加えて、糞眼鏡と、崇秀が一緒になってステージで演奏してやがるんだよ?


しかも、コイツ等全員……どうやったら、こんな音が出せるんだ?


奈緒さんは……

3B-GUILDのバックコーラスをしているだけの筈なのに。

3B-GUILDが発声している声の根底の部分から底上げしてる上に、彼女達を完全に支配して、自身の意のままに彼女達を操るが如く、3B-GUILDの発声部分を統括している。


眞子、及びステラは……

『Music-man 1979 Sting -ray bass』と『GUILD M-80』の競演なのは良いんだが。

なにやら2人の異なるブーストらしき物を全開に掛けて、メインである3B-GUILD全員の底上げを行い。

今までに誰も見た事も無い様なレベルの高い3B-GUILDを演出している。


そして、キリンさんチームに於ける謎の女は。

独特の激しいビートで、見事なまでのリズムを刻み。

たった1人で、3B-GUILDの曲をアレンジを敢行している。

しかも、そのアレンジは明らかに即興なのにも関わらず、上手く、そのアレンジを全員に音やリズムだけで伝え、バンド自体を支配してやがる。


コイツが誰だかは知らないが……この音楽を聴いただけで、コイツもまた完全に化物の域だと理解出来た。


いや……キリンさんチーム自体が化物の集団だ。


……だが、そんな恐ろしいキリンさんチームに入っていても、異彩を放つのが糞眼鏡と、崇秀。


糞眼鏡が、その長い指で鍵盤を叩く事により。

シンセから繰り出される一音一音が、まるで3B-GUILDに命令を出している様な音。

彼女達を操り人形の様に、余計な動きを一切合切制限し、見事なまでに洗練されたダンスに昇華させてしまっている。

しかも、その音により、全員の動きが均一化され。

機械の様に正確でありながらも、それでいて、やけに生き生きとしたダンスを披露させてやがる。


そんな恐ろしい様な支配系の音を出しながらも、糞眼鏡は……笑っている。



そして……最後に魔王崇秀。

……っと、此処で奴の音についての説明をしたい所ではあるんだが。

奴が、どうやって、こんな真似をしているのかは全くと言って良い想像すらつかない。


ただ此処で1つだけ言える事があるとするならば。

……奴は……3B-GUILDの今有る心境を、此処の会場に居る全員に伝えようとしている。

いやもぉ此処は『既に伝わっている』と言った方が正しいのかもしれない。

『人に注目される快感』

『観客に伝えたい感謝の気持ち』

『日々良い物を作りたいと思っている必至な気持ち』


そして……『各々が3B-GUILD内で抱えている苦悩』


それ等の彼女達の熱い気持ちを全て、崇秀は自身の奏でる音に乗せ、それらを観客達に伝え。

まるで此処に居る観客全員が、3B-GUILDのメンバーである様な錯覚さえも引き起こさせる様な『疑似体験映像』を頭に沁み込ませて来てやがるからな。


その証拠として、男である俺でさえ。

本当に、自分がステージ上で唄いながら踊る3B-GUILDのメンバーにでも成った様な錯覚さえ憶えている。


俺の存在とは最も縁遠い。

キラキラした衣装を着て、可愛らしい歌を唄ってる3B-GUILDのメンバーに成ってる様な気分を味わう羽目に成っているのだから、これは間違いないと思う。


そして、これこそが崇秀の奏でる音楽の真骨頂であり、演奏者と、観客の完全な一体化って奴なのかも知れねぇな……



しかしまぁコイツだけは、なんて恐ろしい真似をしやがるんだ……


こう言った演奏を会場内の全員に聞かせる事により。

此処に居る全員が3B-GUILDのメンバーに成った様な気分に成れば。

誰だって、一生懸命3B-GUILDを応援したくなるってもんだもんな。


なので、これはもぉ……『悪魔の所業』としか、他に表現出来無い様な悪魔の演奏だな。



本当に、なんなんだこれは……


この会場内自体が、もぉ訳の解らん空間に成っちまってるじゃねぇかよ。


***


 そして……たった5曲。

そう……たった5曲で、演奏者及び、ステージを見ている観客達は全員が熱気のあまりフラフラになっていた。


まだステージ慣れしている演奏者達には、ほんの少しぐらいの余裕は残っているが、観客達は、既に疲労困憊になっている。


いつもは、応援するだけの立場にある者が、ステージ上でパフォーマンスを繰り出す者のプレッシャーや、その他の運動量を強制的に体感させられたんだから、これは当然の事だろう。


盛り上がりたいのに、盛り上がれないジレンマ。

それを酷使してでも盛り上がろうとした者は、その場で意識を失って倒れて行く。


最高に盛り上がった筈のライブの筈なのに、会場は凄惨な状況に陥っていた。



……そんな中、崇秀は、素直からマイクを受け取り、なにやら話し始める。


その表情は、あれだけの事をしたにも拘らず、いつもの様に余裕が有り。


あまつさえ……奴も笑っていやがる。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


全員飛ばしてますねぇ(笑)

まぁ、これだけ豪華なメンバーが集まれば、こう成っても然りな部分ではあるのですが、此処で3B-GUILDのメンバーを除けば、他の全員が『独特の音楽を奏でる人間』であり『奇妙な技持ち』

そう言った個性あるメンバーだからこそ、会場は盛り上がってる訳ですね。


さてさて、そんな状況に驚くばかりの倉津君なのですが。

更に、此処で崇秀が、なにかを発言す両な雰囲気を醸し出してますね。


果たして、この状況下で、彼は何を口にするのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


あぁ……因みに、これは以前にもお伝えしたのですが。

『これらの技』につきましては、本当の話だけをすれば、彼等は、なにも特殊な音楽を奏でてる訳ではありません。

まぁ解り易く『技名などを表記しています』が。

実はこれって言うのは『今、自身が奏でている音楽の方向性』の話を技名にしているだけであって、別にチートな能力でこれらの効果を出している訳ではありませんので、あしからず。

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