964 崇秀の眞子への頼み事

 倉津君が、ゴチャゴチャと御託を言ってステージに上がらないから。

崇秀がぶん殴って、強制的にしてステージの上に叩き出しましたとさ(笑)


***


 ―――サイド眞子。


 なになに?

突然、真琴ちゃんがステージの裾からステージ上に吹き飛んできたと思ったら、次の瞬間には、カジ君、グチ君までもが、このステージ上に乱入。

その上、最後には1度ステージを降りた筈の崇秀がマイクを持ってマイクパフォーマンス。


なんじゃね、これは?

なんか急にステージ上が無茶苦茶慌ただしい雰囲気になってきたんだけど……これは驚きだね。


まぁまぁそうは言っても、そうやって崇秀がステージに上がった後。

状況説明をしてくれたから、特に会場内での混乱はないみたいだし。

グチ君用のドラムをステージ上に設置してる所だから、みんな、スタッフさんがバタバタ動いてくれてるのを見詰めているみたいなので、取り敢えずは、観客の皆さんも、奏者の皆さんも、納得して、その光景を見ている感じですね。


じゃあ、大丈夫そうだね。


なんて思いながらステージ上を、私も見ていたら。

崇秀は、真琴ちゃん達に1言2言、なにかを話した後、私の元にやってくる。


うん?なにかな?



「あぁっと、お帰り……って、取り敢えず、此処はそう言うべきなのかなぁ?」

「プッ!!なんだそりゃあ?変に心配しなくても『お帰り』はイラネェよ。俺は、もぉこのステージで演奏をする気はねぇからな」

「えっ?折角ステージに戻って来たのに、崇秀はもぉ演奏しないの?……じゃあ、なんかツマンナイなぁ」

「まぁまぁ、そう言うなって。このライブの間に、俺もまだして置きたい事があるんだからよ」

「ヤダ。もっと崇秀と一緒に演奏したい。して下さい」

「我儘言うんじゃねぇの」

「あぁ、はい、じゃあ言わない」

「良し良し、良い子だ」

「はわ~~~~」


素直にしてたら、頭を撫でてくれた。


なんだろうこれ?

なんか凄く幸せが満ち溢れてくる感じですね。

こんな幸せな気分に成れるんだったら、変に反抗せずに素直にしてて良かった、良かった♪



「……っでよぉ。それとは別に、ちょっと眞子に頼みが有るんだが聞いてくれるか?現状じゃあ、多分、オマエしか出来ないと思うしよ」

「えっ?崇秀が私に頼み事?うん。だったら全然良いよぉ。……なに?なんでも言ってみ」

「じゃあよぉ眞子。この後、演奏をする際、倉津の馬鹿に1曲目から全力でブーストを掛けてくんねぇか?一切の容赦もイラネェからよぉ」

「えっ?……真琴ちゃんに全力でブーストを掛けるの?いやまぁ、それは良いんだけど、でも、そんな事したら……」

「良いからよぉ。そんな余計な事は考えなくて良いから、オマエの力で、アイツを一回、完膚無きにまで叩き潰せ。オマエと、アイツの実力の違いを世間に見せつけてみろ。良いか?やってくれるか?」


えぇっと……これはまたやけに微妙な要望だなぁ。


あぁいやいや、ブーストを掛ける事自体は、別に全然良いんだけどね。

問題は……真琴ちゃんに、そんな事をして最後までもつのかなぁ?

崇秀程じゃないけど、私のブーストって、かなりキツイって巷の噂が流れてますからねぇ。


だから本当に、ステージ上で、そんな事をして良いものなのか、どうか微妙なんですよね。



「はいはい、崇秀、質~~問~~」

「んあ、なんだよ?」

「なんで君は、そんな事を私にして欲しいのかね?」

「なに?ってオマエ……そんなもん、簡単じゃねぇかよ。以前俺が、オマエにアリーナでやった事を、このステージで再現すんだよ。オマエの技術を、一旦アイツの体を通して体感させ。早急に体で憶えさせる為だよ」

「あぁ、なるほど、そう言う事ね。真琴ちゃんの失った1年間の1部を、このステージ一回で取り戻そうって腹だ」

「まぁ簡潔に言うと、そう言うこったな。良く出来ました」


やたぁ、正解でしたぁ♪

……のは良いんだけど、あれ?

あれ、あれ?なんか足りなくないですか?

正解したんだったら、なんか足りてなくないですか?



「あっ、あの、頭を撫でてくれないの?」

「んあ?あぁ、そう言えばよぉ眞子。……あれなんだ?」

「うん?どれ?どこ?なに?」

「あぁ、悪ぃ。なんか目の錯覚だわ。……っでよぉ眞子」

「うん?なに?……あっ!!」


『チュ』


あっ!!騙された!!

指で指された方向を何気に見た後。

突然、崇秀に呼ばれたから本能的にソッチの方を向いたら、チュ~されっちゃった。


まぁ、一瞬の出来事だったから、会場の人間も、他の奏者の方達も気付いてなかったみたいだけど……


・・・・・・


……うんうん、がんばろ。


頑張ろう♪頑張ろう♪



「ははっ……このキス魔」

「ハハッ。ドン臭ぇ女」

「うん、ドン臭いね、崇秀わ。私が、わざとキスさせてあげただけなのにね」

「嘘だな」

「嘘ですね」

「ははっ、このアホは。……まぁ兎に角、眞子、そう言う訳なんで頼むな」

「はわ~~~~」


頭ね頭。

優しく頭を撫でてくれてるのね。


それにしても、ホントに良いよね、これ。

勿論、崇秀以外の人間が私の髪を触るなんて事は、絶対に許されない行為だけど。

私が唯一許す崇秀が、こうやって頭を撫でてくれるなら、それはご褒美。

幾らでも「好きなだけ撫でておくれ」って感じですよ。


もぉ既にクセに成っちゃいそうな勢いですしね。

いや、もぉ、これ無しじゃ生きられないぐらい、癖に成ってると言った方が正しいのかもしれない。


ほんで、ちょっとの間、そうやって頭を撫でてくれ。

最後に、いつものポンポンって奴が来て、綺麗に髪を整えてくれた上で、崇秀は私の元を去って行く。


うむ……これはなんと贅沢で幸せな時間だったのでしょうか。


って事で眞子は、こうやって幸せに包まれておりますので……この後はマジがんばろ!!


でも……真琴ちゃんごめんね。

こうと決まった以上……お命頂戴だよ!!


申し訳ないんだけど、私の幸せの為と、崇秀の目論見の為に……死んで。



……っで、この後、崇秀は、シゲさんと言われる眼鏡の人の所へ行く。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


眞子への崇秀の頼み事と言うのは『倉津君に全力でブーストを掛ける事』でしたね。

まぁ、本編でもその理由を説明したのですが。

これは早急に倉津君の演奏レベルを上げる為に頼んだ事になりますです。


……っでまぁ、此処でお気付きの方も居られるとは思うのですが。

なんで敢えて、それを自分でせず、眞子に託したかと申しますとね。


眞子の技量が、去年からどれほど上がっているかを確かめる為の行為でもある訳なんですよ。


さてさて、そんな中。

崇秀、今度は佐藤さんになにやら頼み事をする様なんですが。

一体、何を頼む気なんでしょうね?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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