953 これだから天才共は……

 奈緒さん・眞子チームは、ステラさんとミラーさんと言う、全米GUILDが誇る名ギタリストと名ドラマーを召喚していた。

そんな事とは露知らず、倉津君は呑気に、佐藤さんとカジグチコンビを連れて、第二音楽室に向かうのだが……


こんな感じで大丈夫なのか?(笑)


***


 ―――サイド真琴。


 ……っと、眞子がゴチャゴチャと、そんな事をしている間に。

俺は、糞眼鏡withカジグチコンビを魔王の生贄に捧げる為に、いつもの、みんなの溜まり場にしていた第二音楽室に向って行った。


そんでまぁ『ガラ』っと扉を開ける訳だぁな。



「おぉ、糞秀。メンバーを連れて来てやったぞ。ありがたく思え」

「おぉ、ご苦労さん……って、なんの捻りもなくカジグチかよ」

「捻りがなくて、悪かったな」

「まぁ、正に予想の範疇だな。……うん、なんだ倉津?カジグチ以外に、もぉ1人誰か居るのか?」

「当たり前だつぅの。オマエの要望に答えれる様な、特別製の化物を連れて来てやったぞ」


言って置くがな。

スゲェんだぞ、この糞眼鏡は!!マジすげぇぞ!!


なんてたってよぉ!!


えぇっと……なんだっけ……その、あれだ……


……兎に角スゲェんだぞ、この糞眼鏡は!!



「うん?誰なんだ?」

「オマエが仲居間か……って、なんだ、誰かと思えばヒデ坊じゃねぇかよ。なにやってんだオマエ?」

「うぉ!!こっちこそ誰かと思ったら、シゲさんじゃないッスか!!」


えぇ~~~、崇秀の奴、糞眼鏡と知り合いなのかよぉ。

しかも崇秀が、糞眼鏡に対して雑魚語で喋ってるじゃねぇかよ!!


なら、何者なんだコイツは?



「久しぶりだなぁ、オイ!!」

「いや、マジで久しぶりッスね!!所でシゲさん、まだ【Junk・Science】は続けてるんッスか?」

「いや~~、ありゃあダメだ。メンバーが悪くてなぁ。先月解散しちまった所だ」

「マジっすか?良いバンドだったのに、勿体ねぇ」

「どこがだよボケ?あんなもん、まだまだ俺の求めてる音楽じゃねぇよ」

「……って事はあれッスか?例の奴が、メンバー同士で上手く噛み合わなかったって感じッスか?」

「まぁな。そんな所だ。……つぅかよ。オマエも暇なんだったら、俺の新しいバンドの結成を手伝えよ。なんならメンバーにしてやってもいいからよ」

「そりゃあ良いや。シゲさんからの誘いが貰えるなんて光栄の極みッスよ」


なに?糞眼鏡の誘いで魔王が喜ぶだと……

あの天上天下唯我独尊を地で行く様な崇秀が……


これは、かつて1度も見た事の無い程の異様な光景だな。


一体、どういう関係なんだよ、この2人?



「なぁ仲居間さん。この人って、そんなに凄いのか?」

「あぁシゲさんは掛け値無しにマジでスゲェミュージシャンだぞ。俺は、この人の演奏を初めて聞いた時にゃあ、それは痺れ上がったもんだ」

「マジでか!!……けどよぉ。去年、俺等、この人のバンドに勝ったぞ」

「アホかオマエは?シゲさんが、人前で早々に本気の演奏なんかッスかよ。この人の本気の演奏はなぁ。人が正気を保てる様な甘い演奏じゃねぇんだよ」


なんだそれ?意味が解んねぇぞ?

楽器をやってて、人前で本気で演奏出来無いんじゃ、なんの意味ねぇじゃねぇかよ!!


この糞眼鏡、マジで何者だよ?


……ってか、そう言えば、オマエもそうだったな。



「オイ、それ、どういう事だよ?」

「なぁに、それは聞いての、お楽しみって奴だ。……シゲさん、ライブに参加してくれるんなら、今日の演奏は50でお願いします」

「50……50なぁ。50も使って大丈夫か?」

「さぁ、俺も50位で抑えて演奏しますんで、それぐらいで丁度良いんじゃないッスかね」

「なんだよ。その言い草じゃあ。アッチ方面も、ちょっとぐらい弾ける様になったのか?」

「それは、お互い、ライブまで手の内は見せないって事で」

「そっか、そっか、やっぱ、オマエは才能有るわ」


コイツ等2人でなんの話をしてんだよ?

それによぉ『アッチ』ってどっちだよ?

それと『50』って50%で弾いて、あの奈緒さんや眞子に勝てるって言うのか?


だとしたら、オマエ等、なんか怖過ぎるぞ。



「それはそうとよぉ。ヒデ坊、今日はなにを演奏するんだ?」

「さぁ、知らないッスね。……オイ、倉津、なんにするよ?」

「さぁなぁ、俺も、なんも考えてねぇぞ。カジグチが演奏出来る曲なら、なんでも良いんじゃねぇの」

「適当だな、オイ。けどまぁ、それもまた良い感じか」

「……じゃあよぉ、オマエ等、なにが弾けるんだ?」

「あぁそうだなぁ。だったらよぉ、俺が作った曲があんだけど、それを弾くってのはどうだ?」


うぉい!!ちょっと待てぇ~~い!!

そんな誰も聞いた事も無い様な、マイナーな曲で大丈夫なのか?


相手は奈緒さんと眞子なんだぞ!!

いや、それ以前に問題として、俺に、また瞬間的に曲を憶えろって言うのか?


オイオイオイオイ、俺、病み上がり、病み上がり!!



「それで良いんじゃねぇの。ちょっと譜面見せてみろよ」

「あぁ、これだが」


あっ……それにしてもカジの野郎。

いつの間に、そんな器用な真似が出来る様になってやがったんだ?


俺、タブ譜専門だから、オタマジャクシで曲を書けるなんて、おまえ、何気にスゲェな。



「どれ?……うん。この程度ならOKだ。もぉ頭の中で曲の構成が出来たからバッチリだ」

「どれだ。ヒデ坊、ちょっと貸してみろ。……ふむ、あぁこの程度ならOKだな。問題ねぇ」

「「「ブッ!!」」」


なんだそりゃあ?

今、指でなぞって、譜面を見ただけで、コイツ等には曲の全貌が見えるのか?


オマエ等、マジで訳がわかんねぇぞ!!


ってか、オマエ等、練習は練習?



「んじゃま、準備も万端に成った事だし。シゲさん家まで一っ走り、シンセを取りに行きますか」

「だな」

「じゃあな、倉津、シッカリ練習しとけよな」

「ちょ……オマエ等……」


そう言った後、振り返りもせずに、そのまま出て行きやがった。


……そんで、取り残された俺等は……っと言うとだな。


呆気にとられて、なんも言葉が出んわ!!



「なんだ、ありゃあ?たったあれだけで、マジで曲の全貌を理解したって言うのか?」

「いや、流石に有り得ないだろ。あのスピードで曲を理解するなんて、常識では考えられないぞ」

「だよな」


カジグチは、なんとも言えない様な顔して、常識的な話をしてるけどもだ。


……あの馬鹿だけに、それは有り得るぞ。

それに、あの糞眼鏡も只者じゃ無さそうだしな。


考え様によっちゃあ、アイツ等にとっちゃあ、あれが普通なのかも知れないぞ。


怖ぇ~~~!!



「まっ、まぁまぁ、化け物共は放って置こうぜ。俺は、アイツ等みたいな化物染みた真似は出来ねぇから、取り敢えず、音源くれ。時間もねぇしよ」

「そうだな。倉津の言う事は正しいな。早く曲を憶えて貰う為にも、今は練習するのが一番だな」

「だな。凡人には、それしかねぇな」


いや……マジでそう思うわ。


……っとまぁ、そんな訳で。

一旦、残されていた音源で曲を聞いてみたんだが、カジの奴、意外とパンクな奴なんだな。

ガシガシに社会批判が入った良い曲を書くじゃねぇかよ。


オマエって……何気にに才能あんだな。


ただなぁ。

この音源の中の演奏では、滅茶苦茶上手く弾いてるけど、ベースラインが、結構、難しい曲だな。


一体、誰が、こんな難曲を軽々と弾いてやがんだ?



「OKOK。一応、耳コピ程度の、いい加減なものなら速攻で弾けそうだな。……それにしてもオマエ、スゲェ難易度の高い曲を作ったんだな」

「いや、作ったって言ってもよぉ。この曲って、俺が家で必至こいて作ったチャチな曲を、向井さんが独自にアレンジしてくれたもんなんだよな。だから、俺の曲って言うより、向井さんの曲って言った方が正しいのかも知れないけどな」

「オイオイ、向井さんって、まさか……眞子の事じゃねぇだろうな」

「あぁそうだな。間違いなく、その向井眞子の事だな」


あの女だきゃあ~~、こんなアレンジまで平気でし腐るのか?


飛んでもねぇなアイツも。


それに、曲のアレンジをしたのが眞子って事は、これを悠然とベースで弾いてるのも、間違いなく眞子って事だよな。


馬鹿げた腕をしてやがんな。


なんなんじゃアイツは?



「かぁ~~~、アイツだけはやってらんねぇな。……まぁ良いや、んな事を言ってても始まらねぇや。兎に角、天才共の話は辞めにして、凡人の俺達はドンドン練習しようぜ」

「あぁ良い考えだな。アイツ等の話をしてると、本気でやるせなくなるだけだからな」

「全く持って賛成だ。無駄話をする暇が有ったら、少しでも練習した方がマッシってもんだからな」


おや、まぁ、オマエさん達。

俺が失踪する前とは、豪く気合の入り方が違うじゃねぇかよ。


なんか、あの時期に良い事でも有ったのか?


カジは千尋か?千尋なのか?

そんで、グチは今回の賞金目当てか?

そんな感じで、オマエさん等は気合が入っとるんかのぉ?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ♪


奈緒さん・眞子チームは、ステラさんとミラーさんと言う強力なメンバーがサポートに入ってくれたので、所謂、全米屈指の一桁台GUILDランカーが集結すると言う最強の布陣が完成したのですが。


一方、倉津君・崇秀チームも、佐藤さんが、それと同等以上に、かなりヤバい人の様ですね(笑)

なんと言っても、あの崇秀が雑魚語で喋る様な人なので、恐らくは、本領を発揮したら、トンデモナイ事に成るかもしれません。


何故なら、相手チームには奈緒さんや眞子がいる事を加味した上で『2人共、50%の力で勝てる』っと確信している訳ですからね(笑)


ハッキリ言えば、超が付く化け物ですよ。


さてさて、そんな中。

倉津君のカジ&グチ君達は、3人で練習に勤しんでいる訳なのですが。

1年間のブランクがある倉津君は、まず、この練習で上手く演奏をする事が出来るのか?


次回は、その辺を書いて行きたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る