951 私の役割って仲裁役だっけ?

 奈緒さんが2人目の助っ人として呼んだ人物、それは……

GUILD内でも超大物、全米第一位のドラマー・マーニャ・ミラーさん!!

だが、彼女を呼んだまでは良かったが、ステラさんとの相性があまりにも最悪で……


***


「あの、あの、喧嘩は良く無いですよ。お2人共、綺麗な方なんですから、こんな所で、そんな事しちゃダメですよ」

「良いんですよ、鞍馬。こう言う、自分の実力を弁えない低脳な手合いは、相当に頭がおかしいと相場が決まっています。だから、違う意味での実力も示す必要が有ります。問題ありませんよ」

「ダメですよ!!折角、お2人共、アメリカから来て頂いたのに、喧嘩しちゃったら、もぉ一緒演奏出来なくなっちゃいます!!私、お2人と一緒に演奏してみたいですから、喧嘩しないで下さい!!みんなで、崇秀を倒すって目的もあるんですから」

「あぁ……」


良し良し。

ステラさんは、少し落ち着いた様だね。


後は……ミラーさんかぁ。


でも、どういう人かは噂だけでしか知らないから、どう対応したもんかなぁ?


こりゃあ問題だなぁ。



「あれ?……アンタさぁ、ひょっとして鞍馬じゃないのか?」

「あぁ、はい、そうですね。……あの、ひょっとしてミラーさんは、私なんかの事を、ご存知頂いてるんでしょうか?」


……嘘?


本当に知ってくれてたりしますか?



「ハハッ、こりゃあ奈緒は、とんでもない最終兵器を用意したもんだねぇ。まさか此処で鞍馬を投入するとはね」

「へっ?はい?なんの話ですか?」

「でしょ。因みに、これは内緒の話なんだけど。この子、私の妹ね」

「そうなのかい?そりゃあ知らなかったよ。それにしても、姉妹で全米を震撼させるなんて、アンタ等は、とんでもなくイカレタ姉妹だね」


なにがですかね?


私、奈緒ネェ程、知名度無いんですけど。


なんの話ですか?


それになんで、姉妹って事が知られてないんだろうね?



「あの、奈緒ネェ。なんで内緒なの?私が出来の悪い子だから恥ずかしいの?」

「違うわよ」

「じゃあ、なんでなの?」

「あぁ、ほらほら、眞子ってさぁ。ウチの養子になったから、倉津から、向井って姓になったでしょ」

「あぁ、はい、そうですね」

「本当なら、その時にね。GUILDの登録を倉津眞子から、向井眞子に変更する所だったんだけど。向井眞子って名前で、鞍馬じゃ『クラ』って言葉が入らないから、おかしいでしょ。だから【鞍馬】って名前に残す為に、姉妹って知られてないだけの話よ」

「あぁ、そういう事でしたか。てっきり、イラナイ子なのかと勘違いしてしまいました」

「馬鹿言わないの。そんな訳ないでしょ」


ははっ……またミスっちゃったね。


でも、そうなんだよね。

相変わらず、あんまりGUILDランクをチェックしてなかったから、そんな事情があったとは、全然知らなかったよ。


意外な所で、お間抜けちゃんな弊害が出ちゃいましたね。


……でも、あれだよ。

日本のGUILDランクは、一杯知り合いがいるから、偶にだけど検索してたんだよ。


ただね。

アメリカの方では、私自身がライブをしてないし。

上位陣の入れ替わりが、あまりないから、全然ノーチェックだったけどね。


あぁ……そう言えば、今、気付いたんだけどさぁ。

私、一方的にHELPの依頼がメールで来てたから、日本GUILDに登録してないや。


そう考えると、みんな、どうやって連絡を付けてたんだろうね?


メルアドとかを公表した憶えが無いんだけどなぁ。



まぁ良いか。



「あぁけど、なんでミラーさん程の方や、ステラさんが、私の事なんか知ってるんですか?その辺が良く解りませんけど」

「ちょっと奈緒。この子、大丈夫?……天然なの?」


まただ。

また初対面の人に、天然って言われたよ。


もぉいい加減ヤダなぁ……これ。



「うん。見ての通り、ド天然だね」


ちょっとお姉ちゃんも止めてくれない?


しかも、ド天然って……なに?

天然超えちゃってる訳ですかね?



「いえ、此処まで行くと、酷いド天然ですね。真琴クラスのポンコツさですよ」

「でしょ。でもね、ステラにミラー、眞子が天然なのは否めないけど。この子は、基本的に無欲な子だから、自分の知名度とか、そう言うの、あまり気にしてないのよね」

「ほぉ~~~、流石、変態姉妹だね。世間の評価なんぞは全く無視ってか。……姉が姉なら、妹も妹だ」

「ちょっと、それ、どう言う意味よ?眞子は、大分おかしいかも知れないけど、私は普通だって言うの。眞子と一緒にしないでよ」


あのさぁ奈緒ネェ。


それ……本気で酷くない?


一応ね、こんな無神経な私でも、グサッと傷付いちゃったりもしちゃうんだよ。


そんな事ばっかり言ってたら、しまいに泣くよ。



「奈緒……アナタも、大概腐ってますね。残念な人」

「あぁ、ホントに奈緒は残念だね。……うん、残念だ。間違いなく残念だ」

「本当に、ミラーさんのおっしゃる通りですね。どうやら奈緒は、残念を極めてる様です」


うんうん。

そうだね、そうだね。

奈緒ネェの方が、私より、ちょっと残念な人だよね。


だから私は、奈緒ネェ程、残念な人じゃないよ。


普通ですよ。


ノーマルです。



「ねぇアンタ等さぁ、アメリカからワザワザ出向いて来て貰って悪いんだけどさぁ。なんなら、お試しで一回死んでみる?『仲居間さん殺し』の機会を、折角、与えて上げてるって言うのにさぁ。良くもまぁ、そんな事が言えたもんだね。……マジでシバくわよ」

「よく言う。人を利用しようとしてるだけの腹黒のクセに」

「そうですね。黒過ぎて、なにも見えないぐらい真っ黒ですね。ブラックホールでも、お腹に仕込んで在るんですか?」

「こりゃあ、多分あるね。……うん、間違いなく、奈緒の腹にはブラックホールが存在するね」


あの~~~、こう言ってはなんですが、お2人共、そろそろ辞めた方が良いですよ。


奈緒ネェは同姓に対しては、意外と気が短いですから。


マジでシバきに来ますよ。



「あぁ?オマエ等、マジで泣かすぞ」


ほらね、ほらね。

奈緒ネェの扱いには、限度と、バランスが大事なんですよ。


無茶はダメですよ。



「あぁ、あの、喧嘩は良くないです。仲良くやりましょうよ。ねっ、ねっ、仲良くね」


あのさぁ。

なんでさぁ。

一番凶暴で喧嘩っ早かった筈の私が、こんなに人の喧嘩を仲裁しなきゃいけないんだろうね?


凶暴性が薄くなったとは言え、これ……絶対におかしいよね。


……って言うかね。

いい加減にしないと、みんな殴るよ。

若しくは、公衆の面前で下着ずらして、お尻ペンペンしますよ。


『子供の躾の刑』に処しますよ。



「眞子。ちょっと黙ってなさい。姉妹で馬鹿にされて黙ってられないから」

「あの~~~、奈緒ネェ。それって、根本的な部分で間違ってない?」

「なにがよ?なにも間違って無いでしょ」

「あぁいや、そうだね。確かに、そうなんですけどね。……でも、このままじゃあさぁ、崇秀に100%負けちゃうよ。そしたら崇秀に、なにを命令されるか解ったもんじゃないよ。私はさぁ、別に、それでも良いんだけどさぁ。……奈緒ネェは、多分、今後の行動が制限されるよ。酷い事されるよ」


なんて言うのは、どうでしょか?

負けず嫌いの奈緒ネェなら、多分、この話で喰い付いてくれる筈なんだけどね。


もしダメなら、奈緒ネェもお尻ペンペンですね。

あの白くて綺麗なお尻が、真っ赤に成っちゃいますよ。



「あぁ、確かに、それは嫌だね。じゃあ、揉めてる場合じゃないかぁ」

「でしょ。だったら、皆さんと協力して崇秀倒そうよ。……まぁ勿論、私としては、自分の彼氏を叩きのめす訳だから、凄く不本意ですけど」

「あぁ、そうかぁ。眞子は、そう言う立場だから、余計辛いよね」

「まぁ、そうなんですけどね。そこは奈緒ネェも一緒じゃない。だからね。もぉどうせやるなら、徹底的にやった方が面白いから、容赦しないでやっちゃおうよ。彼氏であっても100%泣かしちゃいましょうよ」

「あぁ、そう……だね」


はい。

きっと、そうですよ。

世の中、割り切りは大切なんですよ。


基本的に、それはそれ、これはこれです。


それにですね。

下手に手なんか抜いたら、本当に、後でなにされるか解ったもんじゃないですからね。


まぁ……私個人としましては、それも有りと言えば、有りなんですけどね。



「ハハッ……良いね、良いねぇ。自分の彼氏を泣かせてまで、自分が勝ちたいって根性は気に入ったよ。あたし、ステラや、奈緒は、別にどうでも良いけど。アンタになら力貸してあげても良いよ」

「本当ですか!!じゃあ、折角なんで、崇秀を一緒に泣かせましょう」

「OKOK。今度は仲居間さんに、ステージ上で、あたし以上の大恥を掻かせてやる」


いや……そこまではしないで下さい。

もしそんな事したら、後で、崇秀と共に、2人でリベンジかましにアメリカに上陸しますよ。


コチラも、限度は大事です。



「そう言う理由なら、私も力を貸しましょう。勝負に賭ける、その潔さは賞賛に値しますからね。但し、私も、負け犬のミラーさんには興味は有りませんから。その辺は、ご了承下さいね」

「この糞アマァだけは……」


また余計な事を言うし……


でも、そんなステラさんも好きですよ。



「あの、だからですね。仲良くしましょうね。みんなで倒した方が達成感が有りますよ。それにバラバラじゃあ、崇秀には、絶対に勝てませんよ。あの男は、なにを仕出かすか予想も付きませんからね」

「ふぅ……確かに、そうですね」

「しゃあねぇなぁ。鞍馬に免じて、オマエ等も仲間に入れてやるよ」

「そうですね。不本意ですけど。負け犬の貴方も仲間の末席に加えてあげますよ」

「この糞アマだけは……」


あれ?一見、仲が悪そうに見えるけど。

意外と、この2人さんって、仲良くなるパターンなんじゃないかなぁ?


お互い腹に溜めない処が、思ってた以上に相性が良いみたいだしね。


実に悪くない感じだね。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


眞子、なんだか上手く纏ましたね(笑)

そしてステラさんとミラーさんも、思ってた感じとは別に、案外相性が良さそうな雰囲気。


……って事は。

倉津君チームにとっては、中々の強敵に成りそうな雰囲気でもありそうですね♪


さてさて、そんな中。

こうやって仲裁をする眞子の姿を見て、奈緒さんはどう思うのか?


次回は、その辺を書いて行こうかと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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