949 この糞眼鏡だけは……

 クラスの出し物の場に、偶然居合わせた佐藤さん。

そんな彼をバンドに引き入れようとして接触してみたものの、彼は中々の曲者。

それ故に、彼がファンである由佳ちゃんに救援を頼んでみたのだが……結果は如何に!!


***


 ……30分程経過。

当店一番人気の由佳ニャンレンタル終了のお知らせで~~~す。


さぁどうなった!!

由佳の接待を受けて、少しは心が揺れてくれたか?



「オイ、そろそろ良いかぁ?他の客も、由佳ニャンの事を待ってるからよぉ」

「あぁ構わないよ。……由佳ニャンありがとうね。楽しかったよ」


へっ?はぁ?誰、この糞眼鏡?


ってか、この糞眼鏡。

さっきまで『目ん玉くり抜く』とか言ってたパンキッシュなイメージは、どこに行ったんだ?


まさか由佳との幸せな気分を満喫しすぎて、ソイツも、那由多の彼方にでも吹き飛んで行ったのか?



「そんなそんな。佐藤さんとのお話、とても面白かったです。後で、私も応援に行きますんで、目一杯頑張って下さいね」

「勿論だよ、由佳ニャン。100%優勝してみせるよ」


あぁ……どうやらこの様子だと、もぉ既に俺が話すまでも無く、バンドの参戦の話は、由佳が全部片づけてくれた感じだな。


こりゃあ、ありがてぇな。


由佳ニャン最高だぜ!!



「それじゃあ。また後で……あぁそれと。これ、歌謡コンクールの後にある私達のライブチケットなんですけど。良かったら、佐藤さんも見に来て下さいね」

「あっ……マジで!!良いのかい?由佳ニャンからチケット貰えるなんて感動だなぁ。……あぁ、だったら序に、此処に、由佳ニャンのサインをして貰って良いかい?」

「勿論、喜んで」

「出来れば、重国さんにって書いて貰っても良いかい?」

「はい、良いですよ」


完全に落ちたな。

糞眼鏡の脳みそが、完全に蕩けてやがる。


スゲェな由佳……


ほんでまぁ、由佳はチケットにサラサラと慣れた手付きでサインをして、メイド喫茶の業務に復活して行く訳なんだが……


しかしまぁ、なんて言ったら良いんだ……これ?



「はぁ~~~……生由佳ニャン、超可愛い。……超良い子なんだけど……マジヤベェ」


この糞眼鏡、完全に眼がハートになってるじゃねぇかよ。

無駄に由佳ニャンとの会話で悦に浸っちまってやがるから、なんか話し掛け難い雰囲気だなぁ。


でも、かなりキモイぞ、オマエ。



「よっ、よぉ」

「おぉ!!ビックリした!!……なんだオマエかよ。ビックリさせんなよ」

「いや、別に驚かせた憶えはねぇけど。つぅか、んな事より、満足して貰えたか?」

「いやいや、満足も満足。由佳ニャン、マジ最高だったぜ。マジでサンキュウな」

「あぁっそ。だったら、別に良いんだけどよぉ」

「だからよぉ、さっきの話はバリバリOKな。……って言うか。寧ろ、由佳ニャンが、俺の応援に来てくれるらしいから、こちらから、オマエ等のバンドに入れて欲しい位だな」


だから、誰だよ、この糞眼鏡?

マジで、さっきまでの傍若無人で横柄な態度の糞眼鏡は、何所に行きやがったんだよ?


……まぁけど、由佳のお陰で、交渉は話すまでも無く成立。

メッチャ楽が出来たから、アイツには深く感謝して置かなきゃな。


由佳ニャン最高!!

(↑糞眼鏡の真似)



「マジで?」

「当然だろ当然。……俺はな。2B-GUILD結成当時から、由佳ニャンに目を掛けていた熱烈なファンでな。そんな俺が、由佳ニャンと、ゆっくり話が出来た上に、本人からチケットまで貰えるなんて、もぉ感動だよ感動」


いやまぁ、そこを熱く語られてもなぁ……俺に、どうせぇちゅうんだよ?



「そっ、そうなんか?まぁアイツは元々良い奴だからな。その気持ちは解らなくもないな」

「うん?なんだよ?オマエ、解ってんじゃん。けど、そう言うって事は、由佳ニャンとは、そんなに親しいのか?」

「いや、親しいもなにも、同級生だし。……あぁ後よぉ、まぁ憶えてねぇかなぁ?俺よぉ。去年の歌謡コンクールで優勝した倉津ってモンなんだけどな」

「そうなのか?……あぁ、けど悪いな。あの日は、由佳ニャンの可愛さしか頭の中に残ってないから、オマエの事なんぞ記憶の片隅にも残ってないな。全然知らねぇわ」


この……糞エロ眼鏡。

つぅか、オマエには、あの奈緒さん達とやったド派手なライブすら見えてなかったって言うのかよ!!

あの臨場感溢れるライブを無視して、オマエは、その間、由佳の事ばっかり見蕩れてた訳か?


ドンだけ由佳好きだよ?

まさかオマエさん、アイツのファン倶楽部とかに入ってるんじゃねぇだろうな?


まぁ……それ自体は、アイツにとっちゃあ非常に良い事なんだけどよぉ。


頼むぜ糞眼鏡。

今日限定とは言え、バンドのメンバーがアイドルの追っかけとか嫌過ぎるぞ。


鮫島じゃ有るまいし。



「そっ、そっ、そうか。まぁ一応だけどよぉ。2B-GUILDを結成させたのって、俺なんだけどな。……知ってた?」

「あぁ、そう言えば。由佳ニャンの横で、摩天楼ぐらい身長の高い子が、なんかそんな事をのたまわってた様な気がするな。……あれって、オマエだったのな」


この野郎!!

マジで由佳以外は、全く興味無しかよ!!


それに伊藤の事を摩天楼とか言うな!!

アイツも、由佳に負けず劣らず、かなり良い奴なんだぞ!!


大体にしてなぁ糞眼鏡!!

俺が2B-GUILDを結成しなかったら、あのアイドルグループは、この世に存在しなかったんだぞ!!


俺が居なきゃ、オマエが由佳に興味を持つ事もなかったんだぞ!!


その仕掛け人が目の前に居るんだからよぉ!!

ちょっとぐらい感動してくれたって良いじゃんかよ!!


プロデューサー!!名プロデューサー!!



まぁ……その後、山さんに、完全に投げっぱなしだったけどな。



「いや、まぁ、だからこそ、仲が良い訳なんだけどな」

「あぁ、そう言う事な。……まぁ、そんな事はどうでも良いや」


だから良くねぇし!!

さっきから、ちょっとぐらい注目してくれって言ってんじゃんかよぉ!!

そこを上手く使えば、由佳と、もっとお近づきに成れるかも知れないんだぞ!!


頭良さそうな顔してんだから、もっと頭使えよ、この糞眼鏡!!



「……あっそ」

「よぉ。それはそうとよぉ。ライブの曲って、なにをやるんだよ?俺が知ってる曲なのか?」


うん。

その件に関しては、全くと言って良いほど、なにも考えてねぇな。


俗に言う、行き当たりバッタリって奴だ。



「あぁまぁ、その辺は、今回の発起人の崇秀にでも聞いてくれ」

「あっそ。じゃあ、その仲居間とか言う奴に聞いてみるわ」


あれ?さっきから少々気に成ってたんだがな。

コイツの発言って、マジで、崇秀の事を解ってねぇんじゃねぇの?


大丈夫かコイツ?



「あっそ。んじゃま、そろそろ行くとすっか」

「だな。……けどオマエ。その仲居間って野郎が下手糞な奴だったら、オマエ、目ん玉くり抜くからな。由佳ニャンの前で、俺に恥掻かせたら、バンドのメンバー全員、ステージ上で公開処刑にすっからな」


あぁ……マジで知らねぇなこりゃ。



「まぁ、100%期待の応えれる奴だと思うぞ」

「あぁっそ」

「んじゃ、マジで行くか。……オイ、カジ、グチ行こうぜ」

「あいよ」

「だな」


カジ&グチは、いつも素直で宜しい。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


佐藤さん……中々にしてキモイですね。

相当由佳ちゃんに入れ込んでるのかして、完全に脳味噌が蕩けきってる感じでしたしね(笑)


まぁまぁ、そんな少々キモイ佐藤さんなんですが。

前年度の文化祭で見せたシンセサイザーの演奏は、間違いなく本物。

それ故に、倉津君のメンバーに加わってくれた事は非常に戦力アップには繋がってはいるのですが……どうにも佐藤さんの言動からして、崇秀の事がよく解っていない様子。


こんなんで大丈夫なんですかね?


さてさて、そんな中。

倉津君側も、佐藤さんが加わってくれたので、次回は再び、眞子のサイドの話になります。


崇秀に佐藤さんと言う凶悪なタッグが誕生した以上。

眞子チームも更なる強化が必要になりましたので、コチラにはどう言う助っ人が登場するのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る