948 おっ、アイツはひょっとして……

 またしても崇秀に見事なまでに嵌められて、バンドのメンバーを探し行く羽目になった倉津君。

取り敢えず、まずはカジ&グチ君をGETするが如く、教室に向かって行くのだが、そこで……


***


 ……まぁそんな感じでだ。

一応、カジグチに『眞子を撃退するチャンスだぞ』って声を掛けに行ったら、アッサリ了承を得る事は出来たんだがな。


声を掛けに教室に行ったもんだから。

3-Bの出し物で催されてる『アイドル衣装喫茶』で捕まって、こき使われる羽目に陥った。


なんでやねん!!


……けどな。

3-Bのアイドル衣装喫茶を手伝ってる最中、此処で1人、教室内で凄く面白い奴を発見したんだよ。


まぁつっても、ソイツ自体は顔を知ってる程度で、俺自身は、なんの面識もねぇんだけどな。

演奏の実力だけは、間違いなく折り紙付きの奴なんだよな。


……っで丁度、ソイツの所に注文の品を持っていく序だったんで声を掛けてみたんだ。



「おまっとさ~~んッス」

「はぁ?なんだオマエ?……なんで野郎が、コーヒー持って来やがるんだよ?」


そぉ、そいつは……去年の文化祭に『Junk・Science』ってバンドで、歌謡コンクールに参加していた佐藤重国とか言う、ちょっと良い子ちゃんぶった嫌な感じのシンセを弾いてた奴が居ただろ。


アイツを発見したんだよ。


けどよぉ。

あの時と比べて、豪く感じが悪いな。


なんじゃコイツ?



「いや~~~、悪いッスね。今、手が空いていたのは、俺だけだったもんッスから」

「オイオイ、あんなぁ小僧。あんま人なめんなよ。俺が此処に行き付くまでに、一体、何時間掛かってと思ってるんだよ?あんま、なめた事ぶっこいてんじゃねぇぞ、コラ」


あらら、ホントにガラが悪いのな。

しかも、インテリ眼鏡っぽい顔してるくせに、かなり高圧的な奴なんだな。


けど、それを我慢してでも、一度は一緒に演奏してみたい奴ではあるんだよな。


また、あの奇妙な音を体感したいしな。



「いやぁ。申し訳ないッス」

「申し訳ないじゃねぇぞ、小僧。直ぐにでも、誰か連れて来いや」

「あぁ、別に良いッスよ。なんなら30分位、この席に専属で付けても良いッスよ」

「はぁ?なんだよ、急に態度変えやがって?それに、それ、どういうこったよ?手が空いてないから、テメェが此処に来たんじゃねぇのかよ?適当な事ばっか言ってっと、マジで目ん玉くり抜くぞ」


怖い怖い。



「まぁそりゃあ、そうなんだがよぉ。条件次第では、此処の席に付く事は可能なんだよな。アンタの心掛け次第でな」

「んだ、そりゃあ?だったら、その条件とやらを言ってみろよ」

「アンタさぁ。仲居間って奴と一緒に楽器を演奏してくれねぇか?それだけで、お好みの女を、この席に付けても良いぜ」

「仲居間だと?……ふ~~~ん、仲居間ねぇ」

「あぁ、その仲居間だ」


多分、仲居間って珍しい苗字で、そこまで知名度の高い人間は早々居ないと思うぞ。

普通は、こんな風に、面識の無い奴にイキナリ苗字だけは言わねぇからな。


……にしてもよぉ。

崇秀の苗字を聞いて、こんな反応をする奴、初めて見たわ。



「チッ……じゃあ、その仲居間とやらと演奏すりゃあ、俺が指名した子を、ちゃんと、この席に付けてくれんだろうな?ハッタリだったら、マジで、オマエの目ん玉をスプーンでくり抜くからな」

「当然だ。俺は嘘は言わねぇ。……っで、誰が良いんだよ?ご指名は?」

「大谷……大谷由佳ちゃんだ。もし本当に、オマエが出来るんだったら、早く呼んでみせろや」


あぁ……由佳ニャンをご指名ですか?


確かに、3B-GUILDの中じゃかなりの人気はあるが、中々マニアックなチョイスですな。



「OKOK。……オイ、由佳……」

「オイ、コラ、テメェ……由佳ニャンを呼び捨てにしてんじゃねぇぞ。由佳ニャンに、軽口叩いてっと殺すぞ」

「はぁ?」

「由佳ニャンを呼ぶなら呼ぶで、ちゃんと由佳ニャンって呼べ。由佳ニャンってよぉ」


嫌だ。


断る。



「あぁ、じゃあ、ちょっと待ってろ。呼んで来っからよぉ」

「オイ、此処で呼べや。ちゃんと由佳ニャンってよぉ。呼ばねぇなら、この話はお断りだ」


チッ……面倒臭ぇな、この野郎!!

なにが由佳ニャンだ、この糞眼鏡!!

オマエじゃねぇが、フォークで目ん玉突き刺して、くり抜くぞ!!



「さいどすか。お~~~~い!!由佳ニャ~~~~ン!!ちょっとコッチ来てくれ」

「ブッ!!」


由佳の奴が噴出したのも束の間。

営業スマイルのままなのに、なんか妙に怒って、コッチにズカズカやって来てるぞ。


なんだ?

俺は、オマエの愛らしい渾名呼んだだけじゃねぇかよ。


なんでそんなに怒ってるんだよ?



そんで……



「ギャウ!!」

「倉津君。急に、その呼び方は辞めて貰って良いかなぁ?」


……笑顔で、思いっきり足踏むな。


滅茶苦茶イテェじゃねぇかよ。



「すまん。……つぅかよぉ。ちょっと由佳に、お願いがあるんだがよぉ。頼まれてくれねぇか?」


……っと言いつつ。

由佳の手を引っ張って、糞眼鏡と少し離れた所に行って頼み事をする。



「なによ?なによ?」

「いや、あのよぉ。アソコの糞眼鏡と、ちょっとだけ話をしてやってくれねぇか?」

「なんで私が?」

「いや、実はよぉ。あの糞眼鏡を、今日のライブのメンバーに引き込みてぇんだけどよぉ。……演奏条件ってのが由佳と喋る事なんだよな。だからよぉ、この通りだ。貸し一個って事で、此処は1つ頼まれてくんねぇかな?」

「倉津君に貸し1ねぇ。……あぁうん。だったら良いよ。昨日、倉津君の家で散々迷惑掛けたみたいだしね。それでチャラって事にしておくよ。序に、昨日の事忘れて」


あぁ……んな事で良いのか?


つぅかよぉ。

昨日の事なんか、別に、なんも気にしてねぇんだけどなぁ。


現役アイドルの生パンツ一杯見せて貰ったし。


まさかオマエ!!そんな重要な経験まで忘れろって、言うんじゃねぇだろうな!!

そんなもん、脳内セーブで永久保存にしちまってるから、もぉ一生消える事はねぇんだぞ!!


高解像度でセ-ブしたから、もぉ確実にデリートは不可だ。



「あぁ、それって、昨日の酔った事の話か?」

「あぁうん」

「それなら気にすんな。気にする程の話じゃねぇよ」

「いや……気にするって」

「いやいや、ホントによぉ。全然気にする必要なんてねぇって。俺にとっちゃあ、あぁやって、俺の歓迎会なんかしてくれた事がスゲェ嬉しかったんだからよぉ。逆に忘れられねぇって。オマエ等、マジで最高だよ」


それ+生パンツも忘れたくないんで。


……って、忘れて堪るか!!


因みにだが、オマエ等の可愛らしい寝顔も一生忘れねぇよ。


ちょっと涎扱いてたけど。



「ホント?『お酒に酔って、だらしない女だなぁ』とか思ってない?」

「全然。マジで嬉しかっただけ。だからよぉ、今度、そのお礼がしたいから、此処は1貸しって言う事にして置いてくれ」

「あぁじゃあ、それで……だったら当然、その分、倉津君の為に頑張ってあげるね」

「マジか!!じゃあ、早速頼んだぜ!!」

「任せといて♪……その代わり。その貸し1とかで、今度、倉津君を貸切でデートして貰うからね。それで貸し借りなしって事で」

「はっ、はい?」

「じゃあ、行って来るね♪」

「ちょオマ!!」


また余計な事になりそうな予感……


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


佐藤さん、相当由佳ニャンに熱を上げてるのかして、今年もこの文化祭に来てたみたいですね(笑)

そしてそんな佐藤さんをバンドに誘う為に、由佳ちゃんに協力を申し出て、貸1つでこの交渉を頼んだみたいなのですが、果たして結果はどうなるのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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