946 愛され眞子ちゃん

 奈緒さんが呼び出した助っ人ステラさん。

そして、そんな彼女とは初対面っと言う体の眞子は、以前と同様の関係築こうとして、必死に頑張るのだが……


当のステラさんはと言うと。


***


「ホントですか?あぁ嬉しいなぁ。ご高名なステラさんに、私の音楽が気に入って貰えてるなんて、本当に嬉しいです。……でも、非常に残念な事なんですが、ステラさんにお逢いするのは今日が初めてですね。以前に、お逢いした事は1度も有りません。……っと言いますか。こんなに気に入って貰えるなら、もっと早くにお逢いしたかったです」


どうですかね?こんな感じで……

一応、究極の真上さんモードなんですけど……出来れば、これでもぉ許して下さい。


前みたいな関係を、どうしても築きたいんで。



「そうですか。それは、ありがとうございます」

「あぁ、いえいえ、こちらこそ。私は、ステラさんに、そんなに気に入って頂ける様な大した人間ではありませんから、そう言って頂けるだけでも、本当に嬉しかったです。感動です」


此処でニコッと笑えば完璧なんですよね。

笑顔は、絶対に相手を不快にはさせないので、確実にステラさんの中で好感度アップが行なわれる筈。


だから……好感度のハートを、いっぱい下さい。



「・・・・・・」


あり?なんか、またジィ~~っと見られてるよ。

今のタイミングじゃ、流石に女子から見たらわざとらしかったかなぁ?


ヤバイかなぁ?



「うん、ステラ?なにをそんなに眞子の事をジッと見てるのよ?」

「あぁいえ。……なんでしょうかね。この不思議な感覚は?」

「なに?どうしたの?」

「いえ、なんと言いましょうか。何故か急に、この子を連れて帰りたくなる衝動に陥ったのですが……これは、なんですか?」

「あぁ、ステラでも、眞子の天然に当たっちゃうんだね」

「それは、どういう事でしょうか?」

「えぇっとねぇ。それは、この子の持つ一種の魔力みたいなものなんだけどね。それに当たったら、誰でも、そう思っちゃうみたいよ」


そうなんですか?


あれって……みんなが面白がって、私をからかってるだけじゃないんですか?



「そうなんですか。それは興味深い話ですね。……だったら奈緒。いっそうの事、鞍馬を、私に預けてみませんか?」


えっ?


そんなに?



「あぁ、気持ちは有り難いけど。それは、もぉ無理な話なんだよね。なんてったって眞子は、仲居間さんの彼女だからね。眞子を鍛える人間が決まっちゃってるのよ」

「仲居間さんですか。……それはまたトンデモナイ人に見初められたものですね。哀れとしか言い様のない、悲惨な状況下に身を置かれているのですね。……仲居間さんの彼女と言うのは生贄と言っても過言ではない立場ですからね」


豪い言われ様だなぁ。


……にしてもさぁ。

『魔王』と『生贄』じゃ。

完全に、なんかの悪い儀式で、魔王に捧げるミサじゃないですか。


そんで、その儀式の場が……ライブ?


なんか生々しいなぁ。



「ははっ……そうでもないですよ。崇秀は、あぁ見えて優しいんですよ」

「……初対面の鞍馬に、こう言うのもなんなんですが、鞍馬の頭は大丈夫なのですか?相手は仲居間さんですよ。仲居間さんの事を言ってるんですよ」

「……酷い。崇秀は、そこまで酷くないのに……」

「あぁ、それなら、大丈夫だよステラ。この子は真性のドMだから」


奈緒ネェ。

それ……なんのフォローになってませんよ。


寧ろ、その意見って、全く私をフォローする気がない様な気がするんですが……



「なるほど。ですが、真性のドMとは、あまり褒められた性癖ではありませんね」


だ・か・ら、私自身はドMじゃないですから!!

敢えて言うなら、ちょっと虐められても大丈夫なだけの、ただのMっ子ですよMっ子!!

なにがあっても『真性』と『ド』だけは付きませんから!!


……多分。


……自信は、ほぼ無いですけど。



「あの、ドMじゃないですよ。ちょっと盲目系なだけです」

「それは、仲居間さんに依存されてると言う事ですか?もしそうなら、奈緒と言い、仲居間さんと言い、ソッチ系の人間を好む習性があると言う事。……倉津の家系は、完全にドMの家系なんですね」


あぁ……そこを言われると、なにも言い返せないなぁ。


でも、確かにそうなんですよね。

此処は恐らく、なに1つ間違ってないですね。

真琴ちゃんも私も、地味に意地悪されるの好きですからね。



「えぇっと、ちょっと待とうか。それ……どう言う意味?」


えぇっと、奈緒ネェ。

だから、そこは、そのまんまの話なんじゃないですかね?


なので、その辺は自覚しましょうね。



「奈緒。今更、そんな低脳な反応は要りませんよ。アナタ程のS系とM系を兼ね揃えた人は他に類を見ません。飴と鞭を使い分けるのが上手いから、超ドMの真琴が、アナタに嵌っているんじゃないんですか?これは彼氏彼女以前の問題で、アナタ方の関係は、まさに従順な犬と、主人と言う表現がピッタリだと思われますが」


うん……正解ですね。

私も、絶対にそうだと思いますよ。

敢えて言うなら100%そうだと思いますよ。


でも……その言われ様は、ちょっと。



「あのねぇ。私のどこがSなのよ?どう見ても尽くし系じゃない」

「奈緒ネェ。そこは『健気』って言おうね。以前、尽くすってイメージが悪いからって『健気』にしようって話で決定してたじゃん」

「あぁそっか、そっか。……じゃあ、健気系じゃない」

「酷い低脳姉妹ですね。貴女方は脳が蒸発してしまって、もう既に無いのですか?」


うん……確かに、こんな事を論じてる時点で、かなりの低脳ですね。


……って、さっきから、これ、なんの話?



「あのねぇ、誰が低脳よ。……って言うか、ステラさぁ。それだけクラの事が解ってて、自分のモノにしたいって事は、アンタが一番ドSなんじゃないの?それこそクィーンOFクィーンだよ」

「はい、そうですが、なにか?わざわざ言って頂かなくても、自覚してますが」

「嫌味も通じないのかよ……ホント、ムカツクなぁ、この女だけは」


うん……奈緒ネェね。

ステラさんを相手にする時は、ムキになったら負けだよ。


それを『相手の思う壺』って言うんだよ。



「あの……って言いますかね。そろそろライブの話をした方が良くないですか?時間も余り無いですし」

「あぁ良いの、良いの。どうせ、もぅ直ぐ此処に最終兵器が到着する筈だからさ。ライブの打ち合わせは、それからで十分だよ。このメンバーだったら、音合わせなんか『軽く』で十分だしね」

「はぁ……そうなんですか」

「そうだよ」


あぁ……なんだろう?

音合わせが『軽く』で済むって事は、またそれだけの技量を持ったステラさん級のトンデモナイ化物を、此処に召喚したって事で間違いなしだよね。


こりゃあ、一抹の不安しか過ぎらないよ。


そう思いながらも、最後の1人の到着を3人で待つ事にした。



結局、最後の最後まで謎のままだったけど、ホントに、誰が来るんだろうね?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


ステラさん、かなりの好感触だったみたいですね。

まぁこの辺に関しましては、彼女自身が眞子に何かを感じる所があるからこそ、こう言う結果に成ってるのかもしれませんね。


眞子自身……っと言うか、倉津君自身が、ステラさんと仲が良かったからこそ、こう言う結果に成ってるのかもしれませんしね。


さてさて、そんな中。

もう一人、まだ助っ人が居る様な雰囲気なのですが。

眞子のサイドばかり紹介してても仕方がないので、次回からは倉津君のサイドのお話をしたいと思いますです。


ってな感じなので。

次回も宜しくお願い致しますです<(_ _)>

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