第153話
「早くないか?」
「相手がそんなに強くなかったからなー」
「ぶ、ぶいっです」
合流すると、ヒーシャがVサインをしていた。
「倒した魔物はどんなだった?」
「ハイゴブリン、ゴブリンの上位種だよ」
「中層の、定番魔物……だと思います」
なるほど。
そういえば、森で練習してる時に一回混じってるのを見たな。
確かAKTは30程度だった。
「こっちはバトルホーンだった」
「中層だと強めの魔物だね」
「しゅごいです……」
「ヒーシャ、照れるからあんまり褒められると困る」
「あう……」
さっきまで、自分たちが照れてたのに……と恥ずかしそうなヒーシャ。
まぁ、照れるだけで悪い気はしないんだけどさ。
「とはいえ、はっきりしたな」
「何が?」
「中層は、もはや通過点でしかないってことだ」
首をかしげるナフ。
何故かヒーシャが釣られていた。
「二人でバトルホーンを相手したとしても、かかる時間はそんなに変わらないだろ」
「流石にもうちょっとかかると思うけどね、ATKが51なんだっけ?」
どうやら、俺とクロの念話を聞く余裕まで会ったわけだ。
「攻撃、通らないですね……」
「ああ、つまり何がいいたいかっていうと……中層で三人が固まって行動するのも効率悪いだろ」
「ダンジョンも更新されてすぐだし、宝箱まだ結構あるよね。いいと思う」
というわけで、決定だ。
二手に別れることにした。
『ちなみに、揺り籠会話はある程度離れてても可能。範囲は街の端と端にいても会話できるくらい』
『ダンジョンの中なら、問題なさそうだな』
『ぴえっ!?』
そこで、ヒーシャが何故か慌てた様子で飛び上がった。
『え、じゃああのあの、日常で考えてたアレとか、コレとか、全部聞こえてたんでしゅか!?』
『街の中、プライベート。わたしとツムラ以外の回線、切ってる』
『よ、よかったぁ』
へなへなと崩れ落ちるヒーシャ。
……ヒーシャは、普段何を考えて生活してるんだ?
「そうだねー、料理に使った食器を片付けてる時に、ふと目についたフォークとスプーンが結婚式をあげる想像とか」
「な、ナッちゃーん!!」
ぽかぽか。
暴露したナフに攻撃を加えるヒーシャ、ナフは楽しそうに笑っていた。
「まぁ、大体想像通りのことを考えてたな」
『うん』
「つ、ツムラさんとクロちゃんもー!」
悪い悪いと謝罪しつつ。
気を取り直して、俺達は二手に別れることとした。
「目標は、一日一階層。五日もあれば突破できると思う」
「まぁ、妥当だね。じゃあ、五日後」
「ああ、五日後に合流して――中層ボスを倒そう」
そう、中層にはボスがいるのだ。
名前の通り、中ボスなんだけど。
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