5.中層を攻略するレベリング中毒者
第151話
中層。
ある意味、ダンジョンにおいてもっとも活気のある場所。
理由は単純で、惰性で冒険者を続けているタイプの冒険者は中層まで降りてくることができないからだ。
ここを探索している冒険者は皆、それぞれ熱意や動機があって冒険者をしている。
ヒーシャとナフのような冒険者たちだ。
とはいえ、そんなヒーシャとナフは、何やら周囲に色々とすごい目で見られているけれど。
現在、俺達は中層にやってきている。
転移魔法陣で転移してきたのは、少し開けた場所。
ちょうど、複数のパーティがそこで情報交換をしていた。
少し前にダンジョンの更新が入ったので、それに関する話題が主だろう。
そんな彼らが、一斉にこちらへ視線を向けたのだ。
「みろ、アレが噂の……」
「ああ、“上層の怪異”」
……上層の怪異?
「あいつらが、鉄鎧をエリアの入口に立てかけてる時に近づくんじゃねぇぞ、何故か魔物に囲まれるからな」
「……どうして、鎧を立てかけてる時以外は囲まれないんだ?」
「わからん……が、囲まれないなら、今は気にしなくてもいいだろう」
ああ、うん。
俺達三人は、視線をそらした。
毎日のように、俺達はモンスターハウス作戦をしていたわけだけど、アレだけ魔物が湧き出してくるならそりゃあ怪異扱いされてもおかしくない。
とはいえ、問題になっていないのは、自分たち以外にモンスターハウスで被害を出してはいないからだろう。
レベッカさんに話を通してあるのも、大きいはずだ。
「とりあえず、移動しようか」
「そ、そうですね」
なんとなく気まずくなって、この場を離れようとする。
「にしても……とんでもないな。あのツムラって冒険者は、ダイヤモンドオーガを討伐したんだろう?」
「それだけじゃない、ナフとヒーシャの二人もだ。二年で中層……レベルは30を越えたんだろう。驚異的なスピードだ」
――と、離れるタイミングでそんなふうに言われた。
いわゆるSUGEE展開。
俺にとっては、初めてのことではないが……
「い、今、褒められちゃいましたね」
「う、うん。なんか恥ずいね」
ナフとヒーシャは慣れていないようだ。
分相応に褒められたことはあっても、自己評価以上に褒められる経験はないだろう。
パワーレベリングと修行の結果、二人は自分たちが思っている以上に強くなった。
そこら辺、きちんと自己認識を改めたほうがいいかもしれない。
まぁ、それはそれとして。
『照れてるー』
『あんまりからかってやるなよ、クロ』
恥ずかしそうな二人をからかうクロに、適当に釘を指しておいた。
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