第149話

 それから、数日。

 俺達はナフの特訓が行われる前の日常に戻っていた。

 すなわち、パワーレベリングだ。

 変化があったとするなら、ナフとヒーシャのパワーアップにより、レベリングの効率が一気に上がったことか。

 一日に稼ぐEXPが700を越えるようになった。

 つまり三日でレベルが一つ上がるわけだ。


 というわけで、すぐにレベルが33になった。

 35まで後少し。


 NAME:ツムラ

 LV:33

 EXP:(NEXT:)

 HP:175/175

 MP:170/170

 ATK:165

 DEF:165

 MAG:165

 MID:165

 AGI:165

 SKILL:『ステータス上昇均一化』『火魔法:初級』『治癒魔法:初級』『水魔法:初級』『アイテムボックス』『治癒魔法:中級』『火魔法:中級』


 そして、俺のレベルが上がるということは、ナフとヒーシャのレベルも上がるということ。

 そういえばヒーシャはレベルが30になったことで、新しいスキルを覚えた。

 その名も『守護魔法:中級』。

 防御に特化した支援魔法で、支援魔法:中級との併用ができないという欠点はあるが、効果量は50を越える。

 リキャストがないのも素晴らしい。

 これがあることで、ナフの最大DEFは三桁を越えた。

 俺という例外を除けば、人の身で考えられる最上級の鉄壁っぷりである。


 そんなふうに、味方が強化されたことで、誰からともなくそれは口に出された。


「中層に行こう」


 いい加減、上層のモンスターを狩り続けるのにも飽きてきた。

 特に、森でもダンジョンでも見かけるゴブリンには些か飽き飽きしてしまうほど。

 一般的に、この街のダンジョン中層の適正レベルは30だという。

 今の俺達なら、何ら問題もないということ。


 俺は特にそうなんだが、ナフとヒーシャもレベル30としては破格なほど強くなった。

 もはや中層は敵ではないだろう。

 そうなるように、俺は二人に色々とアドバイスをしたわけだしな。


「じゃ、じゃあアタシはこれで失礼しますね!」


 その日は、ダンジョンでのレベリングを終えて、いよいよ明日は中層に入ると皆で決めた。

 それから軽く打ち合わせをして、じゃあまた明日、とヒーシャが俺達に別れを告げる。

 後には、俺とナフの二人が残った。


 クロ? 当然のごとく寝てるよ、あいつ。


「あー、えっとさぁ、ツムラさん」


 そんな時だった。

 少し、気恥ずかしそうにナフがこちらを見上げているのに気がつく。


「どうした?」

「……この後、少し付き合ってほしいんだけど」


 ああ、それは。

 ヒーシャから話を持ちかけられた時と同じだな。

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