第144話
『ゴブリンでえっちな雰囲気にならない……いいのかわるいのか……』
『お前は何言ってるんだ、マジで』
『ご、ゴブリン相手にえっちなことなんて、あるわけないじゃないですかー』
『しまった、心の声漏れた……』
いや、マジで何言ってるんだこのスケベ妖精。
愛子に毒されすぎである。
自分は別に俺以外の愛子を導いたことのない耳年増なくせに。
ともあれ、ヘイトスキルの効果は大幅に上昇していた。
ここまでは概ね俺の想定通りだ。
かくいうナフは、赤く光りながらなんだか不満顔だが。
「うーんでもこれ、正直微妙じゃない? ここまでヘイト取りすぎると、まともに戦えないよ」
「まぁ、これだけならそうだな」
ようは、ナフがそう思っていることが重要なのだ。
ヘイトスキルは魔物のヘイトを集めるタンクにとって便利なスキルだが、同時に攻撃が一人に集中する危険なスキルでもある。
その危険度が、タンクとしてヘイトスキルを使う有用性を上回ればいい。
「だからこう考えるんだ。こんなに危険なら、もう少し恩恵があってもいいはず、ってな」
「そんなこと言われてもなぁ、ヘイトスキルはヘイトスキルでしょ?」
とはいえ、普通に言われてもイメージが湧かないというのは無理のない話。
ようは、イメージを変化させる要因がアレばいいわけだ。
本人の固定観念の中にない、新しい発想を生み出す手がかり。
それが必要なのである。
つまり、こうだ。
「でも、今のナフは、ヘイトスキルをMPを使って強化してる。その分の魔力が、体内に今流れてるはずだ」
「えっと……」
「その状態、頑強スキルや支援魔法スキルの効果を受けてる時と変わらなくないか?」
「……ああ、理屈上はそうなる、のかな?」
魔力は身体の中に流れている。
それを数値化したのがステータスだ。
MPを使うことで、更にステータスをプラスしているのが、頑強スキルや支援魔法スキル。
同じことが、今のナフにも起きているとしたら。
「……頑強スキルを使う要領でイメージすれば、ステータスがアップする?」
「そういうことだ」
正確には、もっと他にも使い方はあるけれど、一番イメージしやすい方法を“肯定”するのはとても大事。
ちょうどそこで、魔法の効果も一度切れた。
ナフを覆う赤い光が、薄れて消える。
「すごいナッちゃんが、いつもどおりのナッちゃんに」
「いや、それはどういう言い方なのさ、ヒーシャ」
ともあれ、もう一度
ここでの変化が、特に重要だ。
「
静かに口にしたナフ。
再び光り始めた彼女は、更にステータスをオープンした。
「――DEFが30も上がってる」
どうやら、俺の目論見は成功したようだ。
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