第140話

「んー、でもこれだと使いにくいよね」

「まぁそうだな」


 バッサリ。

 ナフの言葉に、俺も同意した。

 まぁ、正直使いにくいのは織り込み済みだ。


「戦闘中に長ったらしい詠唱なんてやってられないし……」

「……短くしたら、効果普通の頑強になる……と、思う」


 そうなのだ。

 頑強を魔法系スキルのように使う方法には、欠点がある。

 後衛の魔法使いならともかく、前衛が長々と詠唱に集中できない。

 かといって、後衛の魔法使いが習熟したらできるようになる詠唱短縮も、短縮してしまったら普通の頑強スキルになる。

 頑強スキルを、魔法スキルのように使うのは難しいだろう。


「そ、それと……もし頑強スキルの中級を手に入れたら、効果は中級支援魔法に近くなると思うんですけど……リキャスト15秒は、重いと思います……」

「おもいだけに」


 クロ。

 とはいえ、ヒーシャの言う事も最もだ。

 頑強スキルの効果アレンジは難しい。

 とはいえ、やりようはあると思うが。


「こっちは本命じゃないからな。本命はヘイトスキルだ」


 とりあえず、頑強スキルにあまりかかりきりになるつもりはないので、一旦脇にどけておく。

 あくまで、大事なのはヘイトスキルのアレンジだ。


「って言ってもなぁ、頑強スキルは効果がバフと一緒だからイメージしやすかったけど。挑発スキルも、同じように詠唱でなんとかするわけ?」

「いや、それだとやっぱり戦闘中に使いにくいだろ。第一、戦い方が大きく変わったら意味はない」


 だからまぁ、方法は別の方法を考える。

 具体的には、こうだ。


「というわけで、挑発スキルを使ってみてくれ」

「……こう?」


 俺のオーダーで、ナフがヘイトスキルを使う。

 使用することを脳内で意識するだけで、効果を発揮するのが非魔法スキルのいいところ。

 だから、何も言わずとも効果は発揮され――ナフが光った。


「でも、これだけでどうなるっていうのさ。今は他に人も魔物もいないし」

「そ、そういえば不思議なんだけど、ヘイトスキルって人にも効果があるんだね、ナッちゃん」

「パーティメンバーにはないけどね」


 人が効果を受けると、なんとなくヘイトスキルを使った相手を無視できなくなるらしい。

 無視すると、ストレスを感じた時のような不快感があるとか。

 まぁ、ヘイトスキルなんだから相手にヘイトを向けさせてなんぼだよな。


 ともあれ。


「で、スキル効果中、ナフは光ってるよな?」

「スキルを使う時は、大体いつもそうじゃない?」


 今、ナフは赤色に光っている。

 頑強スキルを使うと、ここに青色が交じる。

 これは、スキルを使うと魔力が体内から溢れ出し、光るから。

 だから魔法によるバフと、非魔法スキルによるバフで光の強さが違うのだ。

 つまり、スキルとは魔力の光を伴う。


「ナフ、その光、もっと強くできるようイメージできないか?」


 だから、使

 それが、俺の考えたスキルの効果を強力にする方法だ。

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