レベルを上げることが普通じゃない世界でレベリング中毒に陥った異常転生者

第138話

「まず、魔法系スキルの詠唱は愛子が考案した」

　クロ先生のスキル講座のお時間だ。

「でも、スキルの戦闘系、非戦闘系。戦闘系でも魔法系と非魔法系の分類は女神様、考えた」

「えーっと？　えっと？　えっと？」

　えっと、のたびに首をかしげる小動物ことヒーシャ。

「それぞれの仕様は、システムで決まってるってことだよ」

「えとえとえと」

　テンポよく三回首をかしげる。

　なんか楽しくなってないか？

「んー、女神様の作ったステータスには、ルールがあるってクロとツムラさんはいいたいんでしょ？」

「正解！」

　ピシッとナフを指差すクロ。

　そのまま、エアメガネをクイッとして話を続ける。

「だから、非魔法系スキルを、魔法系スキルのように使おうとすると、どうなるか解らない」

「あ、あー解りました。魔法はびゅんびゅーんだけど、そうじゃないスキルはシュバッ！　だったのをシュババーンにしちゃうと危ないってことですね！」

「……多分合ってる」

　相変わらず、ヒーシャは感覚で理解する天才だ。

　ヒーシャの言葉には、とりあえず肯定しておくしかない。

　なぜならヒーシャの中では本当に理解できていることがほとんどだからだ。

　天才ってすごい。

「そもそも、実際に非魔法系スキルを魔法系スキルみたいに使えるもんなの？」

「まぁ、まずはそこら辺の検証からだな。俺もスキルは魔法系で固まってるから、個人だと検証ができなかったんだ」

　ともあれ、ナフの疑問は尤もである。

　そして、俺も一応仮説は立てているがそれを立証しているわけではなかった。

「あ、じゃあもし、ツムラさんの考えが間違ってたら、また一から考え直しになるってことか」

「……ナフ、今安心しただろ」

「ぎくっ」

　ぎくっ、じゃない。

「まぁ、検証方法は考えてある。ナフ、頑強スキルを使ってみてくれ」

「頑強スキルを？　……こう？」

「それで、頑強スキルで得られる防御バフってどのくらいだ？」

「……ステータスオープン」

　一応、確認してみるらしい。

「10だね、これが数分続くよ」

「消費MPは？」

「１。非魔法系スキルは大体そんなもんだよ」

　これが中級なら２になるそうだ。

　つまり、理論上、MPを５消費すれば効果を五倍にできるということ。

「んで、どうするつもり？」

「こうする。この文章を詠唱してみれくて」

「……詠唱」

　というわけで、俺が用意した詠唱文をナフに手渡す。

　そういえば、俺はナチュラルにこの世界の文字を読んでいた。

　だが文字を読むだけで文字を書くことも、特にスキルなしですることができた。

　クロ曰く、これも愛子の特異の中に含まれている能力だとか。

　至れり尽くせりだな。

　ともあれ。

「頑強スキルを、魔法みたいに発動させるってこと？」

　検証方法は、ナフの言う通り非常にシンプルなものだった。