第127話

 毎日は目まぐるしく過ぎていく。

 俺がレベル30になったということは、ヒーシャとナフもレベル28になったということなのだが。

 数日もすると、今度はお互いさらにレベルが1つ上がっていた。


 NAME:ツムラ

 LV:31

 EXP:(NEXT:)

 HP:165/165

 MP:160/160

 ATK:155

 DEF:155

 MAG:155

 MID:155

 AGI:155

 SKILL:『ステータス上昇均一化』『火魔法:初級』『治癒魔法:初級』『水魔法:初級』『アイテムボックス』『治癒魔法:中級』『火魔法:中級』


 最近は一日に手に入る経験値が700を越えているので、三日もあればレベルが1つあがる。

 このまま行けば、来月頃にはレベル40に到達していることだろう。

 レベッカさんがまた悲鳴を上げていた。


 変化といえば、ヒーシャが光魔法の使い方を色々と模索していた。

 一番最初に形になったのは、防御的な使い方である。


「光の壁!」


 ヒーシャが光魔法を使うと、ナフの周囲に光の壁が出現する。

 それらはナフに対する攻撃をある程度防御する。

 スライムやゴブリンの攻撃が、そもそも光の壁を透過することなく弾かれた。


 上層のモンスターに、『メイジゴブリン』という魔物がいる。

 要するに魔法を使うゴブリンだ。

 ただ、欠点があって彼らは魔法を使うのにはフル詠唱並の時間がかかる。

 正面から突っ込んでいって、軽く斬り伏せれば魔法なんてほとんど使えない。

 ただし、一度魔法を使わせてしまうと、それなりの火力が飛んでくる。

 そんな無視すると厄介な魔法使い。


 この魔法を、光の壁はある程度軽減できる。

 一瞬動きを止めることもできるから、そのタイミングで回避もできるし、受けてもナフなら致命傷には至らない。

 ただ、邪ノシシの攻撃は、軽減こそできるものの、攻撃を受けた時点で壁が壊れてしまうみたいだ。


 数値にして、防御ステ20程度の壁。

 それを越えるとある程度は軽減するが、ある程度差があると壊れてしまう。

 ただし、これの最大の利点は。


「すごいね、一方的に攻撃できるよ」


 味方側の攻撃は、壁をすり抜けていくという点。

 ゴブリンやスライムレベルの雑魚なら、もはや敵ですらなくなってしまう。

 そこが一番の強みだ。


「えへへ……アタシ、光魔法でもっと色々できそうです!」


 これは、ヒーシャがこれまで光魔法について全く勉強してこなかったのが良かったのだろう。

 光魔法でできることを、ヒーシャは敢えて理解していない。

 その上で、身につけた魔法アレンジの技術で光魔法を生み出している。

 よくできた話だ。


 とにかく、そういう感じでヒーシャはどんどん成長していく。

 レベル30になって新たなスキルを覚えれば、彼女はもっと伸びるだろう。

 そんな時だった、ナフからある相談を受けたのは。

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