4.悩めるドワーフ少女と、まだまだパワーレベリングなレベリング中毒者

第123話

 それから数日、モンスターハウス作戦を続けるうちに、ついにそれは訪れた。

 すなわち、レベル30。

 俺のレベルが、1つの大台に乗ったのである。


 NAME:ツムラ

 LV:30

 EXP:22450(NEXT:2000)

 HP:160/160

 MP:155/155

 ATK:150

 DEF:150

 MAG:150

 MID:150

 AGI:150

 SKILL:『ステータス上昇均一化』『火魔法:初級』『治癒魔法:初級』『水魔法:初級』『アイテムボックス』『治癒魔法:中級』『火魔法:中級』


 覚えたのは、案の定火魔法の中級だった。


 『火魔法:中級』

 種別:火魔法

 効果:己が内なる魔力を、火を芽吹かせるに変えて、火属性の魔法を放つ。中級限定。


 正直、効果と言われてもこれだとほぼフレーバーである。

 ただ、フレーバーであることが正しいのもまた事実。

 魔法の使い方は、イメージ次第で無限大だ。


 ともあれ。


「ほ、本当にこんな短期間でレベル30になっちゃったんですか!?」

「ああ、とても充実した毎日だった……」


 そのことを、最初に知ったのはレベッカさんだった。

 というのも俺がレベル30になったのは、次の日が休みだと決まっていた日の夜のこと。

 休みだっていうのに、わざわざヒーシャやナフがギルドへやってくるはずもなく。

 というか、あの二人は休みの日は休みの日で、家の手伝いだったり店番だったりで忙しいのだ。


 自然と、最初にそのことを話すのはレベッカさんになる。

 クロはそもそも、前日から明日になればレベル30になると知っているのでまた別枠。


「ツムラさんがレベル上げに癖を見出す異常者なのはご存知でしたけど、それにしたって早すぎますよ……」

「最近は、ヒーシャとナフとのレベリングも効率が更に上がってきているからな」


 ヒーシャが魔法のアレンジを会得したことで、一日に手に入る経験値は500から更に増え始めている。

 元々彼女たちの戦い方に口を出したのはこれが理由なので、俺としても嬉しい限りだ。


「ああ、ヒーシャさんとナフさんが、どんどん一足飛びに才能を開花させていきます……もう少しじっくりと成長を見守りたかったです……」

「そ、それは大変申し訳なかった」

「いえ、まぁ実際ヒーシャさんができるだけ早くダンジョンを攻略できれば、それに越したことはありませんから」


 母親のこともある。

 ヒーシャたちが順調に育ってくれればそれでいい。

 それはそれとして、ギルドの受付嬢として成長していく有望株の冒険者を見守りたいという思いもある、と。


「そういえば、ところでツムラさんはどうしてギルドへ? 今日は皆さんのパーティはお休みだったと聞いているんですが」

「ああ、レベルが上がって、中級魔法を色々覚えた。ちょっと試し打ちがしたくてな」


 そのついでに、稼げる依頼をちょっと受けていこうというわけだ。


「……働きすぎですよぉ!」


 まぁ、レベッカさんにはそう言われてしまうのだが。

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