第110話

「ナフさんとヒーシャさんのお二人だけで、邪ノシシを倒せたんですか?」

「正確には倒してないけど、まぁアレなら問題なく倒せるだろうな」


 今日もレベリングを終えて、帰ってきた後。

 俺はレベッカさんと話をしていた。

 話題は言うまでもなく、ヒーシャ達のことだ。


「邪ノシシを討伐できれば、中層の攻略だって可能です。でも、二人で邪ノシシを倒すなんて、普通ならもっと高レベルにならないと」

「でも、あの二人は元々優秀だから、俺が手を貸すだけでも討伐はできたよ」


 邪ノシシを倒すっていうのは、言ってしまえば一つのボーダーなんだろう。

 冒険者パーティがどれだけ優秀さを図るには、あの脅威度と攻撃の単純さは非常に分かり易い。

 ポイントは、攻撃の単純さだ。

 突進とか、針とか、そういう単調な攻撃しかしてこないからな。

 森の中で戦った時は、地面が土だったので戦いにくかったが、ダンジョンの中は足場が硬いのでそういう心配もない。


「まぁ、三人いればそれだけ戦いやすくはなりますけど……それでもすごいことはすごいです」

「それは、二人に言ったほうがいいかもしれないな」

「ツムラさんもすごいから、ツムラさんにも言ってるんですよ」


 まぁ、そう言われて悪い気もしないが。


『照れてる?』

『普通に照れるだろ、面と向かって褒められる経験はなかなかないんだぞ』


 この年になるとな。


「後は、レベルも上がったな。順調だ」


 俺が28、ヒーシャとナフが26だ。

 まぁ、ヒーシャが微妙に足りてないので、そこは明日になるのを待つしかないが。


 NAME:ツムラ

 LV:28

 EXP:18220(NEXT:2040)

 HP:150/150

 MP:45/145

 ATK:140

 DEF:140

 MAG:140

 MID:140

 AGI:140

 SKILL:『ステータス上昇均一化』『火魔法:初級』『治癒魔法:初級』『水魔法:初級』『アイテムボックス』『治癒魔法:中級』


「順調ですねぇ。ヒーシャちゃんとナフちゃんは引いてませんか?」

「そこで引いてるかどうかを聞いてくるのか……ナフは引いてるけど、ヒーシャはかなり積極的だな」

「あー、まぁそんな感じですよねぇ」


 ヒーシャは、ナフを助けたいという気持ちが強い。

 それは、伸びしろとしても非常に優秀な動機だし、何よりレベリングに積極的になってくれるのもありがたい。


「邪ノシシを二人で倒せたのも、ヒーシャがバフの精度を更に上げたってのが実際大きい」

「なるほど……状況に合わせて、バフを変えられるようになったんですよね?」

「ああ、一秒単位で切り替えられるようになった」

「上位のバッファーなら、必須のスキルです。もともと素質はありましたけど、ヒーシャさんは更に伸びましたね」


 感慨深そうなレベッカさん。

 俺も満足げにうなずいて、続けた。


「後は…… だけだな」

「……はい?」


 そして、首を傾げられた。

 なぜだ……

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