第104話
「ほんとに溜まったよ、500EXP」
翌日。
ギルドにて。
開口一番のナフである。
「やったな」
「いやいや、びっくりしてるんだってこっちは。説明してよ、説明」
ちなみにヒーシャはまだ来ていない。
家族のお世話やら家事やらがあるんだろう。
俺達が早すぎるんだ。
まだ、時間も八時を回ったところだしな。
朝食をギルドで済まそうと思ったら、同じことを考えていたナフと行きあったのが現在の状況。
「パーティの仲間を助けると、経験値がもらえるだろ?」
「まぁそうだけど……あんなの微々たるものじゃん。いくら二時間魔物と戦い漬けだったからって、こんなに貯まるなんてありえない」
「普通ならな」
一度は俺もパーティを組んで、仲間を助けることで経験値を手に入れようと考えた。
だが、最終的にそれは断念されることになる。
理由の八割は俺の立場が色々と特殊過ぎて、信頼できる相手としかパーティが組めないという理由なんだけども。
一割程度、仲間を助けることで得られる経験値が少ないという理由もあった。
そう、思った以上に少ない。
ナフが言う微々たるものが具体的にどれくらいかというと、一回の戦闘で得られる平均が5点くらい。
ゴブリン一匹倒すのと同レベルって。
でも、モンスターハウスの場合はそうではない。
「普通の戦闘だと、そもそも仲間を助けるっていうシチュエーションが稀有なんだよ」
「え? そうなの? 普通に、私とヒーシャはいつも助け合ってると思うけど」
「じゃあ質問なんだけど、ナフは一回の戦闘でヒーシャに迫る攻撃を何回防ぐ?」
「ん……? あ、そうか」
そこで、ナフは理解したようだ。
「せいぜい一回くらいだよね、だって普通なら、そもそも魔物は私を狙うから」
「そう、ヘイトスキルを先んじて使うからな。でも、モンスターハウス作戦は全ての魔物が最初、必ずヒーシャを狙っている」
「ヘイトスキルを使うだけで、経験値になるってことか!」
逆に、ヒーシャも自分をかばってくれた相手であるナフを支援することで、相手を助けたという判定を得られる。
魔物は知能が低いから、本来なら狙う相手はランダムで、ヘイトスキルによる攻撃の誘引が経験値になることは殆どない。
「そう考えると、二時間で経験値500は効率良すぎだなぁ」
「とはいえ、二時間もやると集中力が切れて危ないし、MPも足りないからな。今のままだと一日二時間が限界というのもある」
それでも、500入るだけで効率としては最高レベルだ。
「ヒーシャの呪いが、プラスに働くことなんてあるんだね……」
「呪いもスキルも使いようってことだ」
なんて話していると。
「ご、ごめんなさひ! 遅れました!」
ヒーシャが、舌をかみながらこっちにパタパタと走ってきた。
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