第95話
「いいんじゃないの?」
「いいんだ……」
翌日、ナフを誘って冒険者ギルドにやってきた。
冒険者がパーティを組む場合、ギルドの手続きが必要だからだ。
そして、ナフに先日のことを説明するという理由もある。
が、後者は即決だった。
「ツムラは信用できる。そのレベリング……? ってのはよくわからないし、ヒーシャの呪いを利用するってのも変だけど」
よくわからない、変。
それで済ませていいのかは解らないが。
「それにぃ、ツムラって大人な感じするし、私は嫌いじゃないよ」
「な、ナッちゃんのそれは、単なる好みのような……」
多分そっちのほうが大きいよな。
というのはさておき。
「一応確認するけど、本当にいいんだよな?」
「――第一、ツムラさんは妖精の愛子なんだよ」
俺が改めて確認すると、ピシッとナフが俺を指さした。
こちらの確認を、杞憂だと言わんばかりに。
「妖精が選んだ人が、悪い人ってことはない。この世界じゃ常識だよ?」
「ああまぁ……そうなるか」
妖精の愛子が転生者ということまでは詳しく伝わっていないが、愛子が別の世界からやってきたということは普通に知られた事実だ。
そして、彼らは一様に妖精に好かれる。
妖精に好かれているから愛子なんだし、当然といえば当然だけど。
『妖精を連れている愛子、信頼できる』
『クロが俺の善性を保証してくれるってことか』
『えへん、褒めるが良い』
『すごい』
ともあれ、話はまとまった。
早速パーティを組もう。
「できました」
「早い」
一瞬だった。
レベッカさんに頼んだら、数分でパーティ申請が終わった。
「これから、冒険者カードにパーティメンバーの情報が記載されます」
「名前と、レベルと、それからスキルにロールだよね」
見れば、冒険者カードの空欄二行の部分に《パーティメンバー:ナフ、ヒーシャ》と書かれていた。
名前をタップすると、それぞれの情報が出る感じだな。
具体的にはこんな感じ。
NAME:ツムラ
LV:26
SKILL:『火魔法:初級』『治癒魔法:初級』『水魔法:初級』『治癒魔法:中級』
ROLL:『アタッカー』『ヒーラー』『バッファー』『タンク』
《パーティメンバー:ナフ、ヒーシャ》
これが俺の冒険者カードで、ナフとヒーシャの名前をタップするとこうなる。
NAME:ナフ
LV;25
SKILL:『挑発:初級』『斧攻撃:初級』『頑強:初級』『挑発:中級』『斧攻撃:中級』
ROLL:『タンク』『アタッカー』
NAEME:ヒーシャ
LV:24
SKILL:『支援魔法:初級』『水魔法:初級』『治癒魔法:初級』『支援魔法:中級』
ROLL:『バッファー』『ヒーラー』
ナフはタンクのようだ。
ロールの優先度は左から順番
タンクは、多分ロールの中で一番レベルが上がりやすい。
他人のために行動することが多いからな。
レベル差はおそらく、それが原因だ。
それはそれとして、俺の情報をみた二人の反応は、わかりやすかった。
「……ロールおかしくない?」
「ぜ、ぜんぶ……? どうやってバッファーに……?」
ひとしきり、俺のロールに首を傾げているのだ。
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