第94話
――コレまで、色々と俺は考えていた。
「ヒーシャの呪いは、使えると思うんだ」
「はぁ……えっと」
「ダンジョンで魔物を集めるんだよ」
「ええ……?」
正直、今のレベリングは少し効率が悪い。
いや、決して最悪ではないのだけど。
治療院レベリングの効率には絶対に勝てない。
次のレベリングに向けて、新たな高効率サイクルを構築したかったのだ。
「は、話が読めないんですけど」
「ヒーシャ達がボスを倒すには、レベルが必要だろ? だったら高効率でレベルを上げないと」
「まず、その……レベルを“上げる”って、どういうことですか?」
おっと、気が急いていた。
レベリングの概念について、理解してくれているのは現状クロとレベッカさんだけだ。
いや理解はしてもらってないけど。
単純に概念がどういうものか把握してるってだけだけど。
「魔物を倒せば、経験値が入る。善行を為せば、経験値が入る。そうすればレベルが上がる」
「……それは、普通のことですよね?」
「それが楽しいから、レベルを上げる」
「…………ええ」
明確な常識の隔絶を感じる!
「ヒーシャは、俺に助けてもらうのが申し訳ないと思ってるだろ?」
「あ、は、はい……タダでさえダイヤモンドオーガの件でご迷惑をおかけしてるのに、コレ以上は……」
「俺も、ヒーシャとナフを助けるのは、余裕のある人間の施しなんじゃないかって、思わなくもない」
一方的に与えているだけなのだ。
見返りなんて、考えたこともないし、ピンとこない。
ヒーシャ達の信頼を勝ち取れれば、悪い気はしないけれど。
その先のことは、正直あんまり考えてない。
でも、この世界ではそういった善行が経験値になる。
「なら、レベルが上がればそれでいいじゃないか」
「わ、解んないですよぉ……」
「メリットがあるんだよ。俺はヒーシャと協力関係を結びたいと思ってる」
俺が考えている新しいレベリングは、ヒーシャの力がなくてはできないことだ。
そして、ヒーシャがいれば必然的にヒーシャのレベルも上がる。
ヒーシャが行くなら、ナフもついてくるだろうから、そっちもだ。
「俺はヒーシャを助けてレベルを上げる。ヒーシャはレベルが上がって助かる。ウィンウィンだろ?」
「え、ええ、えっと……その……そうなのかなぁ?」
「ああ、そうだ、だからヒーシャ」
結論は出た。
ヒーシャに、手を差し出す。
「俺と、パーティを組んでくれないか?」
「……! は、はい」
ヒーシャが手を取って、俺達はパーティになった。
少し気恥ずかしそうに、ヒーシャが微笑んだのだ。
それはそれとして、
「……もう少し、ナフと相談したりしたほうがいいぞ?」
「え? あ、はい、ごめんなさい……」
俺が話をまとめにかかるとなんとなく流されるのはよくないと思う。
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