第81話
「おはようございます、ツムラさん。ギルドの様子、すごかったですね」
「ああ、おはようレベッカさん。いや、自分でもびっくりするくらい注目集めてたな」
受付に話を通すと、応接室に通してもらった。
レベッカさんに応対してもらって、今は一息ついたところ。
「ん、愛子はこうでなくっちゃ」
そういいながら、クロが人間モードでお菓子をパクついている。
ちなみに妖精が人間になれるという事実はそこまで一般に知られていないらしいが、レベッカさんは知っていた。
さすが博識。
もしくは名探偵。
「クロさんも、先日はありがとうございました」
「くるしゅうない。お菓子うま」
感謝に投げやりなクロである。
それだけお菓子に執着しているということだろう。
レベッカさんはその様子に、うふふと上品な笑みを零して本題に入る。
「それではツムラさん、改めてダイヤモンドオーガ討伐の依頼、達成おめでとうございます」
「ああ、レベッカさんも、助けてくれてありがとう」
「いえ、私は……ギルドは、ほとんどツムラさんの助けになれませんでしたし」
「そんなことはない。討伐を依頼として出してくれたおかげで、助かった」
なにせ、多くの人から討伐が望まれている善行であると、女神が強く認識してくれるからな。
もらえる経験値は、ただ討伐するより間違いなく増える。
具体的には、レベルが26になった。
NAME:ツムラ
LV:26
EXP:15850(NEXT:270)
HP:140/135
MP:135/135
ATK:130+30
DEF:130+5
MAG:130+20
MID:130+3
AGI:130
SKILL:『ステータス上昇均一化』『火魔法:初級』『治癒魔法:初級』『水魔法:初級』『アイテムボックス』 『治癒魔法:中級』
27も近い。
今日ダンジョンに潜れれば、おそらくそのまま27になるだろう。
それはそれとして。
「こちらが、報酬の20万Gになります」
「そんなに」
「サーチハンド一個分」
つまり、あってもなくてもサーチハンドが買えるってことだ。
とはいえ、お金が1万Gしかなかったのは過去の話。
今は割りと安定して依頼の達成報酬や、ドロップ素材の売却でお金を得ることができている。
暮らしていく分には困らない。
「この20万Gは、何かしらへの投資に使おう」
「いいもの買える、わくわく」
「そうですね。ツムラさんならお金には困らないでしょうし、思い切った使い方もありかもしれません」
なんて話をしつつ、他にも色々と処理をする。
一番大事なのは、ダイヤモンドオーガとの討伐に関する詳細な報告だ。
特に、オーガのダメージ軽減率が五分の一だって点はきちんと伝えておかないと。
下手したら街一つが消えるくらいに、あの装甲は厄介である。
「最後は揺り籠のステータス変更を、攻撃の瞬間だけ行うことでオーガの攻撃を防ぎ勝利……と、大胆ですねぇ」
「マウントを取った状態で、三十秒練習する時間があったからな。流石に成功するよ」
とはいえ、戦闘中に動き回りながらのスイッチは無理だろうな。
マルチタスクじゃないんだよ、俺は。
アレは反復行動で、リズムよくスイッチしたから失敗しなかったんだ。
「報告は以上になります。お疲れ様でした」
「お疲れ様でした。そういえば聞きたいんだけど、レベッカさん」
「はい、何でしょう」
話が終わったから、これを聞かないわけにはいかないので、聞いてみる。
「ダンジョンってもう入れる?」
「流石にそれは働きすぎですよ、ツムラさん!?」
多分、レベッカさんには言われたくないんだけど?
と思う俺であった。
なお、まだ検査とかなんとかで入れないらしい。
残念だ。
「ダンジョンには、もう入れる?」
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