第69話
ようは、攻撃方法だ。
与える部位によってダメージの倍率が変わるというのは、前にもあった話。
加えて、自分の攻撃力と相手の防御力に差が大きければ、相手の受ける反応も変わってくる。
偶に、ダメージ受けてないのに、ダイヤモンドオーガに派手にふっ飛ばされる俺みたいなのもいるが。
あれは単純に不意をつかれたからだ。
つまり、ノックバックはより有効なダメージを、有効な部位に当てることで大きくなる。
これまでは瞳を狙っていたが――方法を変える。
そのために俺は――DEFとMIDを1にした。
「き、きをつけてください、ツムラさん!」
俺から作戦を聞いたヒーシャが、心配そうに声をかけてくる。
今、俺がオーガの攻撃を受けたら即死だ。
背負われているヒーシャもただではすまないだろう。
だからこそ、ここは慎重に行かなくてはならない。
距離は十分にある。
この距離なら、ダイヤモンドオーガの攻撃が飛んでくることはない。
万が一遠距離攻撃の手段があったとしても、油断していなければ回避は容易だ。
「火よ!」
俺は白熱の針を四本生み出す。
ダイヤモンドオーガは、手をかざしてそれに備える。
瞳を焼こうとするその一撃を、やつは流石に学習したんだろう。
だが、甘い。
今回の針は四本。
二本は奴の瞳を狙い、もう二本が狙うのは――
「――ッァァァァァァ!!!!!!!!!」
――膝だ。
ダイヤモンドオーガの誤算は二つ。
一つは、瞳以外にも狙いがあったこと。
そしてもう一つは、やつの想定以上の威力が、針にはあったこと!
特に後者は大きい。
手のひらでガードしようとしたそれは、手のひらを突き破り瞳を灼く。
そして膝を灼く針も、最終的に膝を貫通してダメージを与える。
こうすることで、奴は一気に視力と、歩くための力を失う。
念のためDEFをもとに戻し、一気にダイヤモンドオーガへ接近。
そして、
「今だ、ヒーシャ!」
「は、はい!」
ヒーシャの支援魔法を使う。
一気に増えるATK、更にうずくまるダイヤモンドオーガへ向けて拳を振りかぶり。
また、DEFを1にする。
「ッガアアアアアアアアア――――!!」
ここまでくれば、ダイヤモンドオーガにも有効なダメージが発生してくる。
DEFを1にすれば、大体俺のATKは360になる。
そこに諸々のバフを加えて、一気に高まった火力が拳には乗る。
一発目で地面にダイヤモンドオーガを引き倒し、そのまま拳でどんどんダメージを与えていく。
時間は、三十秒。
ヒーシャのバフが有効なこの瞬間に、可能な限りのダメージを蓄積させる。
殴られながらもこちらをにらみ、何とか反撃の好きを探すダイヤモンドオーガ。
それを見下ろしながら、残されたタイムリミットで、ひたすら拳を振るう俺。
「さぁ、我慢比べと行こうか、ダイヤモンドオーガ!」
自身を鼓舞するために高らかに叫び。
俺は振るう拳に、力を込めた。
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