第67話
「ァアアアアアアアッ!!!」
「ダメージ受けたら吠えだすとか、癇癪起こしたガキかよ」
「バ、バフ切れます。気をつけてください、ツムラさん」
「ああ、ありがとう」
バフが切れていたのに合わせて、揺り籠のステータススイッチもある程度防御に戻す。
これ、身に着けていれば思考するだけでステータスに反映されるのは便利すぎる。
頻繁に数値を上下させるので、変更後の数値になるよう思考するとスムーズでいい。
今回でいえば、DEFが62になるように思考した。
すると、DEFだけでなく他の数値も一緒に変更されるわけだ。
ともあれ。
リキャストの間、オーガの攻撃を捌く。
その間に、現状の再確認だ。
残るMPは30、一気にぶつけてもいいが、魔法をあてたときのノックバックはバカにならない。
状況に合わせて使っていくとしよう。
……この世界、MPの回復だけは不自由なのが困るよな。
何でもレアスキルかユニークスキルでしか回復できないらしい。
世の中にはサーチハンドのようにレアスキルが付与された武器というのもあるが。
それでも希少は希少だろう。
まぁ、いずれ見つけるとして今は目の前のことだ。
速度で勝っている上に、相手のATKはもうすでにバレている。
リキャストの間にダメージを負うことはない。
そして、
「再発動、行きます!」
再び、ヒーシャが中級支援魔法を使用する。
今度はATKに適応され――
「さあ……反撃開始だ!」
「は、はい!」
ようやく……ここまで来るのに、非常に長い遠回りをしたが。
ようやく、まともにダメージが通るな、ダイヤモンドオーガ!
「――――!!!」
ダイヤモンドオーガも、咆哮と共にこちらへ迫ってくる。
単純な突撃だが、巨体から繰り出される一撃は脅威だ。
軽く横っ飛びして、敵の攻撃範囲から逃れつつ機会を伺う。
向こうは咆哮を弧を描くように転換させ、こちらを追いかけてくる。
速度差があるから追いつくことはないが……攻めにくいな。
とはいえ、行くしかない。
俺は緩急を付けて、一気にダイヤモンドオーガの横を取るように距離を詰める。
ちょうど、お互いが通り過ぎるような感じになるように動いた。
結果、奴は強引に横の俺に棍棒を振り下ろそうとしてくる。
右手に棍棒を持っているから、やつから見て左から攻められると攻撃しにくいと思うんだけどな。
「よっと」
迫る棍棒を、余裕をもって回避しつつ、タイミングを見計らって拳を――放つ!
「!!!」
横っ腹に飛んできた拳を受けて、オーガが驚きとともに後方へ下がる。
一瞬、何が起こったか理解らず、手を脇腹にあてている。
あいつ、物理でダメージ受けるとはおもってなかったな?
『しかし、効いてないな、ほとんど』
『AKTとDEFの差が1。これだと、効いてるだけ』
『だよな』
思考しながら、距離を取る。
ATKとDEFの差が1というのは、俺の方にも言えることだ。
だから、お互いにダメージは少しずつ通る状態になっている。
なんというか、泥試合にしかならないな、このままだと。
そして、悪いことは続く。
「つ、ツムラさん。ば、バフ切れます……!」
「もうかよ!?」
バフが途切れたら、ダメージが通らなくなる。
ああほんと、反撃できるとおもったら、また問題が出てきた……!
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