第66話

『見つけた』

『ああ、ダイヤモンドオーガだ』


 ――ダイヤモンドオーガは、前回対決したダンジョンの開けた場所にいた。

 おそらく、ここがやつのお気に入りなんだろう。

 広くて力を振るうのに最も適したフィールド。

 合理的だ。


「まずはサーチハンドだな」


 NAME:ダイヤモンドオーガ

 AKT:61

 MAG:12


「MAGは低いな……魔法の攻撃手段は持ってないだろうから、当然だが」

「は、はい。じゃあまずは、MAGにバフを使います」

「ああ、頼む」


 ヒーシャが詠唱と共に中級支援魔法を使う。

 他人が魔術を使う光景はこれが初めて見るが、結構詠唱は長い。

 中級魔法ならリキャストの間に詠唱を済ませられるが、初級を切り替える時は気をつける必要があるだろう。


 そして、これが支援を受けた俺の今のステータス。


 NAME:ツムラ

 LV:24

 EXP:10960 (NEXT:1040)

 HP:130/130

 MP:60/125

 ATK:120+30+10+120

 DEF:120+5-60

 MAG:120+20+35+120

 MID:120-60

 AGI:120+10

 SKILL:『ステータス上昇均一化』『火魔法:初級』『治癒魔法:初級』『水魔法:初級』『アイテムボックス』


 ATKで見ると、素ステ+サーチハンド+治癒魔法バフ+揺り籠となっている。

 MAGだとここに治癒魔法バフがない代わりに、中級支援魔法の+35が乗っている。

 他もまぁそんな感じ。

 -60は揺り籠だな。


 これでMAGの数値は295。

 サーチハンドと治癒バフのおかげで+20盛られているATKではなくMAGを先に強化したのは、ダメージが入っているかわかりやすいため。

 遠くから白熱の針で瞼を焼けば一発だからな。

 後、MPがだいぶ減ってきているので、先にMPでダメージを与えてからATKで攻撃していく方針なのだ。


「――――!!」

「き、きます!」

「ああ……火よ!」


 まずはMAG295での白熱の針。

 迫ってくるオーガの目に当たる――が、瞼が傷ついた様子はない。

 これは、正直予想通り。


 が、恩恵が大きいのはここからだ。

 オーガは針を受けると、のけぞる。

 それだけ効きということだろうが。

 このノックバックは、相手の動きを止めるには十分だ。


「続けていく! MAGを315に!」


 一気にMIDを減らしてMAGを315にする。

 最大バフのATKと同じ数字。

 DEFも一緒に下がるので、ここでダメージを貰うとまずいわけだが。

 ノックバックの間なら問題ない。


 もう一度、火魔法を放つ。


「!!!」


 オーガがうめきながら更にのけぞる。

 手で顔を抑えてしまった。


『ダメージを受けたか解らない』

『受けてないと想定して、MIDを1下げて追撃する。次の狙いは手だ』


 残り、下げれる防御ステータスは多く見積もって5。

 ここからが正念場だ。


「火よ!」

「――ッ!!」


 顔を覆う手に火魔法が当たって、オーガの手が跳ねる。

 注視してダメージを確認するが……効いているわけではなさそうだ。

 くそ、一々反応が大げさなんだよ!


 その後、防御ステを少しずつさげて攻撃する。

 その度にオーガはのけぞるが――明確な変化が出たのは、防御ステを45まで減らした時だった。


「――ッッッッァアアア!」


 オーガの手を、ついに火魔法が貫通した!

 ダメージを与えたMAGは数値にして325。

 つまりオーガのDEFとMIDは推定――64。

 DEFの方が高いかもしれないが、そこらへんの検証は次の支援魔法でやればいい。

 ってか防御ステータスの方が高いじゃねぇかこのやろう。

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