第41話

 いよいよ、俺のレベリング人生はここからはじまる……!


 NAME:ツムラ

 LV:22

 EXP:5930(NEXT:2000)

 HP:120/120

 MP:105/115

 ATK:110+5

 DEF:110+5

 MAG:110+3

 MID:110+3

 AGI:110

 SKILL:『ステータス上昇均一化』『火魔法:初級』『治癒魔法:初級』『水魔法:初級』『アイテムボックス』 


 とはいっても、レベリングは一日にしてならず。

 現在のEXPは、普通にやっていると貯めるのに数日……下手すると半月はかかる。

 特にさっきの赤いウサギ先生、経験値30しかなかったぞ。

 通常ウサギ先生と同じなんだけど!?

 まぁ、これはボブゴブリンにも言えるが。


「EXPを貯める手段は三つだ」

「うん」

「魔物を倒す、依頼を達成する。これはいいよな?」

「うん」


 魔物を倒すことは言うまでもない。

 倒したことで経験値が発生するわけだから、これが一番自然なレベリングの方法ということになる。


 依頼を達成することも、この世界の法則から言えば自然なレベリング手段だ。

 善行を積むことで、女神様がEXPをその報酬として与える。

 ゲームでもよくある、クエスト達成時の経験値報酬。


「現状の一番確実なレベリング方法は、言うまでもなくクエストを達成することだ」

「うん」

「なにせ、このあたりの魔物は弱すぎる。倒しても経験値にはそうそうならないだろうな」

「うん」

「対して、依頼の経験値は。薬草採取のクエストなんかが特にそうだ。あれ、一日かけてこなすだけで経験値が100点だぞ?」


 出てくる魔物も、雑魚のゴブリンとかがせいぜい。

 ゴブリンだって倒せば経験値になるし、塵も積もれば山となる。

 積み重ねは大事だ。


「普通にやっていても、一月あればレベルは一つ上がるだろう」

「うん」

「一年もすれば10レベルだ」

「えぇ……?」


 ちなみに、この世界の暦は概ね前世に殉じている。

 正確には月を数字ではなく、何々の月と呼んでいるが。

 日本の旧暦である睦月みたいな感じだな。


「ただ、それじゃあレベリングとしては牛歩すぎる」

「……」

「そこで、三つ目の方法なんだが……クロ?」

「どうしたの?」

「……さっきから、なんか適当過ぎない?」


 気もそぞろというか。

 かなり適当に相槌を打って受け流しているのを感じる。


「ツムラ、私、わかった」

「何がだ?」

「ツムラの狂信、真面目に聞いちゃダメ」

「狂信じゃねーって! レベリング、レベリングだから!」


 でもこう、なんていうか。

 粗雑に流されているわけじゃない感じもある。


「わたしからすれば、狂信。でも、悪いわけじゃない」

「っていうと?」

「ツムラ、頑張ってる。それは、とてもすごいこと」


 なるほど、たとえ狂信でも、努力そのものを否定はしないってことか。


「……ちょっと怖いけど」


 が、それはそれとしてお近づきになりたくない雰囲気は感じる。

 まぁうん、あんまり早口にならないように気をつけます。



「でも、わたし……そういうツムラだから、一緒にいる」



 おおう。


「それで……三つ目は?」

「ああ、いや……この流れで言うのもアレなんだけど」


 三つ目は……“人助け”だ。

 もっと根本的に、依頼を介さない経験値を取得する方法として、ダンジョン内で人助けをする。


「……そのために、力を貸してくれないか? クロ」

「…………へ?」


 これを試すためには、クロの協力が必要不可欠なのだ。

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